妹と何かをつくること
美容学生の妹が、アートメイクのコンテストに出ると言って、その提出するメイク写真をちゃんと撮りたいということで、写真をやっている私の学校の友達に頼むことになった。学校の写真スタジオは夏休みで閉まっていて、だがスタジオを借りるお金もなかった。それで家でスタジオを作ることにした。
家でスタジオを作ると言っても、背景と照明を用意するぐらいなのだが、妹とともにそれを作る過程がかなりスムーズにいろいろ進んだ。どこから何を借りてきてあれを買って、とかそういうのが。
カメラマンとの日程合わせとか、どういう風に撮ってもらいたいか決めるとかも含め、準備全体的にかなりすらすらと進んでいった。
どうしてこんなにスムーズなのかと思ったが、よく考えると私と妹は子どもの頃にさまざまなものを協力して作っていたからだったかも知れないと思った。
シルバニアの人形に着せる服とかカバンとかを量産していたし、幾つもの美しい泥団子を毎日作っていたし、秘密基地も沢山作っていた。
何かを作るにおいて、コミュニケーションが一番大切だということだが、そのコミュニケーションは普段のコミュニケーションとは種類が違うと思う。何かを作る用のコミュニケーションというのがあると思う。
その種のコミュニケーションを、私と妹の間には昔からあってお互いそれにかなり慣れていたのだと思う。今回のスムーズさはそこから来ている。
確かに、大人になってもきょうだいで何か作るというのはわりとメジャーな話ではある。ライト兄弟とかリュミエール兄弟とか、オアシスとかpunpeeとスラックとかキリンジとか中川家とか思いつくだけでもいろいろいる。
子どもの時から一番身近な遊び相手で、特に決めなくても指示する、されるの関係がはっきりあるし、お互い躊躇がないからいろいろとシンプルな面が多い。
だけれどシンプルすぎて、シンプルに人間性丸出しですぐに喧嘩し始めるという欠点もある。私と妹の喧嘩は、今となってはさすがに言葉の喧嘩だが、子どものころは殴る蹴るだった。今回は妹がカメラマンにコミュ障を発揮して私を通訳みたいに使おうとしてきたのでそれにブチ切れてしまった。
きょうだいで何かを作るのは、かなり人間性丸出し同士のギリギリの状況でもあるので、一定のラインは超えないように気をつけなければいけない。ある意味簡単に破滅していまうから。でもそのどうでもいい分建前とか礼儀とか気遣いとかが必要ないので、面倒くさくない。
と言っても私と妹は基本的に趣味が合わないので、これから一緒に何か作ることをわざわざ始めたりはしないだろう。
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