見出し画像

【速報!】シナリオどおり?磯貝建材が破産手続開始…情報公開に及び腰の群馬県が示す隠蔽体質の悪質性

2024-06-08 14:17:17 | 県内の税金無駄使い実態

↑磯貝建材の自己破産申請の準備開始を報じる地元紙の記事↑

■本日の地元紙朝刊を見た当会は、「やはり、この手で来たか!」と思わずつぶやきました。なぜなら、当会がこれまで群馬県に出してきた情報開示請求や県警への告発に対するこれまでの行政側のノラリクラリの対応を見ると、この破産手続を円滑に行えるようにするためのお膳立てだったのでは、としか考えられないためです。

 まずは週末金曜日の夕方に発せられたネット記事、そして本日の地元紙の朝刊を見てみましょう。

**********上毛新聞2024年6月7日17:04

コンクリート製品製造の磯貝建材(群馬・安中市)が破産 県発注工事で規格偽装し信用失う

↑コンクリート製造の磯貝建材↑

 コンクリート製品製造の磯貝建材(群馬県安中市簗瀬)が5月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが7日、分かった。帝国データバンク群馬支店によると、負債額は調査中。

 同社は1937年4月設立。公共土木工事に使用されるU字溝を主体に、歩車道ブロック、横断側溝などを製造していた。県内の中堅土木工事業者を主な対象として事業を拡大。災害復旧工事向けの案件を多く受注し、道路に関連した大型案件も寄与して2021年7月期の売上高は約8億4700万円を計上していた。

 しかし、同社の主要商圏となる西毛地区における公共工事や、同社製品が採用される現場が減少。23年3月に企業の合併・買収(M&A)で株主が創業家から変更し、新しい経営体制で経営再建を図ったが、同年7月期の売上高は約4億円に落ち込んだ。

 一方で同年2月に県発注の道路工事において、同社製の側溝が県の定める規格と異なる鉄筋が使用されていることが判明。調査の結果、偽装が発覚し、同年9月に開かれた県の定例会見で公表され、信用が失墜していた。売り上げは激減し、外部専門機関などとも協議したが、先行きの見通しが立たないことから事業継続を断念した。

**********上毛新聞朝刊2024年6月8日

県発注工事で規格外側溝 磯貝建材が破産準備

 県発注の道路故事で規格外の側溝が使われていた問題で、納入業者のコンクリート製品製造、磯貝建材(群馬県安中市簗瀬、長谷川裕貴社長)が5月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが7日、分かった。帝国データバンク群馬支店によると、負債額は調査中。

 同社は1937年4月設立。公共土木工事に使用されるU字溝を主体に、歩車道ブロック、横断側溝などを製造していた。県内の中堅土木工事業者を主な対象として事業を拡大。災害復旧工事向けの案件を多く受注し、道路に関連した大型案件も寄与して2021年7月期の売上高は約8億4700万円を計上していた。

 その後は公共工事などが減少。昨年2月には県発注の道路工事で、同社が納入した側溝に粗悪品が見つかった。調査の結果、県が発注した林道や県道などで、鉄筋の太さや本数などが規格に満たない側溝が使われていたことが判明。安中市でも同様の側溝が確認された。

 売り上げが激減し、先の見通しが立たないことから、事業継続を断念した。

同社は昨年3月、創業家から都内の投資会社に売却されていた。

(林哲也)

**********

■群馬県内の土木行政の信頼性を揺るがせたこの事件は、昨年2月に甘楽町における県営の林道工事で、不成型の側溝が見つかり、業者から報告を受けた群馬県が、破壊検査をしたところ、見た目以外にも内部の鉄筋が規格と異なり、単なる細い針金で、しかも本数が不足していたことが判明したことから、内部で問題視されました。

 ところが、群馬県知事が記者発表したのは昨年9月1日でした。この間、まるまる半年間、群馬県はどのような対応策を検討していたのでしょうか。その疑問を問うべく、当会は、昨年11月1日付で群馬県に、次の内容の公文書開示請求書を提出しました。

*****11/1群馬県公文書開示請求書*****

                     令和5年11月1日

 群馬県知事 山本一太 様 あて

              郵便番号 371ー0801

              住所 群馬県前橋市文京町一丁目15-10

              氏名 市民オンブズマン群馬

              代表 小川 賢

              電話番号 090-5302-8312(連絡担当者名)本人

 群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号)第12条第1項の規定により、次のとおり公文書の開示を請求します。

<開示を請求する公文書の内容又は件名>

 群馬県は9月1日、「県発注の道路工事で、規格で定めた強度に満たないコンクリート製側溝が32カ所で使われていた。建材メーカーの磯貝建材(安中市)が、製品を偽装して工事業者に納入していた。県は、工事を施工した22社に側溝の交換を指示した。調査対象は過去5年分で、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性がある。県だけではなく、市町村発注の道路工事に使われている可能性もあり、県は市町村に今回の調査結果について情報提供した。磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できた。そのため県は、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で『偽装側溝』が確認された。区間は合わせて約3キロだった」と発表した。ついては、次のことがわかる情報。

①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量

②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。

③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。

④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。

⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。

⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。

⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。

⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)

⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。

⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。

⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)

⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。

⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況

**********

 この結果、昨年11月15日に、群馬県県土整備部建設企画課技術調査係から部分開示通知を受け、同日、部分開示された資料をCDで受領しました。

*****11/15公文書部分開示決定通知書*****

                       建企第366-11号

                       令和5年11月15日

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GPU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。

⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。

⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。

**********

 開示された情報は、⑥の群馬県型側溝承認申請書と承認書、そして⑦の技術基準で、⑫は開示資料の中に特定された文書は見当たりませんでした。

 ⑥では、令和2年9月17日付で群馬県型側溝承認申請書が磯貝建材から県土整備部長あてに提出され、同年9月24日付で県土整備部長から磯貝建材に工場検査通知が発出され、同年10月8日午後2時から磯貝建材安中工場で、県から派遣された職員2名による工場検査が行われ、同年10月21日付で承認書が磯貝建材に交付されたことがわかります。

 ⑦では「群馬県型側溝承認要領」が令和5年4月1日から一部改定されており、それまでの「基準通知(群馬県が他側溝承認要領)の一部改定について(通知)」(令和元年12月17日付建企第30011-35号)は廃止されています。この承認要領の目的は、県の承認を得ると、品質の確保及び受注者の品質規格証明業務と監督員の確認業務の省力化が可能となると第1条でうたわれています

 申請の受理後、県土整備部長は、職員のなからか検査員と立会者を指定し、申請者に検査日を連絡し、申請者の工場で製造した資材について、最も生産個数の多い側溝、蓋、管渠型側溝のそれぞれ1種類ずつについて、定められた承認検査を行い、結果を県土整備部長に報告するとされています。

 検査項目は「外観」「性能」「配筋」「材料・製造方法」「形状、寸法・品質管理体制」とあります。また、承認の有効期間は3年間となっています。

 承認を受けた対象資材(側溝)は、工事請負者(受注者)が承認表示部分(ぐんまちゃんマーク)を写真に収めておけばよし、とされており、群馬県型側溝は、配筋と強度の測定を省略できる、と第8条で規定されています。

 また、承認を受けた場合、その後毎年1回ずつ、JIS製品に係る品質管理責任者が自主検査をして結果報告書を県土整備部長に提出することが義務付けられます。ところが、磯貝建材の場合、このJIS製品品質管理責任者は、社長だった磯貝昇が自ら務めていました。これでは、自ずと結果はさもありなんとなるわけです。

 検査調書では、外観(キズ、ひび割れ、欠け、反り、ねじれ)、性能(曲げ強度)、鉄筋の配置(主鉄筋の数・径、配力筋の数・径、配筋均等状況)、使用材料・製造方法(示方配合表、強度、セメント、砂利、砂、鉄筋でいずれも書類確認)が項目として挙げられています。ですが、磯貝建材の偽装は、見破れなかったわけです。磯貝建材が、あらかじめ検査用の製品を特別に準備し、それ以外の製品は手抜きだらけのものが常に出荷されていたことがうかがえます。

 とりわけ、心配なのは、使用材料・製造方法が書類確認だけで済まされていることです。プレキャストコンクリート製品はJIS A 5364で規格が定められていますが、このうち「材料及び製造方法の通則」で、コンクリート骨材や鉄筋の材料について詳しく表されています。当会が入手した情報によると、磯貝建材は、鉄筋に使う鋼材の品質を証明する書類としてミルシート(鋼材検査証明書)を入手するため、鉄筋を1本だけ発注していたそうで、その後の更新の都度、やはり1本だけミルシートを得るために購入していたことから、鉄筋の寸法や形状に加えて、材質もごまかしていた可能性が高いと思われます。なぜなら、ミルシートのない鋼材では品質が担保されておらず、当然価格も安いからです。

 磯貝建材は、こうした偽装を日常的に行っていたとみられるので、コンクリート骨材についても、注意が必要です。JIS A 5364では、コンクリート骨材として、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ骨材、電気炉酸化スラグ骨材、溶融スラグ骨材や再生骨材の使用も規定されているからです。このため、暴利を得るために手段を択ばない磯貝建材が、地元の東邦亜鉛安中製錬所から発生する鉛やカドミウム、ヒ素入りの非鉄スラグに目を付けた可能性は十分あり得ると当会は懸念しています。

■上記の部分開示通知書は、群馬県県土整備部建設企画課技術調査係が事務担当課ですが、同じく令和5年11月15日付で、決定期間延長通知書が県土整備部契約検査課検査企画係から通知されました。

*****11/15決定期間延長通知書*****

                       契第57-40号

                       令和5年11月15日

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量

②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。

③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。

④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。

⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。

⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)

⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。

⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。

⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)

⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況

※⑥、⑦及び⑫は、別途通知する。

<条例第19条第1項の規定による決定期間>

令和5年11月1日から令和5年11月15日まで

<延長後の決定期間>

令和5年11月1日から令和6年1月4日まで

<延長の理由>

 開示請求に係る公文書の量が多く、対象公文書の特定や、開示・非開示の審査など、開示決定等に係る事務に時間を要するため。

**********

■そして、年度末休暇が迫る昨年12月26日に群馬県契約検査課から部分開示通知を受け、同日、部分開示された資料をCDで入手しました。

*****12/26公文書部分開示決定通知書*****

                       契第57-45号

                     令和5年12月26日

◆部分開示の概要

請求する公文書の内容/文書日付・文書名/開示状況/開示しない部分/該当条例/開示しない理由

①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記戟されている文書/第14条第6号/当該公文書の存否を答えるだけで、県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支応を及ぼすおそれがあるため。

②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書/S.9.1・修補依頼文(22社)/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支応を及ぼすおそれがあるため。

③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠/-・-/不開示/-/-/当該請求に係る文書は作成しておらず、保有していないため.

④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか/RS.9.21/県土整備部発注工事における規格外落蓋式側溝の使用について/部分開示/ 県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている添付資料/第14条6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。

⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実/R5.9.12・県発注工平における偽装側溝の使用について/部分開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報/-/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。

⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/当該公文含の存否を答えるだけで`県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。

⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/当該公文書の存否を答えるだけで、県が行う群馬型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため.

⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠/RS.9.1・修補箇所一覧/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため.

⑪34カ所中、2カ所磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)/R5.9.1・修補箇所一覧/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。

(※当会注:⑫は、なぜか県からの開示通知では、欠番となっています)

⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況/-・-/不開示/当該請求に係る文書は作成しておらず、保有していないため。

**********

 このように、肝心の情報はいずれも群馬県情報公開条例第14条第5号に該当するとして、存否応答拒否、もしくは不存在、ないし「事務事業に支障を及ぼすおそれがあるため」を理由に不開示とされました。

 結果的には、磯貝建材の破産手続の準備が整うための言いわけに過ぎなかったことが分かります。

■その後も当会では、県土整備部契約検査課検査企画係の矢嶋正課長補佐から、不開示となった情報についても、今年5月の連休前あるいは連休後、さらに遅くとも今年6月ごろまでには開示できる部分の情報開示の可能性を検討しているとする電話連絡をいただいていました。

 今年度に入ると、人事異動により、県土整備部契約検査課の次長に、それまで新型コロナワクチン室長だった総務畑の青木敏彦氏が任命され、契約検査係長には、それまで安中土木事務所企画調査係長だった吉田晃一補佐が就きました。しかし、懸案の情報開示については引き続き消極的な対応が続いていました。

 そうした最中に飛び出した今回の衝撃的なニュースに、当会は、安中市でちょうど29年前に発覚した土地開発公社を舞台にしたタゴ51億事件のことを思い出さざるを得ません。つまり、行政は都合の悪い不祥事件が発覚した場合には、徹底的に情報を隠蔽し、最終的には住民の血税で尻拭いをして、事件に関係した公務員の責任を問おうとしないからです。

■当会では、当初から、この安中市内にある側溝製造業者を巡る不正側溝事件は、群馬県がその業者に対して品質に問題がないとする証明書を与え品質検査を免除していることもあり、また、当会に寄せられた情報によるとその業者は長年に亘って不正側溝を製造してきたことから、事件の背後には巨額の不法利得の存在がうかがえるため、第二のタゴ事件の匂いを嗅ぎ取っていました。

 また、不正な土木資材に対して、県が使用のお墨付きを与え、その結果、莫大な利権が生じる構図は、大同特殊鋼の渋川工場が副産物として長年に亘り大量に排出していたフッ素や特価クロム鉄鋼スラグを、群馬県県土整備部が再生砕石と同等だというお墨付きを与えたことで、大同特殊鋼から有害スラグの使用を独占的に扱っていた佐藤建設工業を彷彿とさせます。

 この佐藤建設工業が得た特権を真似て、東邦亜鉛の安中製錬所から排出される鉛やカドミウム、ヒ素などの重金属を含む有毒な非鉄スラグに目を付けて、これまた莫大な利権を手に入れた岡田興業と岡田工務店による不正事件があります。

 これらのスラグの不正使用を巡る群馬県環境森林部の隠蔽体質も、今回の磯貝建材を巡る不正側溝の不祥事件での県土整備部の対応と重ね合わすことができます。

■今回の磯貝建材の破産手続開始となれば、当会が県警捜査2課に提出してあった告発状が未だに正式受理されていない現状を鑑みると、県警の対応の遅滞の責任は、捜査2課に十分に負っていただく必要があるのではないか、と当会は痛感しております。

 群馬県は、32ヶ所の不正側溝を使用した偽装現場に係る情報開示を延ばしに延ばした挙句、不正側溝にかかる安全性のレベルの確認と称して、県外の業者に強度検査を特定の県内の検査業者を通じて委託するなどして、それも公表もせずに密かに実施してきました。

 その結果、群馬県が昨年2月に発覚して昨年9月に記者発表し、今年5月31日をもって磯貝建材が事業を停止して自己破産手続を開始するまでの経緯をあらためて振り返ると、群馬県による業者の「破産」を待ち、その状況を踏まえて「しょうがないので、公費で再工事をするしかないな」というシナリオだったことが浮き彫りにされました。

 29年前に安中市を震撼させたタゴ51億円事件と同様、事件にかかわった多数の公務員や取り巻きの業者らは、結局何ら責任を問われませんでした。タゴが昨年1月9日に死去した現在、配偶者ら遺族は直ちに相続放棄の手続きをとり、毎月1万円ずつあと約1万8000年間を返済する義務はもう誰も追う者がおらず、他方、安中市は群馬銀行との和解金103年ローンをあと78年分遺しており、こちらの債務については、市民の血税を充当すればいいや、とばかりに、群銀との交渉すら、やる気が全くありません。

 この磯貝建材の事件でも、今回のシナリオの作成に関与したとみられる公務員は数多くいることがうかがえます。そして、磯貝建材が自己破産となると、結局、そのツケは我々納税者住民の税金による負担とさせられてしまうことになります。

↑安中市簗瀬620-1にある磯貝建材の工場。2024年4月27日午後撮影(以下同様)↑

↑サイロの社名が消されている↑

↑操業停止中にもかかわらず、駐車場には4台の車があった。この時(4月27日)二は既にシナリオに沿って、着々と進んでいたのかも↑

■本来であれば、群馬県はもとより、磯貝建材の不正側溝が公共工事で使用された安中市などの自治体は、群馬県の記者発表や、県から送られてきた情報に基づき、ただちに行政代執行による再工事の方針を経て、修補に必要な費用を原因者である当時の磯貝建材の経営者に求償するための民事訴訟を提起すべきだったのかもしれません。

 先行して民事裁判を提起しようともせず、一方、刑事罰としてこの不正事件を逸早く警察に告発していた当会としては、「群馬県は、不正側溝を使用した工事については、例外なく、すべて請負業者にやり直しを命じる方針だ」という群馬県県土整備部からの事情聴取内容を県警が鵜呑みにしているらしく、未だに正式な告発受理をためらっている事情を憂慮しています。

 さらに、当会は、今回の不正事件の直接の当事者でないため、民事裁判を起こす権限もありません。唯一、住民監査請求を通じた損害賠償のための住民訴訟は可能ですが、訴訟を提起しても、裁判所が行政のかたを持つため、勝訴できる担保はありません。

 そうした「刑事」と「民事」の両面に存在するジレンマの「間隙」を縫うように、磯貝建材の磯貝昇・前社長への火の粉の降り掛かりを避けるために、群馬県としては(そして安中市にも相当な責任がありますが)、巧みにシナリオを描いてきたのではないか。そのために、これまでこの事件の真相究明や責任明確化を延ばしに延ばしてきたのではないか。当会はこのような疑念を振り払うことができません。

■当会に3月頃寄せられた情報によれば、磯貝建材の前社長は、市内のテニスコートでテニスを楽しんでいる姿が目撃されたとのことです。今から思えば、その時はすでに、自らに火の粉が及ばないよう、巧みに作られたシナリオの内容を本人は知っていたのかもしれません。

 仮に、もっと迅速に県警が当会の告発状をもとに、初動捜査を進めていれば、今回の自己破産準備開始の手続きに影響を及ぼしたに違いありません。なぜなら、税理士、会計士、あるいは弁護士ら破産手続を進める資格のある人物は、依頼されてもいずれも受任しなかったかもしれないからです。

 読者の皆様にお願いがあります。今日の報道以降、磯貝建材の前社長が、どこかで和やかにテニスを楽しむ光景が目撃された際には、匿名で構いませんので、直ちに当会あてご連絡賜れれば幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?