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2021/2/23仮放免者の話を聞く会イベント報告

BONDでは、2/23(火)に、今年初めての「仮放免者の話を聞く会」を開催しました。以下、イベントの内容の報告になります。

1.お話の概要

 今回は、仮放免中の50代の男性と彼の息子(大学生)のお二人にお話を伺いました(以下父をA、息子をBとします)。

 Aさんは当初は2年の滞在を目安に出稼ぎ労働者として来日しましたが、そのときから既に約30年が経ちました。

 しかしながら、来日から約15年が経過した頃、オーバーステイを理由に当時の勤務先の工場で警察に摘発されました。品川入管・牛久入管の両方に収容経験があり、合計で3回、2年以上の収容期間だったと言います。1度目の収容時は、まだBさんが小学校1年生のときでした。再度収容されるとき、「なぜなんだ」「また家族と離れなければならないのか」という疑問や憤りの思いが渦巻くも、拘束されて無理やり連行されてしまいました。さらに、収容中に頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状も患ったそうです。現在仮放免2年目で、「みなさんには、この現状を認識して、日本で実際に起きている問題としてちゃんと捉えて、状況の改善に向けて動いてほしい」とおっしゃっていました。

 一方で息子のBさんはというと、大学生であると同時に仮放免者でもあるため、大学生活の様々な場面において不利益を被っていると訴えます。まず、仮放免者は居住する都道府県外へ行く場合、事前に入管の許可を得なければならないため、気軽に友達とのお出かけや旅行などに行くことができません。また、仮放免中は就労不可のため、アルバイトもできません。このような状況にあるため、Bさんは「このあと何になるのか、大学に通ったお金も無駄になってしまうのでは」という不安を抱えていると言います。

2.感想とまとめ

 Aさんのお話の中では、1度目の収容時、つまりBさんが小学校1年生のとき、収容によってBさんの成長を見ることができなかったことについて彼が後悔をにじませながら話す様子が印象的でした。また、収容中に頭痛やめまいや耳鳴りなどの症状も患ったとのお話を聞いて、改めて入管収容の及ぼす深刻な精神的・肉体的負荷を思い知らされました。
 Bさんのお話については、私も同じ大学生なので、仮放免中の移動制限及び就労禁止により、将来の見通しを立てられない状況がいかに厳しいものか、想像に難くありませんでした。

 全体を総括すると、現在の仮放免制度では、就労が認められない、居住する都道府県外に出るハードルが高い、健康保険に入れないなど、生きていくうえで必要不可欠な「お金(仕事をする)」や「行きたい場所に好きな時に行く」、「健康」といった要素がほとんど全く考慮されていないことを改めて認識しました。Aさんは「軽度の病気なら我慢することもある」とも言います。「長年築いてきた生活基盤は日本にあるため、そう簡単に日本を離れることはできない」という彼らの主張から、この過酷な状況でも日本で生きていかなければならないという強い信念を感じました。

 一方で、仮放免制度も含めた現在の入管のやり方だけでなく、今の日本の外国人受け入れのあり方全体に強い疑念を抱きました。今後、仮放免制度においても就労許可を出すことや、何らかの方法で彼らの生活を支援する施策を導入しなければ、依然として生活状況の改善は見込めないのではないでしょうか。今まさに、政府内では入管法の見直しが議題に上がり、これらの問題にも焦点が当てられようとしています。その時に、今回のお二人のお話しを念頭に、今後の法改正の動きに注目していくと、この社会問題をより身近なものとして感じられるのではないでしょうか。

以上、感想含めイベントの報告でした!最後までお読みいただきありがとうございました。