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切り抜き可能時代のヒット曲のつくりかた

りさ:あれ、右手だっけ、左手だっけ……

なんぼー:どうしたの?

りさ:今度サークルでTikTokを撮ろうってなってて。ちょっと練習してるんですよ。

なんぼー:今はサークルでもTikTok撮るんだね。

りさ:旅行先でも友だちと撮ったりしますよ!撮ってること自体が楽しかったりするんですよね。なんぼーさんはTikTokとか見ます?

なんぼー:もちろん見るようにしてるよ。ほんとTikTokでバズる曲って面白いよね。

りさ:確かに、最近Spotifyで上位の曲とかってTikTokでバズってる曲だったりしますよね。TikTokはもう、ヒット曲が生まれる場って感じ。

なんぼー:それに、歌詞が独特だったりしない?

りさ:ちょっと前ですけど、『香水』の「ドールチェアーンドガッパーナーのその香水のせいだよ〜」っていう曲とか強烈でしたよね。

なんぼー:そうそう強烈なの。去年流行ったファミチキの曲は知ってる?

りさ:あー!「きんきんにひえたコーラ、ファミチキ食べて気分豪華」ってやつ!

なんぼー:そうそう、『海のリビング』って曲なんだけどさ。

なんぼー:「きんきんに冷えたコーラ、ファミチキ食べて気分豪華」ってすごく良い歌詞だよね。『香水』もそうなんだけど、15秒で意味が完結している歌詞で。

りさ:うんうん。TikTokにぴったりですね!

なんぼー:そうなんだよ。切り取ったときにちょうど良いんだよね。TikTokみたいに曲が切り抜かれて使用されてバズる時代に、こういう1フレーズやメロディがある曲ってこれからヒットしやすくなっていくんじゃないかなと思って。

りさ:15秒で意味がわかって、印象的で。

なんぼー:「切り抜き可能時代」は曲の作り方が変わってきそうだなって。

りさ:面白いですね!だけど、その印象的なフレーズってどんなのなんだろう。固有名詞が出てくると良いのかな。「ドルガバ」とか「ファミチキ」とか。

なんぼー:BLOOM VASEの『Bluma to Lunch』っていう曲も、「ブルマとランチとか行きたいね」っていう歌詞があるんだけど……

りさ:ブルマってドラゴンボールの?!

なんぼー:そうそう。

りさ:すごく独特な歌詞!

なんぼー:やっぱり印象に残るよね。だから、使う固有名詞は、あんまりまだ使い古されていなくて、だけどみんな知ってて、何かしら思い出がある言葉がいいかもしれない。

りさ:確かに、中学の時に不良がドルガバの香水つけてました(笑)

なんぼー:わかる。アルコアンドピースの漫才で、ドルチェ&ガッバーナを知ったかぶりするっていうネタがあるんだけど、ドルガバってやっぱり独特のイメージがあるんだろうね。

りさ:ドルガバ……たしかに独特のイメージがあるし、なんか情景が浮かぶ思い出がある。

なんぼー:そうそう。そういう言葉が大事だと思ったね。この法則でいうと、にしなさんの『真白』っていう曲の「ハイネケン飲み干して曖昧に笑う人」とか、印象的で、何か情景が浮かびそうな言葉が入ってるんだよね。

りさ:TikTokに詳しい!確かに、ハイネケンも独特のイメージがある。

なんぼー:ブルマも、ドラゴンボール知ってる人からしたら思い出があるしね。

りさ:CMとかではサビが15秒とかで使われることはこれまであったけど、またTikTokで流行する曲はちょっと違いますよね。

なんぼー:それでいうと、面白いのが、「きんきんに冷えたコーラ〜」って全然サビじゃないんだよね。

りさ:へえ!

なんぼー:他にもTikTokで「イーアールサンスー」っていう歌詞に合わせて踊るのも流行ってて、これってSnow Manの『ブラザービート』って曲なんだけど、これも全然サビじゃなくて。

りさ:確かにこれも聞いたことある。サビじゃなかったんだ。さっきのにしなさんの曲もサビじゃなさそう。

なんぼー:「ファミチキ〜」の流れって青春の1ページを表現する歌詞ではあるけど、全体の曲の中でいちばん重要なパートではない。全体の盛り上がりと、TikTokで切り取られるところは全然違うようになってるんだよね。

りさ:「ファミチキ」の歌詞がサビだったらちょっとおもしろいかも。あとなんか、ファミチキって、TikTok世代以外はそんなに思い入れもないかもだし……。

なんぼー:そうだよね。サビって普遍性が必要だからね。

りさ:サビは万人向けにみんなが共感する内容になっていて……だけど、他の部分でTikTokで使われるような仕組みが入ってる。今っぽいなあ。

なんぼー:サビのほかに、AメロやBメロも重要になっているんだよね。

りさ:そういえば、最近はK-POPの曲はAメロ・Bメロみたいな概念がなくなって、次々新しいメロディが出てくるような曲構成になっているんですよ。それってこの話も関係ありそう。

なんぼー:へえ、面白いね。

りさ:例えば、最近だとaespaの『NextLevel』とか面白いですよ…!

なんぼー:どこを切り取ってもハイライトになっていないとダメな時代なのかも。

りさ:ひえー!曲作るのって大変ですね。でも曲の聞かれ方によって曲の構成も変わっていくの面白いですね。

なんぼー:次のTikTokのヒット曲はどんな思い出ワードが出てくるか、楽しみだな。

りさ:私の予想は……「スミノフ」!!!!

なんぼー:確かに大学生が飲んでるイメージ!ほんとに近いうちに歌われる日が来るかもしれないね。


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