台湾からの年賀状~国籍などが違っても大切で大事な存在~

第91回

難聴ソルのゆんたくTime

 

2019(平成31)年1月19日 島原新聞掲載

 

皆さんは、昨年末年賀状を書かれましたか。

 

年賀状を出すことが年々減ってきていると言われています。でも、もらうと嬉しいものですね。

 

私も、今年たくさんの年賀状を頂きました。

 

その中にも特別嬉しい一枚がありました。それは、手書きの文字と手描きのイノシシのイラストが描かれた台湾からの年賀状です。それを送ってくれたのは、林言禪(リン・イェンチャン)。私が「ゼンちゃん」と呼んでいる後輩であり、20年来の友達です。

 

ゼンちゃんとは大学のダンス部で知り合いました。私が4年生で部長をしていた年に唯一入部した貴重な1年生でした。当時は日本語もたどたどしくて心配でしたが、毎日練習を重ねて大きな舞台で公演をやり遂げました。異国の地で一人で何にでもチャレンジする彼女の姿に驚くとともに、自分にはない、人としての強さを感じ、刺激を受けました。一緒に過ごしたのは1年間だけでしたが、卒業後も今でもずっと友達として付き合いが続いています。

 

私はゼンちゃんを頼って何度か台湾へ遊びに行きました。ゼンちゃんは、空港まで迎えに来て、私たちが帰国するまでずっと一緒について案内してくれます。もちろん、その間は仕事を休んで(今、彼女は日本のアニメを台湾に紹介する会社に勤めています)。本当にありがたいです。

 

ゼンちゃんの手厚いおもてなしに応えたいと常々思っていました。私と旅に同行した友人達もそう思っていました。昨年の秋、その時が訪れました。ゼンちゃんが長崎のおくんちを見るために長崎へやって来ることになったのです。ゼンちゃんがやってきた時には、ゼンちゃんの行きたいところや、私達のおすすめの場所に連れて行き、長崎を中心に楽しんでもらいました。

 

長崎は何度も訪れていますが、長崎くんちは今回初めて見たようで、会場では人一倍大きな声で「モッテコーイ」と掛け声をかけたり、「コッコデショ!」と声を合わせたりしていました。ゼンちゃんの声で初めて、太鼓山を投げる時に、担ぎ手が「コッコデショ!」と叫んでいることを知りました。私も一緒に楽しみました。

 

ゼンちゃんは日本の伝統芸能やお祭りに興味があって、日本に古くから伝えられてきたものを知りたいという気持ちを強く持っていたようです。神社やお寺を回ることも好きで、ご朱印帳をいつも持っていました。御旅所でもご朱印帳を書いてもらっていましたが、前日に諏訪神社で書いてもらったものと同じで、なるほどと妙に納得して新たな発見があり面白かったです。

 

また、限られた時間の中で行きたいと思う所も沢山あったのでしょうが、それ以上に島原にいる私の祖父母に会って、お土産を手渡したいと言って島原まで来てくれました。

 

以前1~2回会っただけだと思いますが、祖父母のことを気にかけてくれて、私も家族もとても嬉しく思いました。何よりも嬉しかったのは祖父母ではないでしょうか。私だったらそこまで気が回らないかもしれません。

 

ゼンちゃんの私の家族や友人を大切に思ってくれる気持ち。お互い、細かく説明しなくてもなんとなく通じ合う心持ち。会わない時間が長くても一緒にいると違和感なく過ごせる感覚。そういうものが私は大好きです。

 

日本人の友達ももちろん沢山います。ゼンちゃんは台湾の人ですが、国籍や宗教や生活習慣が違っても、私にとってはかけがえのない大事な大事な存在です。

 

今、世の中を見ていると、国と国との衝突が至る所で起こっています。人と人との関係というのは、一人ひとりがその人と向き合うことで心のつながりができます。生活習慣が違えば、全てのことが違って見えますが、それはお互いがお互いを尊重して理解する気持ちがあれば乗り越えられる違いだと思います。様々な違いがあっても心を通わす友達はできるものです。

 

ゼンちゃんと一緒にいる時はお互い台湾人、日本人ということは全く意識していません。

 

これからもゼンちゃんとは長い付き合いになると思います。また、台湾にも行きたいな。

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