マガジンのカバー画像

笛の楽しみ方 七曜工房

18
七曜工房は滋賀大津湖西にある笛工房です。 音の出し易さ、音程の正確さ、操作性を踏まえて, 気軽に楽しめる笛を目指し、本漆で仕上げた竹製や木製の本格的なオリジナル横笛や尺八を 製作… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

はじめに

世界最古の笛と考えられているのは、ドイツウルム近郊の洞窟から出てきた骨の笛で3万6千年前のものだそうです。中国の河南省で発見された指穴のあいた骨の笛は紀元前6千年の頃のものらしいです。このように笛の歴史は大変古いのですが、何千年経ったいまでも、管に穴を開けて指でふさいで、いろいろの音を出すという構造は変わりません。 人類は、身近な材料で手軽に作れた笛を吹いて楽しんできました。太古の人が吹く笛と現代の人が吹く笛の音色にちがいはありません。笛の音色は人間の心をとらえつづけています

1  七曜工房の笛 ~その1(種類)

当工房で製作している笛は音階の鳴る笛としては、構造のちがいからは6種類。素材の違いを加えると14種類。それに管種(管の長さ)のちがいまで加えれば、およそ70種類あります。これらの笛の他に鳥笛や虫笛等があります。 管楽器-金管:トランペット、ホルン、トロンボーン     木管-シングルリード:クラリネット       -ダブルリード :オーボエ       -エアリード  :フルート、ピッコロ               :七曜工房の笛 七曜工房の笛  全68種 -篠笛系 

1 七曜工房の笛~その2(構造)

A 吹き口の違い  a リコーダータイプ:吹き口をくわえて息を吹き込めば、誰でも容易に      音を出すことができるタイプ。息の通り道(ウィンドウェイ)を持ち    ます。    ~ティンホイッスル系、インディアンフルート系、オカリナ系  b 横笛タイプ:笛を横にかまえて、歌口穴のエッジに息を吹き込んで音     を出すタイプ。音出しには練習が必要ですが、息の吹き込み方等を変    化させて、音程を変えたり多彩な音色を出すことができます。    ~篠笛系  C 尺八・ケーナ

1 七曜工房の笛~その3(素材)

当工房では、加工し易く、耐久性と強度のある竹と木を使います。 竹は、女竹と真竹。木は広葉樹も針葉樹も使います。サクラ系、ブナ、カエデ系、ヒノキ等です。サクラ材は、建築では敷居に使われたりして硬材の仲間に入れられますが、笛では軽軟な方です。ヒノキは軽軟で割裂性もあって、笛としての加工はかえって難しいのですが、和の雰囲気を出したい時に 使ったりします。素材の違いにより音色に差が出るように思われますが、バイオリンが本体の木の振動が音色に直接影響するのとはちがい、笛は 管の中の空気柱

1 七曜工房の笛~その4(塗り)

笛の表面には塗りを施して、汚れ防止や耐久性、美観性を持たせます。 塗り素材としては、漆を使います。本漆の生漆や色漆を使います。 演奏するときに手や唇に触れる心地良い感触や色艶、耐久性の上から漆に勝るものはないと考えています。またこの漆塗りのもう一つの大切な役割は、管内の塗りにあります。前にも述べたように、塗りによる管内の平滑性が音色等に大きく影響します。 木で作る笛は、竹よりも材表面の平滑性が劣るため、ペーパーがけしただけでは竹のようにはうまく鳴ってくれません。管内に漆を塗り

1 七曜工房の笛~その5(管種と指孔)  

オリジナル横笛の女竹やジャパンホイッスルでは、highD管からLowD管までの8種類。ノッチフルートではG管からLowA管までの7種類。ウッドホイッスルではhighF管からF管までの5種類。と同じ仲間の笛でもちがう長さのものがたくさんあります。 オーケストラでは、フルート(C管)とピッコロ(C管、D管)。バロック期以前のリコーダーは、ソプラノとテナーがC管、アルトとバスがF管。アイルランド音楽でよく見るのは、アイリッシュフルート(D管)、ティンホイッスル(D管)、ローホイッス

2 6孔笛を吹く

当工房で製作する笛はほとんどが6孔笛です。 笛の表側に6個の指孔があいています。7音音階笛としては必要最小限の指孔数です。2オクターブ目は1オクターブ目と同じ運指でオーバーブロー(吹き越し、強めに吹く)すると出ます。とても運指が簡単で早く上手に吹ける笛です。 ヨーロッパでは木管楽器の基本は右手中央の指3本と左手中央の指3本が押え指とされていて、指孔数は6孔が基本となっています。6孔笛には、16世紀のルネサンスフルートやファイフ、17世紀のフラジョレット、現代では、ティンホイッ

3 五線譜と絶対ドレミ・相対ドレミ

五線譜は音の高さを表す図であり、並んだ線は、一定間隔ではあっても、 そこに置かれた音符の音の高さは一定間隔では並んでいません。 ドレミファソラシドの音階は、それぞれの音の間隔は、 ド-1音-レー1音-ミー半音ーファー1音-ソー1音ーラー1音-シー半音ードです。数学的には、一定間隔の線が並ぶとそれぞれの間隔は特別な明記がない限り一定ですが、ここでは一定ではありません。ミとファ、シとドの間は常に半音なのです。 次に音の名前ですが、音の高さを示す名は、音名であり、イロハやABCを

4 実音で吹く

G管の笛を使って、ト音記号の五線譜を見て、笛の方もドレミと思って吹いているのに、本当のドレミ、絶対ドレミが鳴っていない!これは、先ほども述べたように、G管の笛は常にC管よりも3音半高い相対ドレミで吹いているからなのです。それでは、このG管では実音を吹けないのか? 吹けます。先程から、このG管の笛は下から指を開けていけば、ドレミファソラシドと鳴ると言っているのは、相対ドレミで読んでいるからで、そうではなく、これを絶対ドレミでソラシドレミファ#ソと読むと実音吹きになります。しかし

5 実音で吹かない

管の長さごとに運指を覚えるのは大変だから、いろんな長さの管を持つのはやめよう。C管なら運指を変えずに吹けるからC管だけを吹こう。実音を吹きたいならこれも方法です。 反対に実音で吹かない方法もあります。実音にこだわらずに原曲の音高よりも高い音で、又は低い音で鳴らして、原曲とは違う変化を楽しむ。絶対音感に敏感ではない人にとっては少しぐらい音が高かろうが低かろうが同じ曲に聴こえて全く問題はありません。 これならどの長さの笛も下からドレミの運指を覚えておくだけで、色んな曲が自由に吹け

6 でも やっぱり実音で吹きたい(移調)

実音じゃないから何だか雰囲気がちがうなあ。やっぱり楽譜通りの音高で吹きたい。下からドレミの運指で易しく実音で鳴らせないの?この場合は楽器じゃなくて楽譜の方を替えてしまう方法があります。これが移調法です。 笛の指使いは変えずに、譜の方を替えて(移調して)吹く時、この笛は移調管(移調楽器)と呼ばれます。理屈は簡単です。C管以外の笛は音程が高かったり低かったりします。F管なら2音半高く、D管なら1音高くなります。ですからF管で吹く時には楽譜の方を2音半低く、D管で吹くなら1音低くす

7 笛の二重奏がしたい~その1

ちがう笛で同一の音を出す 自分の持っている笛を一人で吹く場合は、実音であろうとなかろうと何も問題ないのですが、他の人の笛と合奏する場合はどうでしょうか。長さのちがう笛で合奏するとします。それには、二人の笛の音があってないといけません。ここでは同一の音を鳴らすこととします。音が合うとは、先ず双方の笛のA音が同じ周波数なのかどうか。一応440Hzで合っているとします。 次に音律は、平均律であるとします。そして次に笛の吹き方が実音吹きなのか、ちがうのか。実音吹きであれば、双方が同

7 笛の二重奏がしたい ~その2

ちがう笛で協和する音を出す 前述の合奏法は、長さのちがう笛で相対ドレミ吹きをした時、同一の音を鳴らす方法です。音を合わせると言った時、同一の音を鳴らすこととは別に協和する音を鳴らすということもあります。 長さのちがう笛で同じ楽譜を吹いた時、音程はずれていてもそれぞれの音が協和して美しく聴こえるということです。ここではどの笛とどの笛が協和するかを見つけます。二つの音が心地よく響く(協和する、ハモる)のは、一番は同一の音程とオクターブのちがいの音程、その次は完全4度と完全5度の

8 ピアノ等の実音楽器と一緒に吹きたい

1 笛を実音吹き(絶対ドレミ吹き)する場合   笛もピアノも同じ調の譜で鳴らします。 2 笛を下からドレミ吹き(相対ドレミ吹き)する場合   例えばD管でF(ヘ)調を吹く場合、合奏の早見表から、   G調で鳴ることがわかるので、一緒に鳴らす実音楽器ピアノは   G(ト)調で鳴らします。   D管は1音高く鳴るので、F(へ)調を吹けば、G(ト)調が鳴ります。 3 笛を下からドレミ吹き(相対ドレミ吹き)する場合  C(ハ)調を吹けばその管の調で鳴るのでピアノは管の調で