【試作品】第♠夜
こんな夢を見た。
僕の名前は長田秀一郎。埼玉西武ライオンズや横浜DeNAベイスターズに投手として在籍していた。現役を引退した今は平凡な生活を送っている。
今日は最寄りのA駅から用事があって池袋まで出かける。僕はA駅で「銀河鉄道 池袋行」に乗り込んだ。「銀河鉄道」はたしか一般的な鉄道の「快速」にあたるものだった気がする。
僕は車両に乗り込み、席の前の吊り革につかまった。するといきなり、後ろから小学生の様なノリで体を触られた。振り向くとそこには、すゑひろがりず・三島がいた。その様子を、席に座ったGAG・坂本や金属バット・友保がニヤニヤしながら見ている。さらにその後すぐ、おいでやす小田からも同様の行為を行われた。なんでそんなことをされるのか、はたまた彼らと知り合いなのかも分からない。
嫌になった僕は、ドア横のスペースに移ってやりすごすことにした。しかし、GAG・坂本はしつこく追いかけてくる。よく見る笑顔で「なんでこのノリに付き合ってくれないんだよ」とばかりに話しかけてくるが、苦痛でしかない。思わず僕は「しつこいんだよ!」と大声をあげてしまった。途端に彼らの表情が変わった。今までニヤニヤしながら僕をいじってきた芸人たちが一斉に僕を責め立ててきたのだ。僕はすっかり悪者になってしまったようで、まくしたてる芸人たちの頭上でパワプロの青特が次々と取得されていく様子が目に映った。僕は隣の車両に逃げ込もうと走り出したが、そこには鉄道好きの高校同期がなぜかおり、なぜか阻まれてしまった。こいつこんな力強かったっけ。いつの間にか僕は追われる身になってしまっていた。
たまらず僕は途中のB駅で一度下車して隣の車両に逃げ込んだ。幸い、隣の車両に僕を追っている芸人はいなかった。その代わりに警官が2人おり、事情を説明すると優先席に座らせてもらえた。少し経って、隣の席に座っていたラランド・サーヤがLINEの画面を見せてきながら僕に「ねえ、そっちの車両に変な人来てない?って言われたんだけどもしかしてあなたのこと?」と言った。それを聞いて、側にいた先ほどの警官たちも訝しげにこちらを見た。僕は慌てて事情を説明し、なぜか交通系ICカードをみせて身分を証明しようとした。するとその警官のうちの一人が「ああ、私たちと同じ警察官でしたか」と言いながら切符を手渡してきた。全てが意味不明だったが、彼らが自分の味方であることは分かったのでとりあえず切符を受け取った。
池袋行だったはずの列車は、いつの間にか最寄りのA駅に到着しようとしていた。いつの間に方向転換したのだろうか。最寄駅から逃げることも可能だと思ったが、なにせあいつらは隣の車両にいるし、家に帰るにはその車両の前を一度通る方向に進まなければならない(今考えれば大回りすればよかったのだが)。僕は警官たちに、隣の車両にいる芸人に追われていることを説明すると、列車を駅の手前で止めてくれる運びになった。なぜ警官にそんな権限があるかもわからないし、そもそもそんなことをしたところで僕が逃げやすくなるとも思わなかったが、とりあえずそれを受け入れることにした。
ドアが開く。列車から出ると予定通りそこは駅の手前の線路、ではなく駅の手前の道路であった。僕は全速力で走り出し、あいつらのいる車両の前を通り過ぎた。そのまま走り続けていく。ふと後ろを振り返ると、こちらに向かって走ってくる人物がいた。追手だ。僕はそう感じながら走り続けたが、その人物はどんどんこちらに追いついてくる。もう終わりだ。そう思って再び後ろを振り返ると、その人物はすぐ近くに迫っていた。だが、よく見ると買い物帰りの主婦がたまたま同じ方向に全速力で走っているだけだった。
僕はひたすら家に向かって走り続けた。途中で急激に足が重くなり、全く進めなくなった。これは夢だと気づいた。
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