復活のコアメダルが良い作品だったと言い続ける
自分の感想をとりあえず言語化しておこうという試みなのでしっちゃかめっちゃかです。どうぞよしなに。
とにかく最後のシーンがめちゃくちゃ好きだ。ポエティックな話になるので語るのが気恥ずかしいけど、めちゃくちゃ刺さった。
作中の時系列から考えてもそうだし、パンフレットにも記載があったので明らかに夕方のシーンなんだけど、初見時にわたしは「夜明けだ……」と思った。夜のまだ明けきらない、薄暗い時間帯。その薄暗い中でアンクの眼が涙で濡れていて、その涙がキラキラと光るもんだから「朝日じゃん!!!!!!!」とバカほど興奮した。アンクの涙に対して、喪失と悲しみよりは、希望とまでは言えないけど明日へと進んでいくんだという意志を感じていた。これからアンクは、どんな形になるかはわからないけど「生きていく」んだろうなあ、と思って泣いた。ものすごく爽やか……ではないか……涼やかな……ハッカのようなスッとする終わりに感じて、あのラストシーンがとにかく好きだ。
好きなんだけど、ラストシーンからのしっとりとしたAnything Goes!はあまりにもおかしすぎて爆笑してしまった。あれおかしくない?総勢6人のウォチパで観ていて、みんなそれぞれいろんな思いを抱いてスタッフロール黙ってたのに、わたしが本当に耐えられなくて「みんなごめん、本当に雰囲気ぶち壊して申し訳ないんだけど、このしっとりAnything Goes!はおかしいだろ!!!!!!」と叫んで一生ずっと永遠に爆笑していた。あのときは申し訳ありませんでした。
で、もうひとつ、火野映司が死に瀕した際の願いがアンクである、という事実がめちゃくちゃ良い。
命は失われたら戻らないという揺るがないルールの中で、火野映司の欲望はアンクだった。死にたくないでもなく、もっと誰かを救いたいでもなく、火野映司のごく個人的な願い、わがまま、エゴにも近しい底のない欲望こそがアンクの復活だった。それが「アンクのため」ではなくて火野映司自身の欲望だったのがサイコ〜じゃ〜んという感じだった。
そんでもってアンクは、オーズ本編で描かれた日々を通して様々な経験をしてきた。人との交流、戦い、葛藤、信頼など、その経験の全てを以て命を持たないはずのアンクという存在は「死ぬところまできた」、つまり命を得た。アンクがなによりも切望したのは世界を確かに味わえる命で、それは長いオーズ本編を経て得たかけがえのないもので、それでもアンクは火野映司に命を懸けた。
命に価値という言葉を並べたくないけど、つまりはアンクが得たものが紛れもない確かなひとつの命であるという証明が、火野映司によって為されたんだと思っている。アンクが火野映司に命を懸けたように、火野映司もアンクに命を懸けた。
あんまり仮定の話をしてネガティブなことを言うのは褒められたものじゃないけど、ここでアンクが何も無しに戻ってきたりしたらば、それはアンクが本編を通して得た命というものを蔑ろにしているように感じるので、個人的には非常に本編を大事に考えてくれたが故の結末だったなと思う。
全体的に、オーズ本編に対してものすごく誠実な脚本だったな〜と感じている。オーズ賛歌映画だ。そりゃ細かい部分をつつけば「プトティラのメダルなんであるんだよ」とか思うけど「でもプトティラはカッコいいから見たいよな……」となるから正直なところ些事だなと思う。そこに尺割いて整合性つけたら面白くなるかと言われれば微妙だし……でも没入感は増すかもしれないな……まあわたしにとっては些事です。
オタク6人で観て、本当に同じ映画を観たのか?ってくらい感想会で出てくる感想が違うのも面白かった。かなり否定的な感想を持った友人は見ていて気の毒になるほど苦しんでいたので(でも2回観た)いろんな意味ですごい映画だなと思う。良い作品だった。
(追記)
終盤でタジャドルやって精神世界みたいなところでアンクがエージ!って振り返るのを火野映司の腕が突き飛ばすシーンめちゃくちゃ好きだということを忘れていた。めちゃくちゃ好きです。サイコ〜〜〜〜〜火野映司が掴むためじゃなくて突き放すために手を伸ばすのヤバ〜〜〜〜〜しかもその表情が見えない、ってめちゃくちゃ興奮した。
興奮したのにその次が正面アングルの火野映司がゆっくりフェードアウトしていくカットで、これは要らんやろ!!!!!!と勢いよく立ち上がってたのにスン……と座った。情緒が壊れるかと思った。でもラストシーンと並ぶくらい突き放すシーン好きです。追記終わり。
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