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石油井掘削現場

始めて掘削現場に行ったとき、その迫力に圧倒されたものです。以来、合計500日ぐらい海上のリグで過ごしてきたでしょうか。今はオフィスで油層モデルの構築や開発計画立案の仕事に携わっていますが、掘削現場の仕事は今でも頭に焼き付いています。

掘削が始まると現場は24時間、7日間/週 休みなく行われます。通常、南国の海上掘削現場作業は12時間交代の2クルー制で行われています。

掘削リグとそのクルーはコントラクターから雇い、また、その他のほとんどの作業もそれぞれコントラクターを雇って行われます。石油開発会社 (オペレーター)は、通常、カンパニーレップと呼ばれる掘削に関して指示をだす現場責任者と、必要に応じて (例えばターゲットとなる油層の中を掘り続けるために詳細に井戸の掘削進路を指示したり、重要なデータ収録作業を監督したりするなどの際)、 GeologistやReservoir Engineerを現場に派遣するのみです。
必要に応じて不定期に派遣されるGeologistやReservoir Engineerは一人で現場に派遣されることも多く、特に12時間交代ということではなく、現場の作業に応じて働く場合が多いです。

海上のリグには通常ヘリコプターで行きます。リグにつくとまず、セイフティー・インダクションと呼ばれる安全指導があります。避難経路や安全ルール、警報音の種類など一通り説明を受けます。

掘削のための実際の作業はドリルフロアーと呼ばれる場所で行われています。そのほかにもリグには、地下から上がってきた地層の堀くず (カッティングス) を処理する場所、掘削中に井戸内を循環させる泥水と呼ばれる流体を調合する場所、セメントを調合する場所、機器の修理や工作などを行う部屋、そして食堂、寝室などを含めた居住区域など、いろいろな場所で多くの人々が働いています。また、必要に応じてデータ収録作業のためのキャビンがおかれたり、特別な作業のためのコントラクターのクルーが乗船したりして、あわただしく人の出入りがあります。

食堂では1日4回、朝、昼、晩、深夜に食事がとれます。南国の気温、特に夏場の気温は非常に高いので、室外で働いている人の塩分補給のために、食堂にはよく塩のタブレットがおいてあります。

居住施設は多くの場合、昼シフト、夜シフトのクルーがそれぞれ数人ずつシェアしていて、交代で眠るため、ほとんどつねに暗くしていて、ほとんどいつも誰かしらが寝ています。したがって睡眠前のくつろぎの時間はレクリエーション・ルームでテレビをみたり、ヘリの来ない時間帯はヘリデッキで散歩やジョギングをしたりしています。

現場とオフィス間の連絡は、昔は無線、その後ファックスや電話、そして今は携帯電話やインターネットでのやり取りも可能になり、ずいぶん便利になりました。いまでは現場とのリモート会議も、オフィスからのリアルタイムでのデータモニタリングも可能となり、コロナの関係もあり、できるだけ現場に人を送らず、リモートでの現場コントロールが行われるようになりました。

ただ、今でも重要な作業ではやはり現場に人を送らなければならず、また、何よりも掘削作業自体は現場での作業なくしては行えません。現場の過酷な最前線で作業されている皆さんには本当に頭が下がります。

掘削現場の様子や井戸がどのように掘られるかなどはYouTubeでも動画で見ることができます。以下は他社さんの動画ですが、よくできた動画だと思います。ご参考までに。

洋上掘削リグの様子

海上での掘削作業の進め方


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