ニュースに字幕を〜難聴者など念頭に放送を〜

第105回

難聴ソルのゆんたくTime

2020年(令和2年)4月24日 島原新聞掲載


いま、コロナウィルス感染拡大が止まらず、日々増え続けています。長崎県内でも1人2人と増えてきています。毎日不安も増して、日常生活が変わっていくことにより、さらに不安が重なります。皆さんもそう感じているのではないでしょうか。

私はいつにもまして、ニュースを見るようになりました。できるだけ正しい情報を得て、いま自分がすべき行動をきちんと把握しておきたいと思っているからです。自分の命を、そして大切な家族の命を守るためです。そして周りの人々の命を守るためです。そのために正しい情報をいち早く知ることが欠かせません。特に都知事や県知事の会見は、すぐにチェックするようにしています。

そこで問題が生じました。4月20日夜10時に長崎県内18例目の感染者について会見が行われるということで、さっそく県知事記者会見ライブ放送をネットニュースで見ました。県知事と市長とあとは行政職員が3人の計5人での会見でした。

これはタイミング的には一番早い情報なのだろうと思います。しかし私には内容が伝わりませんでした。なぜかというと、話し手全員がマスクをつけており、声がくぐもって聞き取りにくいのに加えて、口元が見えないので誰が話をしているのかもわかりません。

画面から聞こえてくる音声をUDトーク(音声認識アプリ)で拾ってみても、上手く認識できません。結局、新しい情報を得ることができませんでした。テレビがない場合や緊急のときには、ネットニュースはとても便利ですが、多数の会見などのときは、聴覚障害がある人にとっては、せっかくの情報が正しく伝わらないこともあるのです。

このところ、新型コロナに関する会見が毎日テレビであっています。東京から発信される全国のニュースには字幕が付きますし、都知事会見のときには手話通訳もついているため、細かい情報までよく分かります。

長崎県に住んでいる私としては、県内の情報を詳しく知っておきたいという気持ちが強いです。しかし、今のところ長崎の放送局の知事会見やニュースには字幕がつきません。ですから、私はiPadをテレビ画面にかざして音声を拾い、UDトークアプリで文字化して確認しています。これできちんと詳細を理解することができます。

逆に言えば、私はUDトークアプリを普段から使いこなしているので自然と活用ができますが、このような環境下にない方は、テレビからの情報でさえうまく受け取ることができないのかもしれません。

できれば、NHK長崎さんだけでも、大事な会見やニュースには字幕を付けてほしいと切に願います。全ての国民を挙げてこれに立ち向かわなければなりません。難聴者や聞き取りが難しい人もいることを念頭に置いて、情報発信していただきたいものです。

先日、島原市では「島原市長のお願い」というタイトルで、古川市長がメッセージ動画を配信されていました。市長さんはボードを持って、分かりやすい言葉で説明してくださっていました。

その動画には、最初から大きい文字で字幕がついていました。とても嬉しく思いました。地域に1人でも聞き取りの難しい人がいることを意識してくださることが、とても心強く思われました。

一人ひとりが自分のことを大事にし、同じように周りの人も大事に大切にすることができれば、島原はもっと住み良い幸せな町になると思います。

自分の周りには、様々な状況の人がいるということを改めてこの機会に意識してみましょう。

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