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安中市内業者による側溝の偽装品製造から透けて見える行政とメーカーとの不透明な関係

■9月5日に次の新聞報道があったことを当会は6日に知りました。それによると、安中市内にあるプレキャストコンクリート製品を手掛ける建材メーカーの磯貝建設が公共工事で納入した側溝、いわゆるU字溝に瑕疵があったことが、群馬県の調査で明らかになったため、お膝元の安中市でも、公共工事で使用した可能性があるとして、慌てて調査するというものです。
**********上毛新聞2023年9月5日19:40

地元業者が規格外の側溝使用した問題受け、工事場所の調査に乗り出す 群馬・安中市
 群馬県発注の道路工事で、規格外の側溝が使われていた問題を受け、安中市の岩井均市長は5日、過去に市が発注した工事について、該当する側溝の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにした。側溝を納入した建材業者が地元業者のため、実態を把握する調査が必要と判断した。
 同日開かれた市議会決算審査特別委員会で報告した。
  今回の調査は、工事関係の書類が保存されている期間(国庫補助事業10年、市単独事業5年)が対象。工事した場所を把握した上で、現場で破損などがないかを確認する。
 同時に側溝が規格を満たしているかどうかも確認。規格を満たしていない場合には、契約約款に基づき、受注者に対し、再度工事を指示する方針。
 同業者の側溝をめぐっては、鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない側溝が、県発注の道路工事で少なくとも32カ所(計約3キロ)で使われていたことが判明している。
(宮崎秀貴)
**********
■このため、当会は関連記事をネット検索したところ、以下の記事がヒットしました。時系列順に記してみます。
 まずは事の発端となった9月1日の群馬県知事の定例記者会見における山本知事の発表を見てみましょう。
**********群馬県HP 2023年9月1日
令和5年度第17回定例記者会見要旨(9月1日)
■日時令和5年9月1日(金曜日)午後2時04分~3時00分
■会場記者会見室
■出席者県:知事、副知事ほか
    記者:記者クラブ所属記者等17人
■記録作成 メディアプロモーション課(報道係)
4.県発注工事における偽装側溝の使用
 続いて、「県発注工事における偽装側溝の使用」についても、ご報告をしたいと思います。安中市の建材メーカー「磯貝建材株式会社」が製造した道路排水用の側溝について、県が定める規格を満たしていないことが判明いたしました。このことについて、これまでの経緯や群馬県の対応についてご説明をさせていただきます。スライドをご覧ください。
 今年の2月、県の発注工事において、低品質の側溝が使用されていることが確認されました。これを調査したところ、磯貝建材社製の側溝に県が定める規格と異なる鉄筋が使用されているということが判明いたしました。今年3月から本格的な調査を実施した結果、鉄筋の偽装を確認いたしました。これは、不適切な側溝であるということが分かったんです。その後、群馬県では、過去5年間の県発注の工事のうち、磯貝建材社製の側溝が施工された34件の工事について、引き続き調査を実施いたしました。その結果、32件の工事で、鉄筋が偽装された、不適正な側溝が施工されていたということが判明いたしました。磯貝建材社製の側溝は、鉄筋の太さや本数が足りず、強度が不足しています。万一破損した場合、道路が陥没し、通行者などに被害が及ぶ恐れもあります。このため、本日、磯貝建材社製の側溝を使用して、工事を実施した元請業者に対して、契約の約款に基づいて、手直し工事を依頼したいと思います。群馬県としては、今年2月に今回の事案が発覚して以降、これまで慎重に調査を進めてまいりました。その結果、磯貝建材が県の規格を満たしていないことを理解した上で、あたかも規格を満たしている製品であるかのように偽装していたと判断いたしました。今回の行為は、極めて悪質だと思っています。この磯貝建材については、これまで高品質な製品製造を行うメーカーとして、群馬県が承認していましたが、この承認は本日付で取り消したいと考えています。また、今回の事案については、重大な違背行為でもあり、そういうことを踏まえて、この知事会見で発表させていただきました。公共工事の適性を維持するという観点からも、また県民の安心安全を守るという観点からも、まずは手直し工事などによって、道路の安全性の確保に県として万全を尽くしてまいります。そして、今後二度とこのようなことが起きないよう、厳正に対処してまいりたいと思います。

●県発注工事における偽装側溝の使用について
(記者)
 磯貝建材製の製品は、他にも使われていたりするんでしょうか。
(知事)
 県土整備部長、どうぞ。県土整備部長の方からご説明させていただきます。
(県土整備部長)
 磯貝建材からもGPU(群馬県型落蓋式側溝)以外にも当然使っている製品はあるという中で、ただ今回についてはGPUに限定して調査の方はさせていただいています。
(記者)
 正直、こういう偽装するものが出てくる中で、他のものが安全かということに、少し疑問があるところなんですが、そこら辺についてはどうお考えでしょうか。
(県土整備部長)
 今のところ、そのGPU限定で手直し工事をお願いしているところですので、他の製品についても5年が過ぎているものであったり、なかなかその製品的に検査が難しいという状況もございますので、そこはケースバイケースで検討していきたいと考えています。
(記者)
 内部については設計図とかあったりもするとは思うので、そこら辺を調べたりする予定は。
(県土整備部長)
 設計図というよりも、これは外注で出した製品に関して、施工図というものを業者が出してきて、その施工図と実際の現地で納品された商品が違うということで、施工図上は何の問題がないということなので、その施工図を見てもなかなか分からないというような状況になっています。
(記者)
 現地で施工図をもとに作らなかったというような状況ですか。
(県土整備部長)
 二次製品ですので、工場で作ったものを納入してそれを布設するという形になるんですね。それを工場で作った時に、群馬県が指定して承認したものと違うもので鉄筋を細くしたりして作ってしまって、それが現地に納入されたので、外見上は全然施工会社の方も分からない。それを布設してしまったと。出てきた書類については、県の規格に合った書類が出てきているので、なかなか判別が難しかったという状況になります。
(記者)
 知事に伺いたいと思います。県民の安全にも関わるような話だと思います。徹底的な調査が必要なのかなと思いますが、いかがでしょうか。
(知事)
 先ほど言ったように、これは県民の安全にも関わることですし、今回の事例は非常に深刻に受け止めておりますので、これは断固とした対処をしていきたいと思いますし、二度とこういうことがないように、今日は県土整備部長も会見に来ていますが、しっかり対応してまいりたいと思います。
**********
 その後、この記者発表を取材したメディアが報道を始めました。
**********NHK群馬 NEWS WEB 2023年09月01日17:37
群馬県発注工事 32か所で規格外の側溝を取り付けか
 群馬県が発注した道路工事をめぐり、32か所の側溝で内部の鉄筋の本数が少ないなど、県の規格を満たしていない疑いがあることがわかり、群馬県は、製造した安中市の建材メーカーに対し、規格に沿った側溝を取り付け直すよう求めることにしています。
 県によりますと、安中市に本社を置く建材メーカー「磯貝建材」は、県に資料が残る2018年以降、県が発注した道路工事、あわせて36か所で側溝の製造を担当してきました。
 このうち、高崎市や藤岡市などに設置された32か所の側溝で、内部の鉄筋の本数や太さが足りないなど、県の規格を満たしていない疑いがあることがわかったということです。
 ことし2月、甘楽町での工事の際、規格と異なる側溝が見つかったため、県が調査を行ったところ、規格を満たしていない疑いがある側溝の区間はおよそ3キロに及ぶということです。
 これまでに側溝が壊れるなどの被害は確認されていないということですが、県は現場のパトロールを強化することにしています。
 また、県の聞き取りに対し、建材メーカーの社長は、「規格外の製品を作ったことは認めざるを得ない」などと話しているということです。
 県は、コストを抑えるために鉄筋の本数を減らすなどしていたとみていて、工事の受注者を通じ、建材メーカーに対し、32か所の側溝を規格に沿ったものに取り付け直すよう求めることにしています。
 側溝をめぐる問題について、山本知事は「この会社が製造した側溝は鉄筋の太さや本数が足りず、強度が不足している。万一、破損した場合、道路が陥没し、通行者などに被害が及ぶおそれもあり、極めて悪質だ。県民の安全にも関わることで、非常に深刻に受け止めている。二度とこういうことがないよう、県としてしっかりと対応していきたい」と話していました。
 一方、NHKの取材に対し、建材メーカーの社長は「ことし3月に会社を買収して社長に就任したが、前の社長からは規格を満たしていない側溝の製造に関する話は一切聞いていなかった。このような側溝が作られていたことを私が知ったのは買収の翌日のことで、非常に驚いた。現在、前の社長とは連絡がつかなくなっている」と話していました。
 そのうえで、「買収して以降、会社では規格を満たしていない商品は作っていないと断言できる。元請け会社からの指示に従い、取り付けをし直していきたい」と話しています。
**********群馬テレビ2023年9月1日(金)18:42
規格満たさぬ側溝 群馬県内32カ所で使用 工事のやり直し求める

(写真:群馬テレビ)
 群馬県が発注した土木工事のうち少なくとも32カ所で規格を満たしていない側溝が使われていたことが分かり、県は建材メーカーなどに聞き取りを行うとともに、受注者に対し工事のやり直しを求める方針です。
 県によりますと、規格を満たさない側溝の使用が判明したのは、西毛地域の県道や国道など32カ所です。
 これらの側溝はいずれも安中市の建材メーカー「磯貝建材」の製品で、道路に設置されるU字型の側溝のうち鉄筋の本数や形状・太さが県の規格を満たしておらず、通常の製品よりも耐久力で劣る可能性があるということです。
 今年2月に、甘楽町で行われていた林道工事の現場を県が確認した際、コンクリートの異常に気が付き中身を調べたところ発覚したということです。
 磯貝建材の側溝が使われた工事のうち資料が残る過去5年間について県が調べたところ、34カ所のうち32カ所で規格と異なる側溝が使われていて、長さはおよそ3キロに及ぶということです。
 磯貝建材は県の聞き取りに対し、この側溝の製造を認めたうえで、「いつから作っていたかは経営者の交代があり分からない」と回答したということです。
 これらの側溝が崩れるなどの被害は、現時点で確認されていませんが、県では、工事を受注した建設業者22社に対し工事のやり直しを求める方針です。
 また、磯貝建材に対しては製造工場での立ち合い検査などを一部省略できる県の承認制度について取り消す処分を行います。
 山本知事は、この件に関して1日の会見で次のように述べました。
「公共工事の適正性を維持するという観点、また県民の安心安全を守るという観点からもまずは、手直し工事などによって道路の安全性の確保に県として万全を尽くしていきます。そして、今後二度とこのようなことが起きないよう厳正に対処してまいります」(山本知事)
**********朝日新聞デジタル2023年9月2日(土)08:44
コンクリ側溝の強度を偽装、道路陥没のリスク 群馬の建材メーカー

↑規格外の側溝が確認された県発注の道路工事現場=群馬県内↑
 群馬県は1日、県発注の道路工事で、規格で定めた強度に満たないコンクリート製側溝が32カ所で使われていたことを明らかにした。建材メーカーの磯貝建材(安中市)が、製品を偽装して工事業者に納入していたという。県は、工事を施工した22社に側溝の交換を指示した。

【写真】群馬県の規格を偽装したコンクリート側溝の調査結果の概要=県提供
 調査対象は過去5年分で、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性がある。県だけではなく、市町村発注の道路工事に使われている可能性もあり、県は市町村に今回の調査結果について情報提供した。
 磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。
 県によると、今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたという。
 そのため県は、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査。32カ所で「偽装側溝」が確認された。区間は合わせて約3キロだった。
 工事関係の書類が保存されていないため、5年前よりさかのぼっての調査はできないという。
 鉄筋の太さや本数が規格を下回ると、必要とされる強度がなくなり、大型車両が側溝の上を走った時、重さに耐えきれず破損するリスクが高まる。現時点では、破損などは見つかっていないという。
 磯貝建材は県の聞き取りに対して、偽装を認めたといい、偽装を始めた時期や理由については、「今年3月に社長が代わり、以前のことは分からない」と説明したという。
 県の工事請負契約書では、工事に規格外の製品を使用するなど、契約内容に適合しない場合は、受注業者に補修工事などを請求できると定めている。県は、側溝を納品した磯貝建材とは直接の契約関係にないため、元請けの受注業者に補修を要請せざるを得ないという。
 県は8月下旬、受注業者に補修工事を求める方針を説明した。補修にかかった費用は受注業者に負担させる考えを示したという。
 これに対して、受注業者からは不満の声が出て、「磯貝建材に負担させるべきだ」などの意見も出たが、県は、磯貝建材と直接の契約関係は無く指示はできないと説明したという。
 今後、32カ所以外に規格外製品が確認された場合も、道路工事の受注業者に補修を求める方針だ。
 この日の定例会見で山本一太知事は、「強度が不足していて、万一、破損した場合、道路が陥没し通行者らに被害が及ぶ可能性がある。今回の工事はきわめて悪質。公共工事の適正性を維持する観点、また県民の安心・安全を守る観点から、まずは手直し工事などで道路の安全性を確保し、二度と起きないように厳正に対処したい」と話した。(角津栄一、高木智子)
**********上毛新聞2023年9月5日19:40
地元業者が規格外の側溝使用した問題受け、工事場所の調査に乗り出す 群馬・安中市
 群馬県発注の道路工事で、規格外の側溝が使われていた問題を受け、安中市の岩井均市長は5日、過去に市が発注した工事について、該当する側溝の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにした。側溝を納入した建材業者が地元業者のため、実態を把握する調査が必要と判断した。
 同日開かれた市議会決算審査特別委員会で報告した。
 今回の調査は、工事関係の書類が保存されている期間(国庫補助事業10年、市単独事業5年)が対象。工事した場所を把握した上で、現場で破損などがないかを確認する。
 同時に側溝が規格を満たしているかどうかも確認。規格を満たしていない場合には、契約約款に基づき、受注者に対し、再度工事を指示する方針。
 同業者の側溝をめぐっては、鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない側溝が、県発注の道路工事で少なくとも32カ所(計約3キロ)で使われていたことが判明している。
**********朝日新聞デジタル2023年9月7日10:45
偽装道路側溝問題で、各市が使用実態の調査始める
 群馬県発注の道路建設工事で、県の規格で定めた強度に満たないコンクリート側溝が使われていた問題で、安中市は6日、製品を偽装していた磯貝建材(同市)の製品が、市発注工事で使われていないかの実態調査を始めたことを明らかにした。最長で過去5年間さかのぼるという。同様に太田市、富岡市、伊勢崎市も調査を始めた。
 安中市によると、磯貝建材製造のコンクリート側溝の使用の有無について、市単独事業の文書保存年限である過去5年分を対象に4日から調査を始めた。←(当会注:この記事を受けて、当会では9月8日午前9時15分に安中市まちづくり部土木課庶務係に電話をしたところ、「本件は課長が扱っているが、現在席を外しているので戻ったら伝えておく」とのこと。すると不在のはずの土木課の恩田敦課長から6分後の9時21分に電話がありました。同課長の話によると「磯貝建材のU字溝を使っているのは土木課だけでなく、農林課や松井田支所も関係しており、現在、それぞれの部署で過去の使用実績を調べている最中。それらの結果は企画政策部財政課契約検査係が集約しているので、今後はそこに聞いてくれ」とのことでした。しばらくしたら、契約検査係と面談し、調査の進捗状況や結果についてヒヤリングを予定しています)
 今後、製品が使われていたことがわかった場合は、規格を満たしているかを調査する。満たしていなかった場合は、契約約款にもとづいて受注者に工事やり直しを指示する方針だ。
 一方、藤岡市は6日、過去5年間に市発注工事で側溝を設置した46件を確認したところ、磯貝建材の製品は使われていなかったと明らかにした。(角津栄一)
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■磯貝建材株式会社について調べると次のことがわかりました。なお、同社のHPは本件がマスメディアで取り上げられ始めると、9月4日までに早々と削除されてしまい、現在は閲覧不能の状態にあります。
*****磯貝建材のHPより*****
企業名     磯貝建材株式会社
代表者氏名   長谷川 裕貢
郵便番号    379-0134
所在地(住所) 群馬県安中市簗瀬620-1
電話番号    027-385-8832
FAX番号   027-385-4005
資本金     1,000万円
従業員数    20名
設立年月日   昭和12年4月
事業内容    コンクリート製品の製造を基にした開発、改良。県内の役所・土木建築関係会社への建設資材の販売
E-MAIL  info@iskpower.com
ホームページ  https://iskpower.com
沿革
大正15年04月 群馬県安中市中宿で炭鉱業を始める。
昭和12年04月 群馬県安中市中宿520番地にて、碓氷炭鉱株式会社として資本金124,000円の法人組織を設立する。
昭和36年08月 コンクリート製品の製造販売の操業を開始。
昭和47年12月 碓氷炭鉱株式会社を、磯貝建材株式会社に社名変更する。資本金2,480,000円に増資。
昭和50年12月 本社及び工場を現在の安中市簗瀬620番地の1に移転し製造設備を新設し操業開始。
昭和51年05月 道路用プレキャストコンクリート製品製造販売開始。製品名:コンクリート境界ブロック・鉄筋コンクリートU形
平成04年08月 プラントを新規整備する。
平成05年01月 資本金10,000,000円に増資。
平成05年12月 日本工業規格表示許可を取得。許可年月日:平成5年12月7日
         JIS A 5345 道路用鉄筋コンクリート側溝 本体・蓋 許可番号393049
         JIS A 5307 コンクリート境界ブロック 許可番号393050
平成12年11月 群馬県から1社1技術選定企業に選定される。
平成18年08月 群馬県から群馬県建設工事関連新技術に認定される。
平成19年12月 日本工業規格、新JISに移行する。
         登録認証機関:一般財団法人日本建築総合試験所
         認証番号:GB0307218
平成20年12月 群馬県から、ぐんまスタンダード群馬県環境GS認定事業者に認定される。第200768号
平成28年04月 群馬県からぐんまの環境新技術・新製品等に選定される。
平成28年12月 群馬県からぐんま女性活躍大応援団に登録される。第28-216号
平成29年04月 群馬県からぐんまの環境新技術・新製品等に選定される。
平成29年09月 群馬県県土整備部から群馬県型側溝承認工場とされる。
**********
■こうしてみると、礒貝建材は、道路工事用に使われるコンクリートプレキャスト製品を生産しているため、顧客は公共事業関連の土建会社となりますが、公共工事の発注元の群馬県から製品に関していろいろ「お墨付き」をもらっているところをみると、土建会社に自社製品をいかに多く採用し、使ってもらうかは、発注元の役所の「威光」がものをいうのかもしれません。なぜなら、側溝などのコンクリート二次製品は、磯貝建材から元請けの土建会社に出荷された後、公共事業の工事の一環として、土建会社によって現場に据え付けられることになるためです。
 それではなぜこのような偽装行為がおこなわれたのでしょうか。限られた情報の範囲ですが、当会は勝手に想定してみました。
 知事の記者発表やその後の報道記事から伺えることは、コスト最優先で品質を軽視したメーカー側の無責任な経営方針が根底にあり、それを可能にしてしまったのは、品質検査を怠った行政側にも大いに責任が問われてしかるべきであるということです。

↑落ちふた式U形側溝(JIS A 5372)↑

↑鉄筋コンクリートU形側溝↑
※連結式の排水溝は、断面がU字型であることからU字溝と呼ばれています。コンクリート製のものは鉄筋コンクリートU形と呼ばれ、主に連結して道路や土地の用・排水路に用いられます。形状はJIS規格により定められており、工場で大量生産をすることができます。用途や水量に応じて対応できるよう、さまざまなサイズがあり、状況に応じてコンクリート製やアルミニウム製(グレーチング)、木製の蓋が掛けられます。

■報道記事では「鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない」と報じられていることから、上記の図をもとにチェックしてみました。
 上記の図は、「落ちふた式U形側溝(JIS A 5372)」と称される側溝の断面図で、上部には蓋とそれを受ける枠が下部のU字形の側溝本体と一体化している構造を示していて、以下の3つの不具合に関して赤字で当会のコメントを記載してあります。
・縦鉄筋規格Φ4.0×11 ⇒ Φ3.2×9
・横鉄筋規格D6×20 ⇒ Φ4.0×20
・破壊調査(GPU300×300)⇒ 蓋の鉄筋の位置が不適切
①鉄筋の太さ
 U字溝の縦方向の鉄筋のサイズが、本来は直径4.0㎜の丸棒を使用すべきところ、直径3.2㎜の丸棒を使っており、横方向の鉄筋のサイズが、本来はリブを除く本体の直径が6㎜の異形丸棒を使用すべきところ、直径4.0㎜の丸棒を使っています。つまり、直径が6㎜から4㎜小さい鉄筋に代えていることから、断面積は0.44倍となり、重量も半減します。当然強度も半減することになります。
②鉄筋の本数
 U字溝の縦方向の鉄筋の本数が、本来は11本必要とされているところ、U字溝の両側の側壁には2本ずつ配筋しなければならないのに、1本ずつしか配筋されていません。横方向の鉄筋の本数は、長さ1.5mにわたり20本配筋されていて、本数的には合っていますが、鉄筋の太さは上記①のとおり、細いものに代えられています。
③鉄筋の形状
 鉄筋は通常丸棒ではなく、異形鉄筋と呼ばれ、丸棒にリブとよばれる突起がついていて、これにより、鉄筋がコンクリートに食い込み、構造的な強度がアップする仕組みです。ところが、横方向の鉄筋は、本来、直径6㎜の異形鉄筋を使うべきところ、直径4㎜の丸棒が使われていたようです。
④鉄筋の位置
 また、県の発表では、破壊調査(GPU300×300)をしたところ、「蓋の鉄筋の位置が不適切」としているところから、蓋の鉄筋の位置が、蓋を正しく設置した場合、鉄筋の位置が蓋の下部ではなく、中央にあったことをうかがわせます。これは蓋の上から車両等が乗った場合、折れないようにするため、圧縮力には強いが引張力に弱りコンクリートの欠点を補うため引張力に強い鉄筋を蓋の下面に近いところに配筋するといった配慮が欠けていたことを示しています。

■以上のように、鉄筋の太さを細くしたり、本数を減らしたり、所定の位置に配筋しなければ設計強度を満たすことができません。このような不良品を磯貝建材はなぜ製造したのでしょうか。
 上記のとおり、鉄筋を細くし、本数を減らせばそれだけ鉄筋の量が減ります。つまり、使用する材料が少ないと、それだけ購入費用も減らせます。鉄筋は鋼材ですから、トンあたり現在12万円ほどします。しかし数年前は8万円以下でした。先年起きた原材料費の高騰で、鋼材の価格も著しく上昇したことから、材料の購入量を減らすことは直ちに損益に関係します。
 仮に、磯貝建設が毎月10トンの鉄筋を購入すると毎月120万円の支出となります。しかし、直径6㎜の鉄筋を4mにすれば、重量が0.44倍となるので、約53万円の支出で済み、約67万円が浮きます。年間だと約804万円節約できることになります。
 しかし品質を維持するために社内の検査体制の構築と遵守はメーカーの基本義務です。磯貝建材はなぜこのような偽装をしたのでしょうか。
■土建会社が土木建設工事現場で鉄筋作業(鉄筋工)を行う場合、細心の注意を払っていても間違いが起こるという前提で計画されているため、鉄筋工で配筋した後に現場監督がチェックして配筋写真を撮ることになっていて、その後に監理者が検査することになっています。
 ところが、こうしたプレキャストコンクリート製品は、工場で製造されることから、鉄筋の検査は現場ではできません。工場内でしっかりした検査体制が実践されていれば問題ありませんが、今回は群馬県からお墨付きをもらうなどして、官による検査が省略されてきた経緯があり、こうした事情も事件の発生に影響している可能性がります。
 かつて、鉄筋を既定の本数使わずに、余った鉄筋を現場責任者が転売して、カネを懐に入れていた事件が発生していました。しかしバブル景気が弾けてからは多くのゼネコンでは所長の裁量は制限されており、内部監査も厳しくなっています。このような窃盗ができるほど、今は甘くありません。
■磯貝建材では、安中市幹部の親族が3年ほど前に金融機関から転職したという未確認情報もあります。また、群馬県が磯貝建材に対して、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を与えており、この承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることなど、官業の癒着をうかがわせる出来事が発生しています。
 また、9月1日野山本一太知事の記者発表で、県土整備部長は「出てきた書類については、県の規格に合った書類が出てきているので、なかなか判別が難しかったという状況になります」と述べています。そうすると、磯貝建材は、偽りの書類を元請け業者を経由して県に提出して、不当な対価を得ていたことになるため、何らかの犯罪に該当する可能性もあります。この点も行政に確認する必要がありそうです。
 こうした不透明な事実関係について、当会には調査権がなく、また情報開示請求をしても、行政は事業者の立場を慮り、開示に不熱心なため、黒塗りの情報を示す恐れもあります。限られた時間と権限の中で、この事件の背景を掘り下げてみたいと考えています。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考記事
**********群馬建設新聞2018年06月02日
群馬県GBX工業会・第12回通常総会を開催
 群馬県GBX工業会(佐藤一己代表理事)は5月30日、群馬県JAビルで第12回通常総会を開催した。2018年度の事業計画書案や収支予算案などを審議し、いずれの議案も賛成多数で承認された。事業計画では、規格通りの製造および管理ができているかなどを合同立合検査を行い確認し、より良い品質の確保を図っていくとした。来賓には群馬県中小企業団体中央会の石井暁氏が駆け付けた。
 冒頭、佐藤代表理事は防草機能を有したGBX製品などの出荷状況に触れ「さまざまな技術を取り入れ、顧客のニーズにあった製品を提供し、業界の発展や活性化につながるようにいろんな事に取り組んでいきたい」と意気込みを語り「人材確保のためには良い労働環境や機械設備などによる省力化など、さまざまな改善をしていかなくてはなりません。魅力ある職場、業界にして若い人たちに働いてもらえるように頑張っていきたいと思います」と語った。
 同会では17年4月から3年に1回の頻度で検査を行う群馬県側溝承認が開始されたことを受け、18年度事業計画書に製品の品質確保のために合同立合検査を実施することを盛り込んだ。規格通りの製造、管理ができているかなどをチェックし、認められれば同会独自の認証工場証を発行する。このほか継続して行う事業として、防草機能付きのGBX製品が開発、出荷が開始されたことで、今後もさらなる需要や出荷の増加が見込まれることから、品質確保や安定的な供給を図るとともにさらなる普及に力を入れる。さらに、顧客のニーズに対応して新商品の開発や安全性の改良を図っていくという。

**********
※事業協同組合群馬県GBX工業会
登記上の本店住所   〒379-2121群馬県前橋市小屋原町1044番地の6
企業名フリガナ    グンマケンジービーエックスコウギョウカイ
上場区分       非上場
法人区分       その他法人
商標         商標はありません
特許         特許はありません
意匠番号/発明の名称 2016015585/境界ブロック用防滑ゴムピース
           2016015587/境界ブロック用防滑ゴムピース
法人番号       5070005001817
法人番号指定年月日  2015年10月5日
会社法人等番号(法務省登記) 0700-05-001817
番号 変更日       変更項目
1  2019年04月11日 法人番号の新規登録
2  2019年04月11日 住所移転 (旧住所:群馬県前橋市)
3  2021年12月22日 登記の閉鎖
**********京都政経調査会2023年9月2日22:24
群馬・安中市:磯貝建材・規格満たさぬ側溝販売!
群馬県内32カ所で使用!
建設業者22社に工事のやり直し求める!
 群馬県が発注した土木工事のうち少なくとも32カ所で規格を満たしていない側溝が使われていたことが分かり、県は建材メーカーなどに聞き取りを行うとともに、受注者に対し工事のやり直しを求める方針。

20230901山本一太群馬県知事定例記者会見↓
https://www.youtube.com/watch?v=AbVRipzC3pQ

 県によると、規格を満たさない側溝の使用が判明したのは、西毛地域の県道や国道など32カ所です。
 これらの側溝はいずれも安中市の建材メーカー「磯貝建材」の製品で、道路に設置されるU字型の側溝のうち鉄筋の本数や形状・太さが県の規格を満たしておらず、通常の製品よりも耐久力で劣る可能性があるという。
 2023年2月に、甘楽町で行われていた林道工事の現場を県が確認した際、コンクリートの異常に気が付き中身を調べたところ発覚したという。
 磯貝建材の側溝が使われた工事のうち資料が残る過去5年間について県が調べたところ、34カ所のうち32カ所で規格と異なる側溝が使われていて、長さはおよそ3kmに及ぶという。

 磯貝建材は県の聞き取りに対し、この側溝の製造を認めたうえで、「いつから作っていたかは経営者の交代があり分からない」と回答した。

 これらの側溝が崩れるなどの被害は、現時点で確認されていないが、県では、工事を受注した建設業者22社に対し工事のやり直しを求める方針。
 また、磯貝建材に対しては製造工場での立ち合い検査などを一部省略できる県の承認制度について取り消す処分をした。

 山本知事は、この件に関して9月1日の会見で次のように述べた。
「公共工事の適正性を維持するという観点、また県民の安心安全を守るという観点からもまずは、手直し工事などによって道路の安全性の確保に県として万全を尽くしていきます。そして、今後二度とこのようなことが起きないよう厳正に対処してまいります」(山本知事)

 磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。
 県によると、2023年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できた。

 鉄筋の太さや本数が規格を下回ると、必要とされる強度がなくなり、大型車両が側溝の上を走った時、重さに耐えきれず破損するリスクが高まる。現時点では、破損などは見つかっていないという。
 今後、32カ所以外に規格外製品が確認された場合も、道路工事の受注業者に補修を求める。
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