世界遺産登録を勧告~『赤い花の記憶 天主堂物語』~ミュージカルで親しみを

第82回

難聴ソルのゆんたくTime

 

2018(平成30)年5月25日 島原新聞掲載

 

先日、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」がイコモス(ユネスコの諮問機関)から世界文化遺産として記載が適当との勧告を受けました。長崎にまた世界遺産が増えることは喜ばしいことですね。

 

この世界遺産認定に向けて、長崎県をはじめ市民レベルでもたくさんの支援活動が行われています。

 

きょう、皆さんにお知らせしたいのは、7月21日(土)、長崎市の長崎ブリックホールで行われる「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」世界遺産登録支援ミュージカル『赤い花の記憶 天主堂物語』です。

 

このミュージカルはフランス人神父のプチジャンと天草出身の大工棟梁・小山秀之進との対立や交流を軸に、大浦天主堂と信徒発見、浦上四番崩れ、日本におけるキリスト教の450年に及ぶ道のりを様々なエピソードを交えながら描く壮大な物語で、今年で通算10回目となる公演だそうです。

 

舞台となるのは国宝でもある大浦天主堂。長崎や浦上では豊臣秀吉によるバテレン追放令により宣教師は追放され、教会は破壊されて、続く徳川幕府によるキリスト教禁教令により250年もの長い間、キリシタンへの迫害や弾圧が続いていました。

 

そんな歴史的背景のなか、1865年2月に大浦天主堂は建立されました。そして、その1か月後に宗教上でも歴史的な瞬間が訪れました。天主堂で祈っているプチジャン神父のもとに15人ほどの人が訪れ、「ワタシノムネアナタノムネトオナジ」。つまり「私達もあなたと同じ信仰を持っています」と告白したのです。

 

厳しい禁教令と宣教師がいないという状況のなか、ゆうに250年もの間、表面は仏教徒を装いながら、密かにキリスト教を信仰し続けていた人々がいました。このような形で信仰を守り続けていたのは世界中を見てもこの長崎だけだったといいます。これが有名な「信徒発見」と言われ、大浦天主堂敷地内にもこのことを語り伝えるレリーフが残っています。

 

ときは幕末の混乱期。浦上の信者たちは大浦天主堂という大きな精神的支柱を得ましたが、その後ほどなく、信仰を告白した信徒らが厳しい拷問により改宗を迫られ、全国各地に流刑となる大変厳しいキリシタン弾圧事件「浦上四番崩れ」につながっていき、3千人を超える信者が様々な地方に流されました。1873年、キリシタン禁制が解かれたのですが、キリシタンにとっては苦しい時期が長く続きました。

 

私たちは世界遺産登録をきっかけに、ただの観光としてではなく、このような世界的にも例を見ない潜伏キリシタンの歴史を改めて知る機会にしたいものです。大浦天主堂ではキリシタン博物館が今年の4月1日から開館になっていますのでご興味のある方は行ってみられてはどうでしょうか?

 

~島原から姪が出演 ぜひ会場で鑑賞を~

実はもう一つ、私が多くの方々に見ていただきたい理由があります。

 

こちらのミュージカルは長崎市内だけではなく、県内各地から多くの方がオーディションを受けられたのですが、南島原から5人、島原からも1人出演します。島原からの出演者は私の姪です。時々新聞紙面でも「のんちゃん」という名前で記事を書かせていただいたことがあります。

 

幼い頃からずっとダンスが好きで、感性豊かな子でしたが、中学生になってから、目標を持ってダンスに加え声楽も学び始め、さまざまな催しにも積極的に出演するようになりました。4月の長崎帆船まつりではディズニーパレードのダンサーとして、暑いなか大勢の人の前で笑顔とキレのあるダンスを披露したほか、中学校の運動会では応援団として中学生とは思えない迫力のある応援の型を創作し披露しました。

 

頑張っている彼女のもとに、先月キャスティングの知らせが届き、あの小さかった姪が自分の力で、家族以外の人に認めてもらえたということがとても嬉しく思いました。世界遺産登録に向けて大きな意味のある舞台で、自分らしく活躍してほしいと願っています。

 

今回、ご紹介した『赤い花の記憶天主堂物語』は長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産がなぜ重要なのかという意味を知っていただくのに、ミュージカルという形式の感性豊かな舞台で、大人にも子どもにも分かりやすい内容で歴史にふれるよい機会だと思います。

 

また、稽古の話を聞くと、毎週みなさんとても熱心に先生の指導のもと稽古に励んでいらっしゃるとのこと。そして音楽はOMURA室内合唱団による生演奏だそうです。長崎各地から集まってきた多くの出演者による、長崎弁たっぷりの長崎の歴史がたくさん詰まった市民ミュージカル。そんな舞台をぜひ応援していただきたいと思います。

 

皆さん、ぜひ7月21日には長崎ブリックホールへ足をお運びください。

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