身体障害者手帳~カード化交付が決定~社会保障また一歩
第92回
難聴ソルのゆんたくTime
2019(平成31)年2月13日 島原新聞掲載
平成22年11月14日。私は、以下のような記事を島原新聞に書きました。
―「身分証明書を見せてください」と言われたら、皆さんは何を見せますか。多くの人は運転免許証か保険証を見せると思います。どちらもカード1枚ですね。
私は身分証明証として、身体障害者手帳をいつも持ち歩いています。ところが、これはカードではないのです。カードケースには入らない、中途半端な大きさの四つ折りの紙です。長く使っていると折り目が破れてバラバラになることもあります。私の身体障害者手帳はすでに四つ折りの1枚だけ外れています。
とても大事なものなのに、使い勝手が悪いのです。昔は健康保険証も免許証も紙でしたが、今はカード化しています。障害者手帳もカードにして欲しいと思います。
使い勝手が悪いからだけではありません。私たち障害者にとっては常に肌身離さず持っていなければならないものです。
なぜかというと、様々な福祉サービスを受ける際に必要になる証明書だからです。身近なところでは、障害者手帳を提示することで、船や電車、バス、飛行機、高速道路などの交通機関で割引サービスを受けることができます。
それなのにとても中途半端なサイズなので、財布にも入れることができません。かといって大きめのバッグの中では行方不明になってしまいます。
手帳だけを別にしなければならないので、失くしやすいし、家に忘れることも多いのです。他のカードと同じサイズであれば、そのようなことは起こらないと思います。
また、パソコンやスキャナーなど印刷技術が向上している現在、紙の障害者手帳の複製はいとも簡単で、セキュリティ面で心配があります。
偽造した障害者手帳を使い、障害者向けの福祉サービスを受けるといった犯罪が起こっているのも事実です。
身体障害者手帳を安全で使いやすくするためにも、ぜひカード化を進めていってもらいたいものです。多くの方にはあまり関心がないことかもしれませんが、身体障害者にとっては身近な問題なのです。障害者でなければ見えない物事が色々あるということを知っていただければ幸いです。
(以上、過去記事より引用)
―というものです。あれから8年後。昨年の10月25日。とうとう厚生労働省、社会保障審議会により、カード型の障害者手帳の交付を可能とする、ということが決まりました。
新しいカードは運転免許証などと同じ大きさで、耐久性が高いプラスチック製、免許証のように氏名や住所、そして障害の内容などを記載されるとのことです。
多くの障害者が、長年求めていたことがようやく形になったことを本当に嬉しく思っています。
このカード化は実際にカード型で発行するかどうかは自治体の判断に委ねられており、私の住む長崎県ではまだ、カード化されていません。
ですが、カード化が現実のものとなったように、障害者当事者がしっかりと自分達で声を上げることですぐ導入されると思います。
また一歩、障害者の社会保障が進んだこと。声を上げることの必要性を、大きな喜びとともにかみしめています。
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