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プールで泳いでいる人たち

高いところからプールの安全を守る女こと私

50メートル泳ぎ切り、足をつく。後ろを振り返って、自分の泳いできた距離を恍惚とした目で眺めている、真っ黒く日焼けしたおっさん。

プールサイドに腰をかける、子連れのお母さん。子どもは勝手に遊んでいる。暑い、暑すぎる、という仕草をしながら、あくびを何回もしている。

子どもと遊ぶのは正直言ってめんどくさいんでしょう

同じような体型をして髭を生やしているゲイたちの集団。待ち合わせはプールの中らしい。仲間の1人が遅れてやってくる。ウィンクをするのが、仲間の合図らしい。

あいつらは去年も来ていたあいつらだ

毎日来る平泳ぎが上手いおじさん。今日は珍しくクロールをやっているが、めちゃくちゃ下手くそで溺れてるのかと思った。

プールサイドにゴロゴロ寝そべっている日焼け目的のおじさん。何のために日焼けをするんだろうか。お腹がボヨンと出ている。

くれぐれも、プールに入るときはサンオイルを流してくれ

水中ダンスをしているおばさん。この人はダンスバアさんというあだ名をバイトたちからつけられている。

目が合ったので一応会釈をしてみる

足首に愛と彫っている外国人のお兄さん。凄いスピードのクロールで、何往復もしたあと、颯爽とシャワーを浴びて帰っていく。

このメンツで海に行くのもありな気がしてきた

それにしても、汗が止まらない。ザブンとプールの中に入ってしまおう。プールの中を見回るフリをして

めちゃくちゃ虫がたくさん浮いているのである。

死んでいるカエルよ。カエルが溺れることがあっていいのか。足をつまんでプールから放り出す

えんがちょだ、カエルえんがちょだ、と言いながらプールから上がって、フリーターのチサで拭う

バシーンとメガホンで殴られる

50メートルの水たまりは、長い。木が周りに茂っている。何かの鳥が空を1匹、2匹。

新聞を読んでいたらFライナー特急小手指行きは去っていった。

私はこっそり叫んでしまう

バカヤロー

おい、君、チャイムは今鳴りましたかね

いえ聞こえませんでした

ですが13時ちょうどです
パ(スマホの時計を見せて差し上げる)

ありがとう。それでは授業を始めましょうか

はい、永遠に続けてください

この学校をあのプールから眺めることは出来ない

それは腹が減ってるのにガムを食うのに似ている

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