手軽さも、進捗感もない。だけど、それもいい
あやちゃん:なんぼーさん、「ストレンジャー・シングス」見てます?
なんぼー:いや、まだ見てないや。評判イイよね。気になってるの?
あやちゃん:流行ってるからチェックしたいんすけど、シーズン4まであるから全部見るのは面倒なんすよね〜
なんぼー:なるほどね。今はネタバレ見てから映画見る人も、アニメも一話と最終話だけ見る人もいるらしいもんね。
あやちゃん:だって、次々面白い作品出てくるじゃないですか。今は『SPY×FAMILY』も見なきゃいけないし、みんなの話題についていくための作品を見るだけで精一杯っすよ!
なんぼー:友達は、バチェロレッテやバチェラーシリーズを「『登場人物がだいたいわかる1話と2話』と、最後の人が決まる『最後の2話』だけ見る」なんて言ってたわ。
あやちゃん:その人頭いい!リアリティショーはネタバレが怖いから余計見るのに必死なんすよね……。
なんぼー:エンタメコンテンツは飽和しているから、流行りに追いつくだけで精一杯にもなるよね。だから、今や時間短縮して見るのが当たり前になるし。倍速視聴も、ネタバレしてから視聴するのも、切り抜き動画を見るのも、みんな必死でショートカットして流行りのコンテンツを消費しようとしてるよなあ。
あやちゃん:だけど、社会人の皆さんはキャンプとか自然の中に行くのにもハマってますよね。仕事もあるのに、どうやって時間やりくりしてるんだろ……
なんぼー:確かに、社会人のアウトドア熱は高まっている気がするね。それって現代のコンテンツ鑑賞と真逆の性質があるかも。
あやちゃん:えー!部屋の外と中だから?!
なんぼー:もちろん場所もあるけど、アウトドアはどの工程も “ショートカット” できないよね。面白いところだけ切り取れないし。それに、何が起こるかわからない。
あやちゃん:確かに…キャンプも全部用意されていたら面白くないかも。
なんぼー:僕はスキューバダイビングがすきだけど、なんでもないことが楽しいからね。泳ぐこと自体がそもそも楽しいし。水の流れの強さ、天候の違い、毎回のコンディションの違い——。
あやちゃん:へー!なんぼーさん、そんなにスキューバダイビング好きなんだ!
なんぼー:そうだね。数百本潜って『ダイブマスター』っていうプロのライセンスも取ったし。誰かにスキューバダイビングを教えることもできる資格だよ。
あやちゃん:すごい!……でも、そんなに潜って飽きません?水族館、何百回も行ったら飽きそうだもん。
なんぼー:僕は魚が好きだから水族館も好きだけど、水族館とスキューバダイビングの楽しみもまた違うんだよね。水族館はお目当ての魚を確実に見る楽しさ。スキューバダイビングは予測不能な楽しさがある。スキューバダイビングは、毎回どんな魚や水の流れに出会えるかわからないのが面白いんだよ。それもまさに「ネタバレ視聴」とは真反対かも。
あやちゃん:確かに、普段ドラマ見る時は、「ハズレ」を引きたくないから、レビューも見るし、ネタバレや評判も見がちっすね。反対に、スキューバダイビングは下手したら魚がいない時もあるだろうけど……それでも、そういう事も含めて予想外なのが面白い…って、新鮮。ただ、確かにドキドキするような気もしますね。
なんぼー:そうそう。なんでも価値が透けて見えてショートカットして楽しむ時代だからこそ、ショートカットできなくて予想もつかない、スキューバダイビングとかキャンプの面白さを感じる人も増えているんじゃないかな。
あやちゃん:ショートカットされまくってるコンテンツ消費と、ショートカットできないアウトドア、両方流行ってるの面白いっすね!
なんぼー:まさにそうだよね。今後はどんどんその2つの楽しみが二極化していくんじゃないかな。
あやちゃん:私はアニメが大好きだから、まだまだアウトドアの魅力はわからなさそう——。なんぼーさんはスキューバダイビングのどこが好きなんすか?
なんぼー:うーん。昔は難しいスポットや新しいスポットで潜るのが好きだったけど、今はもう潜ること自体が楽しい、って感じだね。
あやちゃん:???
なんぼー:最初の方は、ずっと “More”を求めてて。「もっと難しい場所」「もっと深い場所」に挑戦してたんだけど、ある時、強い波に流されて思い通りに動けずに「もうだめかも」と思うことがあったんだよね。
あやちゃん:ええ!スキューバダイビングってそんな危険なんすか?!ゆったり魚を眺めるもんだと思ってました!!
なんぼー:もちろんインストラクターの人がいるからめったに危ないことにはならないけど、登山と同じくらい、危険はいっぱいあるよ。異常に流れが速いところがあったりして。その時も、どうやっても流れに抗えなかった。
あやちゃん:こ、こわ……。
なんぼー:でもそれを経験した後に、スキューバダイビングがもっと楽しくなったんだよね。
あやちゃん:え、ええ…?!なんぼーさん、物好きじゃん……。
なんぼー:そうじゃなくて、自然の脅威を感じて「海って、人間がちっぽけに思えるほど、大きな存在なんだ」と思うと、自然にリスペクトが芽生えて。そうすると、以前は「簡単すぎる」と思って楽しめなかった海も、「魚がきれいだ」とか「海をゆったり潜れるって楽しい」ということ自体を楽しめるようになったんだよ。シンプルにスキューバダイビングという行為自体を楽しめるようになったっていうか。
あやちゃん:トラウマにならなかったんすか?
なんぼー:もちろん、怖いよ。だけど、怖いから、潜り終わった後に「今日も潜らせてもらってありがとう」と思えるようになったかな。
あやちゃん:なるほど……。
なんぼー:サーフィンも「波」という危険にもなり得るものと付き合うスポーツだよね。サーフィンが好きな人とも話したことがあるんだけど、サーフィンを続けていると、自然と波とか海に対するリスペクトが持ち上がってくるんだって。
あやちゃん:不思議だなあ。危険を感じると、リスペクトが高まる。なんぼーさんの場合は、その先にこれまで普通に感じていた景色が、魅力的に見えてくるところまで変わってる。
なんぼー:前回レストランの話をしたからレストランで説明すると、以前は「食べログでもっと星が沢山ついてるレストランに行きたい」「高いレストランに行ってみたい」と思っていたけれど、食事の尊さを理解できるようになったら、レストランでの食事自体を楽しめるようになったって感じかな。
なんぼー:昔は、「簡単な海なんて行きたくない」って感じだったけど、今は自然にふれること自体を楽しめているんだよね。人間ってちっぽけだと思うと、視野が大きくなって、おごり高ぶらなくなったのかもしれない。
あやちゃん:すごい体験。私もそんな価値観を変えるような体験、してみたいっす。
なんぼー:いいね!スキューバダイビングおすすめ。楽しいよ〜。色んな魚にも出会えるし。色んな所に潜れるようになるまでの道のりは、ショートカットできないけど。
あやちゃん:ほんとになんぼーさん魚に詳しい!水族館の話も面白かったっす。まずは、スキューバダイビングの始め方をググってみよ〜。
なんぼー:いいね。予想がつきにくいアクティビティだからこそ、準備は万端にしないと。
あやちゃん:ネタばれは出てこないけど事前に調べて準備は必要ですもんね。実際の楽しみは、「何が起こるかわからない」こと、久々にやるからドキドキするな〜!
なんぼー:可愛い魚や良い気候に恵まれるのを祈ってるよ!
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