【nanoha project.マガジン vol.8】
「井上緑」×「マネージャー」その1
マネージャー:音楽活動を始めてなんだかんだ7年くらいになると思うんだけど、その7年のうちの大半を一緒にやってきたわけじゃない?でも私が知っている緑くんって、飽き性で何かを続けるなんて以ての外、みたいなイメージなんだけども、7年も音楽をやってこれた理由みたいなものはあるの?
井上緑:うーん、自分が頑張って作ったものを評価して貰えたからかなぁ。
マネージャー:でも別にそれって音楽じゃなくてもよかったんじゃ?
井上緑:それは単純に音楽が一番褒められたからだと思う。
マネージャー:最初に私がイメージしている井上緑っていうのを伝えたと思うんだけど、緑くんは飽き性だなぁと思うわけよ。
井上緑:間違いないね。
マネージャー:うん、それでも続けられる理由っていうのは?
井上緑:うーん、責任感、かなぁ。
マネージャー:責任感とは?
井上緑:僕が作った音楽で人生変わったってファンの人が言っているのを聞いたときとか、関わってる人が増えれば増えるほど、後に引けなくなったっていうのが正直なところなんだと思うな。
マネージャー:なるほどね。今まで音楽をやってきて一番記憶に残った出来事って何?
井上緑:あー、それはお客さんがゼロだったときのライブだね。
マネージャー:それは一番最初に答えてくれていた「評価してくれる人」が、いないから?
井上緑:いや違うな、それは単純に悔しかったからだね。ライブってお客さんいないと成り立たないじゃん。だからこう、自分の不甲斐なさみたいなもので押し潰れそうになったんだよね。その事が一番記憶に強く残ってるね。
マネージャー:今のは結構マイナスな記憶だなぁって思うんだけど、やってて良かったって思い出はどう?
井上緑:どこどこでやったからそれが一番最高だったっていうのはないかなぁ。僕の中でそのステージに立った時点で、そこが一番最低ラインになるんだよね。だから満足してハッピーってことにはならいな。あれ、僕ってすげー辛いじゃん。
マネージャー:(笑)
井上緑:ライブってさ、怖いんだよね。練習量とかそういう単純な話じゃなくてさ。
マネージャー:その恐怖っていうのは何?
井上緑:お金を頂くわけだからさ。もちろん良い歌うたうっていう自信はあるけど、受け取る側の心理は分からないからやっぱり怖いよね。どう思ってくれてるかっていうのは気になっちゃうかなぁ。
マネージャー:その恐怖心っていうのは、いつか武道館に立てる日が来たらなくなるものなのかな?
井上緑:分からないけど、変わらないと思うな。1人の前でも、1万人の前であっても。ステージに立って実際に来てくれたお客さんの笑顔だったり、歌を聴いて泣いてくれる人だったりを見てたら、そんな恐怖なんて飛んでいっちゃうのに、みんなの顔を見るまでは怖すぎて堪らないね。
マネージャー:それなのに、なんでこう注目を浴びる「アーティスト」を、選んだんだろうね。
井上緑:うーん、でも絵とか料理だとなかなか感情を伝えるのは難しいじゃない?音楽は伝えたい事をそのまま伝えられる。歌詞だったり、声色だったり、メロディだったり、伝えられる手段が多いっていうか、ストレートに伝えられるっていうのが良かったんだろうね。普段から自分の気持ちを伝えるのが苦手で、でもその中で「自分はこうだ」っていうのを上手く伝えられたのが音楽だったからなんだろうなぁ。
マネージャー:なるほどね。ちなみに音楽をやめない自信はあったりする?
井上緑:えー、考えたことないなぁ。やめたい、逃げたいって思うことはあるけど、やめてる自分は想像できないよね。例えばこれから先、何かがあってステージに立つことがなくなっても、とにかく歌ってない自分は想像できないかなぁ。どうあっても料理はするじゃん。それくらいの感覚なんだろうね、僕にとって音楽は。
マネージャー:自分の気持ちを伝えるのが苦手って言ってたけど、音楽だったら素直になれるのはなんで?
井上緑:あー、そうだなぁ。例えば「バカップル死ね」っていうのを、普通に文字だけで発信するとするじゃん。それはただの暴言というか、そこにマイルドさみたいなもんがないじゃん。でも曲に乗せればそこに笑いが生まれるというか。うーん、音楽ってフィルターなのかもしれないね。だから、自分の伝えたいことをメロディに乗せるっていう事は出来たんだと思う。
マネージャー:フィルターか、いい例えかもしれないね。今回、このマガジンの最後に「つぶやき」って曲を弾き語りしたものを聴いて貰えるようにしてるんだけど、すごくストレートな歌詞だよね。
井上緑:ストレートだよね。
マネージャー:あの曲ができてから大分経つのに「つぶやき」をチョイスしたのには、理由があるの?
井上緑:単純にnoteに載せる楽曲1つ目だから。
マネージャー:ん?でも別に初めて作った曲ではないよね?
井上緑:初めて作った曲は「理由(わけ)」だね。
マネージャー:えっとごめん、ちょっとよく分からないなぁ。
井上緑:自分の中で初めて「よし出来たぞ!」みたいな曲が「つぶやき」だったんだよね。今となっては深い意味は覚えてないんだけど、スタートはこの曲っていう思いがある。これから先、もっともっと良い曲が出来たとしても、多分その思いっていうのは変わらない気がする。ライブでやらなくなったとしても。
僕的、僕らしい曲ってなんだろう?と思っても「つぶやき」だなぁって思うし、18,19歳の僕だったから書けた曲だと思う。
マネージャー:もうああいう曲は書かないの?
井上緑:いやー、無理だね、僕も日々成長してるしね。作ってすぐの時の感情と、今ライブで同じ曲を歌ってる時と、その曲に対する気持ちは全然違うんだよなぁ。当時の思いで歌うって事は出来ないしね。あの時は「これがスタートの曲だ」なんて思ってなかったもん。
マネージャー:そっか、なるほどね。今回歌ってくれた「つぶやき」だけど、どういう気持ちで聞いてほしいとかってあるの?
井上緑:(食い気味で)ねぇよ(笑)好きに聞いてくれ!これはね、つぶやきだけじゃなくて、どの曲に対しても思うことなんだけど「こう聞いてくれ」なんて気持ちはないよ。例えば「今、あなたへ。」は、おばあちゃんを想って書いた曲だけど、聴く人によって思い浮かべる人は誰でも良い。もっというと、僕がどういう気持ちで書いたかなんて気にしなくて良い。聴く前から何かを想って聴くなら、聴いて何かを想って欲しいかな。ライブでもMCで僕なりの曲への想いっていうのは喋るけど、それも気にしなくていいと思ってる。好きに聴いて、その中で何かを想ってくれたら嬉しいかな。
fin.
▼井上緑「つぶやき」弾き語り動画はこちら▼
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