UDトーク訂正者〜興味のある人は学んで〜 災害時に役立つはず

第94回

難聴ソルのゆんたくTime

2019年(平成31年)4月6日 島原新聞掲載


皆さんは文章を書くときにどんな方法を使いますか?手書きですか?パソコンですか?

私はこの1年で文章を書くときの手段が大きく変わりました。以前の私は、下書きを手書きしたあと、パソコンのワードで入力してEメールに添付し、相手のパソコンへ送信していました。今はUDトーク画面に向かって話しかけると文字にすぐ置き換わるので、誤認識があれば、それを訂正し、そのままスマートフォンから相手に送っています。

キーボードで文字を打ち込む作業をしなくても簡単に文章が書けるので、短時間で仕事ができるようになりました。UDトークを使いこなすことで、便利さを実感しています。

私がUDトークを使い始めてから3年が過ぎた今、UDトークは想定外の進歩を遂げています。私がUDトークと真剣に向き合うようになったのは、2015年(平成27年)第21回全国中途失聴者・難聴者福祉大会IN香川(うどん県大会)に参加してからです。たまたまUDトークの分科会に参加していたとき、NHKの「ろうを生きる。難聴を生きる」の取材が入っていて、私がインタビューを受けたのです。その様子がテレビで放送され、全国放送で顔を出してしまった以上は、自分もちゃんとUDトークを使いこなすようにならないといけないと思い、使い始めたのです。

UDトークを使い始めるにあたって、頼りにしていた人が2人います。

最初の1人は、沖縄県難聴・中途失聴者協会(以下・沖難協)の事務局長の渡久地準(とぐち・ひとし)さんです。

渡久地さんとは、いち早くUDトークの魅力や利便性に注目し、法人導入を進めておられました。渡久地さんは中途失聴者で人工内耳を装用されています。彼自身もまたUDトークサポーターであり、訂正者でもあります。難聴者で完璧に訂正できる人は、彼以外はいないでしょう。

もう1人は、当初から私の強い味方になっている長崎の坂本朋恵さんです。

坂本さんはパソコン要約筆記の知識を持った上でUDトークサポーターとして動きたいという希望を持って、自分自身で努力をして技術を身につけ、現在UDトーク訂正者として独立しています。

その丁寧で正確な仕事ぶりが認められて、今は全国から遠隔訂正の依頼が次から次にやってきています。

また、県内では長崎県難聴者中途失聴者協会からの依頼で、UDトーク講習会の講師を務めています。高齢の方から初心者まで、誰にでも分かりやすい教え方で好評です。

私は、この2人をとても尊敬しています。

2人に共通する素晴らしい点は、まだ誰も踏み込んだことのない未知の世界に踏み込み、前に前に進もうとする気持と好奇心を持ち、着実に経験を積み重ねていらっしゃるところです。

UDトークを使う人にとって訂正者はなくてはならない存在です。

今はこの2人にほとんど頼っている状態です。

私は基本的に、近くにいる坂本さんにお願いすることが多いのですが、坂本さんは忙しくなってきて、今では、坂本さん1人の身体的・精神的負担が大きくなってきているのではないかと思います。今後、UDトークが普及すると訂正者も必要になってきます。

今考えなければならないのは、訂正者を育成することだと思います。沖難協事務局長の渡久地さんも仰っていましたが、九州だけではなく全国各地にて訂正者がいる状況になるのが望ましいと考えています。なぜかというと、ある地域の訂正者に不都合があったとき、他の地域の訂正者に依頼できれば、スムーズに活用できるからです。1人の訂正者が対応できない状況になったとき、遠隔地区の人が代わりに対応することで、いつ、どこでも、安心して利用できるシステムになります。

特に、災害時などは広範囲でのつながりが役に立つはずです。いざというときのために、日本各地に訂正者がいるといいなと思います。

UD訂正に興味がある人には、どんどん学んでいってもらいたいものです。

2人の先駆者が道を開いてくれていますから。


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