ANA国内線でA320neoに乗ってみた

ANAに乗ったらA320でウイングレットがついていて、内容のきれいな機材に当たった。ANAではA320はありふれているし、前方にプレミアムクラスがある単通路機もありふれているので、特に疑問に思わなかったが、気になって後で調べてみたら、国内線用のA320は今やバニラエアから引き取ったモノクラスハイデンシティ仕様のハズレ機体しかなく、プレミアムクラス付のA320neoは国際線用とのことだった。ANAのA320neoは普段は中国路線を飛んでいるようだが、新型コロナウイルスの影響で国際線が減便になり、一方で国内線でも乗客が減って機材を小型化する必要が生じたことから、国内線で飛んでいるようである。ANAにはA321neoもありすべて国内線仕様なので、国内線で乗るならこちらの方が身近だろう。

エンジンカウル外側にはPratt & Whitneyのロゴがついている。メインラインジェットのエンジンでPW製のエンジンを見かけるのは久しぶりである。ANAのA320neoはPW1127を積んでいるようである。PW1000シリーズといえばギアードターボファンエンジンで、しばらく前はリージョナルジェット向けのサイズだったのが、最近はメインラインジェット向けのサイズも作るようになったようである。

エンジンは単通路機にしてはかなり太く、後で調べてみたら直径2.224mとのことだった。これは747用のPW4000やRB211のサイズである。PWのギアードターボファンエンジンは低圧コンプレッサーとファンとの間にギアを介することでそれぞれの回転数を最適化したものである。従来の2軸エンジンは低圧コンプレッサーとファンとが同じ軸についているので回転数も同じだった。これによって低圧コンプレッサーと低圧タービンの回転数を最適化できたのに加え、ファンの大きさを大きくすることができ、バイパス比を12まで上げることができた。

主脚の短い737ではこのサイズのエンジンを積むことができない。同じCFM56でも737用はA320用よりも直径が小さいし、太いエンジンを積むために主脚を長くした737MAX用のCFM LEAPの方はそれでもA320neo向けのCFMのLEAPよりも直径が小さく、その分バイパス比も小さい。また、PW1000シリーズは737向けのはまだなく、PW1000シリーズを積んだメインラインジェットを買いたかったらA320neoを買うしかない。

ファンは複合材と思しき黒いもので、スケスケなのでファンの向こう側も見える。いまどきのエンジンは空力性能のためにエンジンカウル後方がギザギザしているものが多いが、ファンの回転数を落としたことで流速が落ちたことから、ギザギザが不要になったのだろうか。

エンジン音はCFM56のぶいーんという音ではなく、普通のジェットエンジンの音だった。いまどきのエンジンだけあって、音は比較的静かかもしれない。ジェットエンジンなので当然音はするので慣れてしまうとあまり静かとも思わないが、不快なほどうるさいわけではない。

A320neoはCFMのエンジンも積めるのに、伝統的にGE系のエンジン(含CFM)を好むANAがなぜ敢えてPWエンジンを採用したのだろうかと気になった。もしCFM LEAPを採用していれば、今後737MAXを導入した際にもエンジンを共通化できていた。真っ先に思いつくのは、三菱スペースジェットがPW1200を採用しているので、PW1000シリーズを整備できる整備士をまとまった数で確保したいのではないかということ。それだけでなく、PW1000シリーズの方が従来通りの2軸エンジンであるCFMのLEAPよりもバイパス比が高く燃費性能が良いというのもあるかもしれない(A320neo用のCFM LEAPのバイパス比は11。737MAX用のCFM LEAPのバイパス比は9)。

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