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群馬県議選から300日が経過・・・安中市区選出の2議員の互いに真逆な資産構成

2024-02-01 19:20:28 | 政治とカネ

↑2022年6月2日、40年間世話になった安中市役所本庁での退任式で岩井市長をはじめ市職員に別れを告げる粟野好映副市長(64)。このあと県議選出馬の決意を固め、同年10月下旬に出馬を表明。出典:2022年6月3日上毛新聞社。↑

■昨年令和5年4月9日の統一地方選から早くも10カ月が経過しようとしています。安中選挙区では、3名の候補者が出馬しましたが、激戦を制した2名が現在、県議会で活動しています。

*****選挙結果(選管確定)*****

【安中市】定数2/候補3

得票数(得票率) 氏名  年齢  党派   新旧 当選回数 代表的肩書

7,894(37.4%) 粟野好映 64歳 無所属   新  1回   (元)安中市副市長

6,831(32.4%) 伊藤 清 69歳 自民党(公) 現  3回   党県総務会長

6,386(30.2%) 遠間大和 43歳 無所属(自) 新      (元)安中市議

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 新人の粟野県議も、ベテランの伊藤県議も、すでに議員活動に連日勤しんでおられることでしょうが、群馬県議会では、以前より政務活動費に関するモラルハザードが酷いことは、両県議もご存知かと思います。くれぐれも、群馬県議会の公金取り扱いの杜撰な体質に染まらないように願いたいものです。

■当会では、昨年4月の統一地方選前半の県議選の選挙期間中に、マスコミの取材を受けたことがあります。その時の報道記事を見てみましょう。

**********東京新聞群馬・栃木版2023年4月6日08:11

群馬・栃木県議 Q&A 年収は1400万円程度 働きぶり 有権者が監視

 群馬、栃木の両県議選は9日の投開票日に向けて折り返し点を回り、各立候補者が舌戦を繰り広げている。県民の代表として県政運営を担う県議の仕事や待遇についておさらいした。(統一地方選取材班)

 Q 県議会はどのような組織?

 A 地方自治法九六条は県議会の権限に十五項目の議決事項を定める。特に重要なのは条例の制定・改正・廃止と、予算の制定だ。行政運営は法令と予算が根拠となるので、県が政策を進めるには県議会の議決を受けないといけない。執行機関の県と、議決機関の県議会とで「車の両輪」になっている。

 Q 年間にどれぐらい仕事をするの?

 A 定例会が群馬県は年三回、栃木県は四回開かれ、県議は本会議や常任委員会に出席する。二〇二二年度の定例会日数は群馬県が計百三十三日間、栃木県は百日間だった。ただ、特別職地方公務員の県議は勤務時間の定めがない。閉会中でも所属する常任委員会の所管事項に関する会合や現地視察、有権者からの請願や陳情への対応などをしている。

 Q 収入はどれぐらい?

 A 報酬や民間のボーナスに当たる期末手当は両県とも条例で決まり、年収だと両県議とも一般の議員は約千四百万円になる。報酬とは別に、議員活動の経費に充てる「政務活動費」も会派単位で支給される。現地視察の交通費や政策立案に必要な資料の購入、研修会・講演会開催といった使途を想定する。政党や選挙活動、生活費には使えない。

 Q けっこう手厚いように思えるけど。

 A あまりに低額だと生活を維持できず、富裕層や世襲、特定団体の後ろ盾があるといった人物しか議員になれないとしたら、政治参画の道を狭めかねない。

 一方、待遇にふさわしい仕事をしているかは、有権者が絶えず監視する必要がある。市民オンブズマン群馬事務局長の鈴木庸さん(71)は「議会情報にアクセスしやすくするなど公開度を高めると同時に、有権者も関心を持ち続けることで緊張感が生まれる」と指摘した。

 Q 政務活動費をめぐる不祥事はときどき報じられるね。

 A 「第二の報酬」という指摘もあり、一六年には富山市議会で大規模な不正受給が発覚。群馬県議会でも昨年十二月、白紙領収書を使って申請した議員が引責辞職した。年一回提出される収支報告書と領収書のコピーを群馬県議会はウェブサイトで公開しており、栃木県議会も二四年度から前年度分の公開を始める。

 鈴木さんは「使途の厳格化と、不正使用時は会派の連帯責任で全額不支給や減額といったペナルティーが必要だ」と話す。

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■上記の記事の中で、赤字で示してあるとおり、群馬県議会では令和4年12月に立憲民主党所属の太田市区選出の議員が、とんでもない不祥事件を起こしました。

**********上毛新聞2022年12月17日11:00

白紙の領収書を使い政務活動費を申請 12万円を受給 太田市区選出の八木田県議

 太田市区選出の八木田恭之県議(60)が、同市内の電気製品などを扱う店に金額の入っていない白紙の領収書発行を依頼し、2021年度の政務活動費の申請に使っていたことが16日分かった。この店から電子機器や事務用品を購入したと記入し、政活費約12万円を受給したが、店側はこれらの商品を「扱っていない」とした。八木田氏は白紙の領収書を依頼したことを認めた上で「他の店で買ったのかも知れない。間違いであれば修正する」としている。

 八木田氏が所属する県議会会派リベラル群馬の21年度政務活動費収支報告書によると、21年4月~22年2月、この店から八木田氏の事務所や同会派宛ての領収書計8枚が添付されている。このうちパソコン周辺機器やプリンター、トナーインクの購入費とされる5枚(計16万393円分)について、同会派を通じて八木田氏側に政活費計12万4398円が支出されている。

**********朝日新聞デジタル2022年12月20日11:07

白紙の領収書を使って政活費を申請 群馬県議「別の店で購入した」

 群馬県議会の会派「リベラル群馬」に所属する八木田恭之県議(60)=太田市区選出、1期目=が、2021年度に交付された「政務活動費」の一部を、白紙の領収書を使って申請していたことがわかった。19日、八木田氏が取材に対して認めた。電機店からもらったといい、「別の店で購入した物品の領収書をなくしたため、利用した例があったと思う」などと説明している。

 リベラル群馬が県に提出した、所属議員の21年度分の政活費領収書によると、八木田氏は太田市内の電機店の領収書8枚を会派に提出し、政活費計18万4158円を受け取った。

 領収書の宛名には「八木田恭之事務所」や「リベラル群馬」、ただし書きには「ワイヤレスメガホンレンタル代」「トナー代」「空気清浄機代」などとそれぞれ記されている。

 この電機店の店主は、八木田氏の自宅のアンテナを修理したことはあるが「物を売ったことはない」とし、領収書に記されている商品には店で扱っていないものも含まれると指摘。「八木田氏から1年以上前くらいに『月3千円ぐらい経費で落としたい』と頼まれ、困っているんだろうなと思い、宛名や金額が入っていない領収書12枚を渡してしまった」と話す。

 八木田氏は、電機店から受け取った白紙の領収書を使ったと認めたうえで、枚数などの詳細は「確認中」とし、今後返金など必要な対応を検討すると話した。(柳沼広幸、川村さくら)

**********朝日新聞2022年12月29日10:45

白紙領収書を利用、八木田県議が辞職

 白紙の領収書を使って政務活動費を申請し、受け取ったことを認めていた八木田恭之県議(60)=太田市区選出、リベラル群馬、1期目=が28日、政務活動費の収支報告書の訂正届と議員辞職願を県議会へ提出した。同氏が文書で発表した。辞職は同日付で議長に許可された。

 議会事務局によると、訂正届は過去2年度分の政務活動費のうち計22万8558円を減額するという内容。すべて太田市内の電機店の領収書をもとに支給された分だった。同事務局は八木田氏に返金のための納入通知書を渡したという。

 八木田氏は文書で、「支給済みの該当額の返還が決まったため、自らの責任として議員辞職を願い出た」とし、「後日改めて皆さまへのご説明の場を設定」するとした。(川村さくら)

**********毎日新聞2023年1月20日

八木田元県議が謝罪 白紙領収書 立憲に離党届提出 /群馬

↑白紙領収書を使った経緯を説明する元県議の八木田恭之氏(右)と後藤克己・立憲民主党県連会長=太田市で2023年1月19日、川地隆史撮影↑

 白紙の領収書を使って政務活動費を受け取ったとして、先月県議を辞職した八木田恭之氏(61)は19日、地元の太田市で記者会見し「支援者の期待に背いてしまい、大変申し訳ない」と謝罪した。4月の県議選には出馬せず、所属していた立憲民主党に離党届を提出したという。

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 太田市区選出の八木田恭介県議の素行については、以前から問題視されており、当会のブログでも警鐘を鳴らしていました。次のブログ記事をご覧ください。

○2020年9月22日:八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費及び旅費の二重請求について住民監査請求

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/56c45f1fb02a9dd857ad9f4e1b8f3949

■一方で、2022年の県知事と県議の所得等報告書が令和5年7月3日に公開されましたが、山本群馬県知事が2009万円、県議平均は1412万円で、前年の2000万円、1411万円より微増しました。

 しかし、県議の実際の所得は、ほかにもあります。例の政治活動費と呼ばれる「第二の給与」ともいうべき特典です。次の記事をご覧ください。

**********上毛新聞2023年2月5日12:00

議員の政活費 政策調査の支出割合が縮小、5年で10分の1に 広報費は拡大傾向《深層報道+》

↑県議の政務活動費の報告書。事務所費や光熱費など「活動補助」の支出が6割を超える↑

 議員の能力向上や議会機能を強化するための経費として支給される政務活動費(政活費)。群馬県では県と13市町の議会が導入している。議員が地域の課題をくみ取って政策に反映させられるよう、ある程度の裁量が認められているが、調査研究や政策立案のための支出は縮小しているのが現状だ。政活費受給を巡る不正が発覚するたびに運用指針が厳しく見直されている一方で、議員活動の萎縮を指摘する声もある。

■活動補助が最多

 県議には約1200万円の議員報酬とは別に、1人当たり年360万円の政活費が支給される。

 それぞれ条例で金額を定めており、市では前橋120万円、高崎100万円、太田43万円、伊勢崎42万円、桐生38万円で、他の7市は10万~24万円。町村では大泉が唯一、15万円を支給する。高崎は新型コロナウイルス感染症対策費に充てるとして、期間を限定して3割削減している。

 県議会では2021年度、総額1億6860万円が支給された。使い道の内訳は人件費、事務所費などの「活動補助費」が63.8%と最多。議会の活動を住民に伝える「広聴・広報活動費」が34.4%。「政策調査研究・政策立案活動費」は1.8%にとどまった。使い切れなかった1450万円は県に返還された。

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 上述の八木田恭介議員も、この第二の給与を財布代わりに使いたいがため、白紙の領収書という古典的な手法を使って、公金をくすねていたわけです。本来であれば横領や着服ですから、議会事務局は県警に被害届や告発状を出すべきところです。しかし、一般と特別の違いはあれども、ともに公務員という立場で、そうした「過激な」対応はしません。だから、逮捕も、送検も、起訴もされないわけです。

■話を戻しますと、安中市区選挙区の市民から、信任を得て県政に派遣された2名の県議については、まだ県議に就任後1年が経過していないため、所得等報告書や政務活動費報告書はまだ議会事務局に提出されていません。唯一、提出されて公開されているのが資産等報告書です。

 そのため、当会は昨年11月2日に群馬県議会事務局を訪れて、安中市区選出の2名の見地の資産等報告書等を閲覧しました。

 その結果、興味深い情報を得ましたので、ご報告します。

■はじめに、伊藤清県議の資産等報告書を閲覧しました。

■続いて、粟野好映県議の資産等報告書を閲覧しました。

■以上のとおり、伊藤県議は預金10万円としか記載していません。ほかに固定資産も動産も何も所有していません。収入は県議としての報酬や政治活動費等を得ているので、日常の暮らしや、政務はやっていけるでしょうが、10万円の定期預金、もしくは家で10万円を貯金箱に入れているというイメージです。

 他方、粟野県議は、預金も232万円余ありますが、それ以上に投資や保険に注力しています。それも株式などの金融商品などの流動性の高い方法で運用していることがわかります。

 安中市の職員として、総務部長という激務や、その後の副市長という重責を担いながら、どのように株式を運用してきたのか、大変興味を抱いた当会は、直接、粟野県議に質問することにしました。そして、令和5年11月8日付けで次の公開質問状を粟野県議に郵送しました。

*****11/8公開質問状*****

                         令和5年11月8日

〒379-0134群馬県安中市簗瀬468-10

群馬県議会議員 粟野好映 様

                   〒379-0114群馬県安中市野殿980

                   市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢

                   TEL: 090-5302-8312

                   FAX: 027-381-0364

資産等報告書記載の有価証券の内訳等について(公開質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 本年3月31日告示・4月9日投開票の群馬県議会議員選挙(安中市区)で見事当選されたことを心よりお喜び申し上げます。あれから7か月が経過しようとしていますが、県政の舞台でますますのご活躍を常にご祈念申し上げております。

 さて、群馬県のホームページ「議員の紹介」で貴殿のHPにリンクがあり拝見したところ、「群馬県議会議員の資産公開」として、<上毛新聞の記事がわかりやすいので、転載させていただきます>とのコメントとともに、次に示すとおり上毛新聞記事の写真と文章が載っておりました。

【記事の写真】

【記事の文章】

「4月の改選で当選した群馬県議50人の本人名義の資産が、県条例に基づき公開された。土地、建物、預金などを合わせた1人当たりの平均資産額は1701万円で、前回(2019年、3070万円)に比べて4割超減少した。前回資産が多かった上位10人のうち、半分の5人が引退したことなどが要因。今回最も多かったのは久保田順一郎氏(自民)で2億2383万円だった。

 資産額が1億円を超えたのは久保田氏と、森昌彦氏(同)の1億324万円、5000万円以上1億円未満は井田泉氏(同)の5124万円。1000万円以上5000万円未満は17人、100万円以上1000万円未満は20人、0円は7人だった。

 公開は県議の任期開始日から100日以内の資産報告を義務付ける「政治倫理の確立のための群馬県議会議員の資産等の公開に関する条例」に基づいて行われた。改選に伴い、各議員が任期開始日となる4月30日時点の資産を報告した。」

 このうち、弊職は、貴殿の「有価証券」及び「株券」について、さらに詳しく知りたいと思い、11月2日に議会事務局総務課を訪れて、資産等報告書を閲覧しました。

 つきましては、公務ご多用のところ誠に恐縮ですが、貴殿が保有する株券のそれぞれの額面金額と購入時期について、別紙「ご回答用紙」にご記入していただき、FAXにて、遅くとも11月24日(金)までに、上記連絡先まで送信いただけますと幸いです。なお、当日までにご回答いただいた場合、あるいはいただけない場合、その回答内容あるいは事情について、広く公表させていただくことをあらかじめご了承ください。  

                         敬具

別紙:ご回答用紙

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 すると、期限日の令和5年11月24日金曜日の17:55に筆者の携帯に着信がありました。たまたま中央線快速電車に乗っていて、新宿駅を出発したあたりで、「誰かな」と思いつつ、電車内でしたのでどうすべきか迷ったものの、最後尾の車両だったこともあり、割合空いていましたのでそのまま応答したところ、なんと粟野県議からでした。

 「議会開催中なのにわざわざ電話をいただくなんて」と恐縮した次第ですが、県議は「小川さんから手紙を頂戴していた件なんだけど」と話を切り出しました。

 走行中の車内のためやかましく、よく聞き取れませんでしたが、県議がおっしゃるには「資産公開の条例では、株券の銘柄と株数の開示が義務付けられているので、それ以上詳しい情報の開示は差し控えたい」とのことでした。

 筆者は「公務でお忙しいでしょうから、額面には〇をつけるだけで済むように、また、取得時期については記憶の範囲内でお願いしたのですが、ダメでしょうか」と再度お願いを試みましたが、県議は「条例の範囲内ということで」を繰り返すばかりでした。

■以上のように、安中市区選出の県議のお二人は、それぞれ、資産の金額や運用手段が非常に個性的です。少なくとも、粟野県議に関して言えば、時価1685万円相当の優良株をお持ちなので、政務活動費を不正に騙取した八木田恭介・元県議のような妙な出来心にかられる心配はないと言えます。

 当会は、今後も、県議の所得等報告書や政務活動費報告書などを適宜点検する必要性を痛感しております。また、県民の皆さんからの情報提供もいつでもお待ちしております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連記事

**********上毛新聞2023年4月9日23:13

《群馬県議選安中市区》粟野氏が初当選

↑初当選を果たし、喜ぶ粟野氏(右)↑

 9日午後9時5分ごろ、当選の知らせが安中市安中の粟野好映氏の選挙事務所に伝わると、集まった支持者は歓声を上げ、喜び合った。

 元安中市副市長。陣営は「選挙経験ゼロの素人集団」と手探りで準備を進め、3候補が2議席を争う選挙戦に挑んだ。

 期間中は自民公認の現職と、自民推薦の元市議を相手に、草の根活動を展開。一職員から副市長まで務めた40年の行政経験を前面に「市民の声を県政に届けたい」と力強く訴え、支持を集めた。

 初当選を果たした粟野氏は「皆さんの支えで勝ち抜くことができた」と感謝し、「ゴールではなくスタート。市民、県民のため精いっぱい務めることが皆さんへの恩返し」と決意を新たにした。

**********上毛新聞2023年4月9日23:08

《群馬県議選安中市区》伊藤氏が3選

↑だるまに目を入れる伊藤氏↑

 9日午後9時5分ごろ、安中市安中の伊藤清氏の選挙事務所では、僅差の2位当選に支持者からどよめきが上がった。

 伊藤氏は自民系他候補と票を分ける苦しい戦いであったとし、「応援してくれた皆さんの力のおかげ。西毛広幹道を核とした安中のまちづくりなどに寄与したい」と話した。

 選挙では自民党県連の要職経験を強調し、市議時代からの豊富な人脈で国政や県政との橋渡し役をアピール。市内全域で手堅く支持をまとめた。

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