祖父母の人生振り返り〜自分のルーツ辿ってみては〜

第108回

難聴ソルのゆんたくTime

2020年(令和2年)11月19日 島原新聞掲載


寒くなってきましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?久しぶりの投稿になりますが、今、伝えたい、と思うことがあり、筆をとりました。今回は、私の祖父母への想いをつづらせていただきます。

11月8日は、祖父母の70周年の結婚記念日でした。70年という長い時(とき)を支え合い、仲良く過ごしてきた二人。波瀾万丈の歴史をくぐりぬけ、今もなお健在でいてくれていることをとても嬉しく思います。

祖父母の出会いは、偶然の重なりだったようです。早くに父を亡くした祖父は、京大で医学を学ぶ苦学生でした。大学最後の夏休みに住み込みの家庭教師のアルバイトとして、生まれて初めて島原半島に足を踏み入れたそうです。その時たまたま、島原の実家を訪れる機会があり、祖母和と出会ったのです。そこで祖父が祖母にひと目惚れし、すぐに結婚を考えたそうです。プロポーズは島原城。両家の顔合わせも慌ただしくすませ、その年の11月には挙式。結婚式は森岳公民館(現島原図書館の辺り)で行ったそうです。公民館で結婚式を挙げたと聞いた時は驚きました。

それから70年、共に歩んできた2人です。私自身、今年で結婚して7年目。7年過ごすだけでも嬉しいことや辛い事があるのに、その10倍の年月を過ごしてきたのだなと改めて感慨深く思いました。

今年の春から主人は神奈川の病院で勤務となり、1人赴任しました。私も一緒に行く予定でしたが、コロナの影響で長崎に残ることになり、離れて暮らしています。そんな主人が10月末から10日間ほど、休みをとって帰ってきました。久しぶりの再会にとても緊張してしまいました。主人は全然変わっておらず、元気な様子。安心しました。

空港から島原の実家に向かい、夜遅くなりましたが、主人が祖父母にあいさつに行きたいと言うので、顔を見せにいきました。すると祖父母も大喜びで迎えにきてくれ、私たち夫婦のことをとても大事に思ってくれている気持ちが伝わり、嬉しくて胸がいっぱいになりました。滞在している間は、毎日食事をしたり、話をしたり、普段できない凝縮した祖父母との時間をつくることができました。

そんなある日、コスモスが見頃ということを聞き、祖父母を連れて主人と一緒にしまばら火張山花公園へ出かけてきました。祖父母は年々足腰が弱くなってきて、長時間歩くのが難しくなってきています。ですが、火張山花公園には「運転手付きカート」が備えてあったので充分楽しむことができました。祖母は「島原にこんな綺麗な所があったのね」と、とても嬉しそうにしており、連れてきてよかったなと思いました。満開のコスモスのなか、4人で過ごす時間はかけがえのない幸せのひとときでした。

私が嬉しい時はもちろん、辛い時や迷った時、話に行くのは祖父母のところでした。今でもそうです。私にとっては安心できる、居心地がよい場所です。旅に出る時も、帰ってきた時も必ず声をかけるのは、いつものことです。

私が顔を出した時には、いつも笑顔で迎えて、好きなものを食べさせてくれる祖父母。私が何かをやりたいと相談すると、私を信じて背中を押してくれる祖父母。私がわがままを言っても大きく受け止めてくれる祖父母。

私はこの歳になって、祖父母が私のことを大事に思ってくれていることを改めて感じています。

おじいちゃん、おばあちゃん、いつもありがとう。これからも体調に気をつけて仲良く元気に過ごして下さい。私はおじいちゃん、おばあちゃんの孫でとても幸せです。

皆様にも祖父母がいらっしゃいます。お亡くなりになられた方も、健在の方もいらっしゃると思いますが、私たちが、今、存在しているのは、祖父母の存在があってのことです。時々、おじいちゃん、おばあちゃんの人生を振り返って、自分自身の歴史を辿ってみるのもよいですね。

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