長生きするということ。

 若いころは『死』が、やたら怖かった。ところがある程度年を重ねると、『死』は現実味を帯びて、かえって恐れなくなったように思う。逃れられないと諦めたのか悟ったのか、それとも開き直りか。
 ご近所に私より一回り上の方がいらっしゃる。その方の口癖は「周りにだれもいなくなった」である。友人知人がみな先に逝ってしまって、話し相手がいない寂しさは私にも理解できる。
 私の友人もすでに何人か幽明を異にしている。今のうちなら何人かは葬儀に参列してくれるかもしれないが、最後まで残ったら一人寂しく旅立つことになる。死んでしまえば関係ないか。でもそれまでが寂しいだろうな。

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