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笛の楽しみ方 七曜工房

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七曜工房は滋賀大津湖西にある笛工房です。 音の出し易さ、音程の正確さ、操作性を踏まえて, 気軽に楽しめる笛を目指し、本漆で仕上げた竹製や木製の本格的なオリジナル横笛や尺八を 製作… もっと読む
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#笛の製作販売

はじめに

世界最古の笛と考えられているのは、ドイツウルム近郊の洞窟から出てきた骨の笛で3万6千年前のものだそうです。中国の河南省で発見された指穴のあいた骨の笛は紀元前6千年の頃のものらしいです。このように笛の歴史は大変古いのですが、何千年経ったいまでも、管に穴を開けて指でふさいで、いろいろの音を出すという構造は変わりません。 人類は、身近な材料で手軽に作れた笛を吹いて楽しんできました。太古の人が吹く笛と現代の人が吹く笛の音色にちがいはありません。笛の音色は人間の心をとらえつづけています

1 七曜工房の笛~その2(構造)

A 吹き口の違い  a リコーダータイプ:吹き口をくわえて息を吹き込めば、誰でも容易に      音を出すことができるタイプ。息の通り道(ウィンドウェイ)を持ち    ます。    ~ティンホイッスル系、インディアンフルート系、オカリナ系  b 横笛タイプ:笛を横にかまえて、歌口穴のエッジに息を吹き込んで音     を出すタイプ。音出しには練習が必要ですが、息の吹き込み方等を変    化させて、音程を変えたり多彩な音色を出すことができます。    ~篠笛系  C 尺八・ケーナ

1 七曜工房の笛~その3(素材)

当工房では、加工し易く、耐久性と強度のある竹と木を使います。 竹は、女竹と真竹。木は広葉樹も針葉樹も使います。サクラ系、ブナ、カエデ系、ヒノキ等です。サクラ材は、建築では敷居に使われたりして硬材の仲間に入れられますが、笛では軽軟な方です。ヒノキは軽軟で割裂性もあって、笛としての加工はかえって難しいのですが、和の雰囲気を出したい時に 使ったりします。素材の違いにより音色に差が出るように思われますが、バイオリンが本体の木の振動が音色に直接影響するのとはちがい、笛は 管の中の空気柱

1 七曜工房の笛~その4(塗り)

笛の表面には塗りを施して、汚れ防止や耐久性、美観性を持たせます。 塗り素材としては、漆を使います。本漆の生漆や色漆を使います。 演奏するときに手や唇に触れる心地良い感触や色艶、耐久性の上から漆に勝るものはないと考えています。またこの漆塗りのもう一つの大切な役割は、管内の塗りにあります。前にも述べたように、塗りによる管内の平滑性が音色等に大きく影響します。 木で作る笛は、竹よりも材表面の平滑性が劣るため、ペーパーがけしただけでは竹のようにはうまく鳴ってくれません。管内に漆を塗り

6 でも やっぱり実音で吹きたい(移調)

実音じゃないから何だか雰囲気がちがうなあ。やっぱり楽譜通りの音高で吹きたい。下からドレミの運指で易しく実音で鳴らせないの?この場合は楽器じゃなくて楽譜の方を替えてしまう方法があります。これが移調法です。 笛の指使いは変えずに、譜の方を替えて(移調して)吹く時、この笛は移調管(移調楽器)と呼ばれます。理屈は簡単です。C管以外の笛は音程が高かったり低かったりします。F管なら2音半高く、D管なら1音高くなります。ですからF管で吹く時には楽譜の方を2音半低く、D管で吹くなら1音低くす