レンタカーで新型カローラに乗ってみた

新型カローラにはかねてから興味があったのだが、このたびレンタカーで乗る機会を得た。セダンの「カローラ」のガソリンエンジン車であり、旧来の1.8L自然吸気エンジンと旧来のCVTを組み合わせたタイプである。新型のダイナミックフォースエンジンや新型のダイレクトシフトCVTを搭載すればフルTNGAの完成形なのだが、先代のカローラーアクシオ同様に比較的安い価格で提供する必要があるため、開発費の償却の済んだ旧来のエンジンとCVTを採用した模様。それでもボディーとシャシーはTNGAである。

レンタカー用の一番安いグレードの諸元データを拾ってみると、重量1250kg、エンジン出力は140psでトルクは170Nmとのこと。ホイールベースは2640mm、車輪は195/65R15の鉄チンホイール、最小回転半径は5.0mで小回りが利く。3ナンバーになったが依然として全幅は1750mmといまどきのCセグメント車にしては比較的幅が狭い方である。これはプリウスの全幅に合わせた由。

レンタカー用の最下位のグレードなので、安全装備はいまどきの最低限のもので、車線逸脱警告や全車速対応でない追従型クルーズコントロールや、オートマチックハイビームやロードサインアシストがついている。

走ったのは田舎の道で、比較的交通量が少なく流れの良い道である。高速道路は走らなかった。実際に乗ってみた際に印象は以下の通り。

【加速】
CVT車にありがちな加速感が無いままいつの間にか速度が上がっているタイプ。しかし余計な音を発することなくスムースに加速するので、インプレッサよりも違和感がない。パワー感は無いが一般道では十分な加速性能で、大人4人乗車であっても出足は軽やかだった。

アクセルペダルは吊り下げ式だが、特に違和感はない。また、位置が左にオフセットされている間隔もなく、てっきりオルガン式かと思ってしまった。

シフトレバーはいまどきのAT車と同様にDレンジで運転席側に倒すとマニュアルモードになるタイプ。マツダ車とは逆で車体後方にシフトレバーを引くとシフトダウンし、車体前方にシフトレバーを押すとシフトアップするタイプ。

【ブレーキ】
旧来のトヨタ車のようなカックンブレーキではなく、マツダ車のように踏み始めはあまり効かないが踏み込むと踏み込んだ分だけ効いてコントロールしやすいブレーキ。

【ステアリング】
パワステは軽めだが、ひと昔前のプリウスやアクアと違って、ステアリングを切った分だけ手ごたえを感じるので、まっすぐ走るときも曲がるときも安心で、意図した通りにレーンをキープして気持ちよく曲がることができる。

【乗り心地】
15インチタイヤを履いているのに、意外とごつごつと路面の凹凸を拾う。Mazda 3と同様にふわふわした感じはせず、実は結構快適。

【装備】
ドアハンドルは、Mazda 3と同様にドアハンドル内側のタッチセンサーに触れると解錠され、ドアハンドル外側のタッチセンサーに触れると施錠されるタイプ。ドアハンドル外側のタッチセンサーはギザギザが入っていて場所がわかりやすい。ドアロックと連動してサイドミラーが畳まれるオプションがついていた。

パーキングブレーキはレンタカーのくせに電動である。オートホールドボタンもついている。全車速追従型クルーズコントロールには電動パーキングブレーキが不可欠なのだが、もしかして全車速対応型クルーズコントロールがついていたのだろうか。一般道しか走らなかったのでクルーズコントロールは試せなかった。

Apple CarPlayとAndroid Autoのオプションがついていたが、専用のソフトウェアを入れないと使えないため、スマホをカーナビとして使うことができなかった。カーオーディオも試せなかった。

シフトレバー後ろにあるひじ掛けは高さが高くて楽。ちゃんとわかっている。こういう部分はさすがトヨタ。

オプションでブラインドスポットモニタリングがついていた。これは進路変更時に見えにくい斜め後方の車を検知するもので、絶大な効果がある。

【車内の広さ】
Cセグメントなので後席に余裕があるわけではなく、狭くない程度。インプレッサほど広々としていないが、Mazda 3のような閉塞感は無い。視認性についても同様にインプレッサ>カローラ>Mazda 3。

【質感】
営業車にも使われる安いグレードということもあり、質感は大したことない。トランクリッドはペナペナとしていて安っぽい。この辺りは日本仕様独特の設計だろうか。質感についてはMazda 3>インプレッサ>カローラ。それでも道具としての使い勝手は良好。

【燃費】
燃費メーターの平均燃費表示は16.2km/Lだった。CVT車なのに燃費はいまいち。エンジンの設計が古く、ポート噴射で圧縮比10.6なので、いまどきの高圧縮比エンジンよりも燃費が悪い。この車の数少ない欠点の一つである。逆に言えば、ダイナミックフォースエンジンに置き換えれば劇的に良くなるということで、同じ条件で走らせたら19km/L~20km/Lくらいに達するのではないか。

新型のパワートレインはコストが高いというのなら、カムリやRAV4やハリアー用の2Lエンジンではなく、ヤリス用の1.5Lエンジンでもよいのではないか。ヤリス用の1.5Lエンジンは120psで145Nmと、カローラの1.8Lエンジンよりも一回り小さいが、高効率のCVTと組み合わせれば加速性能はさほど遜色ないのではないか。

【総評】
新型カローラシリーズの中で最も地味で保守的なセダンでありながら、ボディーとシャシーの性能の良さが感じられ、先代とは別物。爽快な走りというわけではないが安心して気持ちよく走ることができるし、変な癖が無いので、生活の足として信頼できる。カローラといいインプレッサといいMazda 3といい、いまどきの国産Cセグメント車はレベルが高い。

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