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かん味処vol.5 「やる気スイッチは無い」モチベーションを維持する

 今までの人生で、何度「やる気スイッチがほしい」と願ったことか。やる気にかなりムラがあり、夏休みの宿題を夏休みが終わってからやったこともある。一方で、ほんとにスイッチを押したように、やる気に満ち溢れて動けるときもある。自分のやる気スイッチの場所を知りたい。なんなら自由にON/OFFできるようになりたい。
「やる気スイッチなんてありません。幻想です」
講義の頭から、菅さんの厳しい言葉。しかし今回のテーマは「モチベーションを維持する」。やる気スイッチなんてものに頼らず、気持ちを維持し、行動する方法を伝授してもらった。


1.やる気スイッチよりも、まず行動

 脳研究者の池谷裕二氏によると、脳の中に意欲があるのではなく、やる気は身体や環境から生まれるものだという。

例えば、眠くてなかなか起きられない時、眠気が冷めるまで待つのではなく、とにかく起き上がって体を動かすことで、結果目が覚めてくる。

 やる気が出るから、行動するのではない。行動する→心が動く→脳に「やる気」がでる、が正しい順番なのだ。やる気が出ないと感じたら、なんでもいいからまず「行動」することだ。

 昔、池谷氏の著書「単純な脳、複雑な『私』」を読んだことがある。本の中に、”感情と行動が乖離している時、脳は感情を操作して行動に合わせようとする”という話があったことを思い出した。
 例えば、落ち込んでいる時でも無理やり笑顔を作ると、脳は表情に合わせて感情を変えようとし、結果、気持ちが上がってくる。いやいや宿題をやっていても、脳が「宿題をしているのだから、やる気があるということだ」と気持ちの方を変えて辻褄を合わせようとする。身体が動くことで、気持ち=やる気が後から付いてくる。だから、やり始めるとやる気が出るのだ。つまり、行動するのが一番早い。

(面白い本なので、気になった方はどうぞ!)
『単純な脳、複雑な「私」』 池谷 裕二 著

 でも、わかっちゃいるけどなかなか腰が上がらない。そんなときのために行動マトリクスをつくるといい。好き嫌い・苦手得意を軸にし、それぞれに適した対処方法を予め決めておくことで、行動を阻害する要因を取りのぞくのだ。対処方法が決まっていれば、考えずに物事を進めることができる。

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自分の場合・・・
【①好き×苦手:チェックリストをつくる(気持ちが衰えるのを防ぐ)】
長めな文書作成→文章の構成が決まったら先に目次を作り、目次をチェックリストとして活用してみようか。

【②好き×得意:時間を決める(逃げ場にならないように)】
マニュアル作成→どうにも仕事が手につかない時によくやってしまっていたけど、あれは逃げだったのか。無意識にやり始めたら、時間を区切ろう。

【③嫌い×苦手:すぐやる3つを決める(嫌な気持ちの前に体を動かす)】
クレーム対応→後に出てくる「クレーム対応の4ステップ」を使い、「怖い」「嫌だ」という自分の感情と切り離して、対応を進める。

【④嫌い×得意:記録を付ける(積み重ねて自信をつける)】
問い合わせ対応・メール作成→今後使えそうな返信文などは整理して記録している。それに加えて、対応件数など量も記録してみる。

 このマトリクスは自己分析にも使える。定期的にこの表を振り返ると、以前苦手だったものが得意になっていたりと、自分の成長を認識することもできる。③の「嫌い×苦手」がどれだけ「好き」や「得意」に変わっていくかが人間的成長に繋がるのだ。

2.目標達成と自己管理

 以前の講座でも言われたことだが、目標達成のためには壮大な計画を作ろうとすると失敗する。まずはチェックポイントをつくる=記録(日記)つけて、自分のパターンの客観的な振り返りを行うことだ。PDCAではなく、CAPDのサイクルで進めていく方が現実的で、続けやすい。
 記録には、「#3good」を書き記すことがおススメ。続けていると、毎日の中にささやかな喜びが溢れていることに気が付き、自分を卑下することもなくなる。日々の記録は、できれば後々振り返ったときに気がついたことも書けるといい。また、気持ちがつらい時には、事実と感情を分けて記録することも大切。

 自分の心と身体の健康を維持することは、モチベーションの維持にも深く関わってくる。適度な負荷は成長に欠かせないが、心が病んでしまってはいけない。そのため、心身の不調の3大要因に気を付ける。

・睡眠不足:自分の脳を破壊してしまう。
・コミュニケーション不足:周囲からの孤立によって、自分を勝手に卑下してしまう。
・深呼吸不足:焦ると酸素量が減る。日々のリフレッシュに、意識的にゆっくり呼吸する。

 また、精神にすごくダメージを受けたとき、強い不安や辛いときは、まず糖質をとるといい。炭水化物を摂取する。

 講座の最初に休みの話があったが、休みと遊びも大切。人は遊びの方が本気になりやすい。裏を返せば、遊びの比率が下がるほど、本気モードになりにくい。意識して遊びの時間をつくるなど、メリハリのある積極的な休養が必要だそうだ。いつも休日は疲れを取ろう+平日の睡眠負債を解消しようとダラダラ過ごして終わってしまうので、「休み方」も変えなければと思う。

3.クレーム対応の4ステップ

 これは、お客様の問い合わせ対応という仕事をしている自分にはかなり有難い知識だ。行動マトリクスにも書いたが、ネガティブなことを言われたとき、理性よりも感情が先立ってしまい、頭が真っ白になってしまう。そのため、この4ステップに沿って、自分が感情的にならずに対応していきたいと思う。

①事実確認:ミラーリング
 復唱・確認を繰り返すことで、相手の言動に対する「親しみ」を感じさせることができる。
②期待へのお詫び:主導権の掌握
 期待にそぐわないことを詫びる。相手が言う内容、こちらの非を認めるのではない。
③解決策の提示:ダブルバインド(二重拘束)
 こちらにできることの中で選択をさせ、相手の自由自在にはさせない。選択肢はこちらが出す。
④同意への感謝:パーミッション(自己肯定)
 感謝されると人は断れない。

 ほかにも、激昂する相手には質問をする。(人は質問されると返さずにはいられない)質問してやり取りを続けることで相手が段々落ち着いてくる。質問する側も主導権を握れる。そして、否定から入らないというのもとても大事。
 この4ステップに従って、苦手意識の強いクレーム対応を、落ち着いて取り組めるようにしたい。

4.他者との付き合い方

 精神が消耗するもののひとつが人間関係だ。よく、「変えられるのは自分と未来だけ」と言うが、その言葉の通り、過去は変えられないし、他人を思い通りにするのも難しい。
 他人をコントロールしようとしないことは、自分の心の平和につながる。そして、「他者は自分の鏡」なのだ。嫌な相手は、たいてい自分も相手に無意識に嫌なことするように仕向けているのだ。(もしくは同族嫌悪)だから、自分が相手への接し方を変えるのが1番早いと思っている。

 ただ、この考え方で不安を感じる部分もあった。
実は、対人関係で消耗したくないという思いから、ここ何年かこういう考え方を意識して生活してきた。すると、他者に対して「怒り」が湧かなくなってきた(もちろんゼロではない)。他者に対して、「こうすべきだ」という感情が薄くなったことで、社会的な課題や問題に対してもアンテナが反応しないような気がして、最近は焦りを感じることがある。
 なので、菅さんに「他者への怒りや義憤は持っているほうが良いのか?」と質問してみた。
 それに対して、菅さんは「大きなものに対する怒りがなくても、自分の目の前の課題に粛々と取り組めばいいのでは。日々の積み重ねをしていくことが大切」と答えてくれた。

「自分が不幸にならないことも、立派な社会貢献だよ」

 この言葉が、今回一番響いた。
 相変わらず私は即行動ができていないし、やる気には相当ムラがある。でも、行動に移すための具体的なヒントをたくさんいただいた。目の前のことに集中し、コツコツと毎日を積み上げられるように、自分の行動を阻害するものをひとつひとつ取り除いて、やっていこうと思う。



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