指文字でかるたをしてみた話

今年度に入ってから、色々とご縁があって、手話を勉強しています。

今年はないけれど、実は今まで聴覚支援学校から百人一首講座を頼まれたりしていたのですが、手話は分からないのでPowerPointに頼り、喋ることは先生が通訳してくれていたので、説明もそれで成り立っていました。
聴覚支援学校と地元の中学校の交流で毎年かるた大会をしているのだそうで、ろう者も分かるように、パネルに書いた百人一首を読みと同時に見せる形式でやっているとのことですが、パネルを見てから探す分、なかなかうまく取れなくて苦労しているので「早く取るコツを教えてほしい」という相談を頂き、それから年に一回講習に伺っていたのです。

が、競技かるたは「聞いて取る」が当たり前なので「聞こえない」ということについてあまり……というか、全然考えてみたことがありません。
そこで、とりあえず「決まり字と取札の組み合わせ」を覚えてもらうということを教えていました。まぁ、基本ではあるのですが、競技かるたとは関係のない一般的な中学生のほとんどが下の句に入ってやっと札を探すものなので、決まり字覚えているというだけでも有利になります。
案の定、教えた子達は20枚近くを取ることが出来、本人たちも喜んでいたと聞き、私も嬉しく思いました。

しかし、講義をしていて、目の前にいる子どもたちに自分自身で言葉を伝えられなかったことは悔しく思っていたし、もっと何か、競技かるたのこういう世界をこの子たちに体感してもらうこととか出来ないのかな、なんてことをフンワリ考えていました。
それで、私の心の友(笑)が手話サークルに通い始めたことを聞いて、私も便乗して手話の世界に乗り込んだというわけです。

手話といっても最初から会話できるわけじゃないので、まずは指で表すアイウエオ…いわゆる「指文字」を覚えるところから始めました。
50音を覚えること自体は自分的にそんなに大変ではなかったのですが、せっかく覚えたからと思い、百人一首を一文字一文字指文字で表して指文字の練習をしてみたりしました。
そこで「これでやればいいんじゃね?」と思い、色々調べて見たところ、別府大学の手話サークルで同じことを実際にやっていた記事をネットで発見
https://www.asahi.com/sp/articles/ASL1Q0BVBL1PUBQU00F.html

実例があるならば!と思い、通っている手話サークル「きずな」の代表の方に相談してみたら「みんなにも実際やってもらおう」となったので、指文字競技かるたをちょっとだけやってみました。

※余談※
代表「そのやり方を手話で説明してね(ニッコリ」
私「説明……説明……!?!?」
代表「ちゃんと、ろう者が分かるように工夫してみてね(ニッコリ」
代表の方もろう者なので、説明文を書いては添削してもらったりしながら何とか説明するに至りました。

決まり字の概念を理解してもらうこと
組み合わせを覚えること
指文字を見て分かった時点で取ること

これらを試してもらった所、ろう者の方が、指文字の動きの途中で分かって札を取ってくれました。決まり字になる前でした。
例えば「うか」「うら」を指文字で表現する時は、「う」の次に「か」もしくは「ら」を表すわけですが、「か」と「ら」では指の動きが異なります。なので、「う」の後の指の動きで「か」になるのか「ら」になるのか判断出来るわけです。

我々健聴者で言うところの「子音で聞き分けて取る」というのと同じじゃないか!

工夫すれば、同じようなことは出来るんだなぁと思いましたし、聞こえない人も楽しめるようになったら、世界がさらに広がるんじゃないかな、一人の力では何かを作れるわけではないけれど、色々考えて、かるたを楽しめる形が一つでも増やせたらいいな、なんてことを、何とな〜く考えてみたりなんかしたりした私でした。

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