運命の犬と出会う〜一生のパートナーに〜ともに新たな挑戦


第103回

難聴ソルのゆんたくTime

2020年(令和2年)1月25日 島原新聞掲載


たびたび島原新聞にも登場していた、私の愛犬バディがこの世を去って2年が過ぎました。この2年間はなんとなく心に穴が開いたような気持ちでいました。

令和元年の9月下旬のある日、母から突然、LINEメッセージが届いたのです。「あのときの子犬、まだいましたよ。飼いますか?」私は、色んなことを考えて、すぐには返事ができなかったのですが、そばにいた主人がOKと快諾してくれました。「え?本当にいいの?」と言うと、夫は軽い気持ちで「いいんじゃないの?名前はイヌーンで」との返事。私は嬉しくもあり、心配でもあり、やはり一つの命を預かるという責任を考えると、ちょっと複雑な心境でした。

その子犬との出会いは偶然でした。母と長崎へ買い物に行ったときのこと。母が買い物をしている間、私は近くのお店を見て歩いていました。すると、昔ながらのペットショップがあり、ちょっと覗いてみたのです。ドアを開けると、目の前に真っ黒のモフモフした塊がじっとこちらを見ています。思わず目と目が合って、しばらく見つめ合っていました。特に子犬は喜んでいるようには見えなかったのですが、私はすごくそのトイプードルの子犬が印象に残ったのです。すぐに、「ちょっと可愛い子がいるから見て!」と母を呼びました。すると、母も「あら、この子は可愛いね」と気に入った様子。ですが、今まで大型犬しか飼った経験がなく、持ち上げるとあまりにも小さくて不安になりました。また、犬を飼うと自由にあちこち行けなくなるなという思いもあって、その時は諦めました。ちょっと振り返ると、やっぱり真っ黒な瞳でこちらを見ています。後ろ髪を引かれる思いで帰りました。

それからしばらくは、「あの犬可愛かったね」と話の中に度々登場していました。それから20日ほど経って、母からあのLINEメッセージが来たのです。

母も気になっていたのでしょう。再び、あのペットショップを覗いたところまだいたのだそうです。運命だったのでしょう。ついにこの子が我が家にやってくることになりました。嬉しかったです。母はまず子犬を島原の実家へ連れて帰りました。私は長崎の自宅にいましたが、連絡を受けて、追いかけるように島原へ向かいました。再会してみると、やっぱり真っ黒な瞳でじっと私を見て、今度は嬉しそうに真っ黒モフモフがじゃれついてきました。そのとき「この子の一生のパートナーになろう」という気持ちが固まりました。

名前は「ロン」。みんなが呼びやすい名前にしました。ロンが来たことで、家族にもちょっとした変化が起こっています。母や主人はかわいがる対象ができてとても嬉しそうです。

意外だったのが、祖父母の対応です。祖父母のところに連れて行くと喜んでかわいがってくれます。特に祖父はお気に入りのようです。私が厳しくしつけをしていると、「そんなに厳しくしないで優しく優しく」と心配します。普段は外に出かけず家にいることが多かったのですが、ロンが来ると庭に出て一緒に遊んでいるのです。かわいがりすぎておやつをたくさん食べさせるのは困っていますが、祖父母にとっても癒しの存在になっていると思うと私も嬉しく思います。

「アニマルセラピー」という言葉がありますが、ロンに関わる皆が優しい気持ち、小さい者への愛おしさを感じさせる力が見えてわかります。

私自身もロンと一緒にいると肩の力が抜けてリラックスした状態で過ごすことができます。

いま、ロンは育ち盛り。日に日に大きくなり、本当にトイプードルなのだろうかと心配になるほどです。あちらこちらに連れていき、外に出していくことで、外界の刺激を与えながら行動のマナーを学ばせています。今はどんな性格なのかなとお互いを知る期間を大切にしたいと思います。これからが楽しみです。もしできるのなら、私の耳のサポートをしてほしいと願っています。聴導犬になってくれたらいいなという期待も込めて、ロンと共に新しい挑戦をしていくつもりです。ロンちゃん、宜しくね。

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