好きなボカロ曲『裂いて。』(Haniwaさん)感想メモ
タイトル: 裂いて。/ VOICEPEAK, 紲星あかり
作者: Haniwa さん
再生数: 6,076
https://www.nicovideo.jp/watch/sm40955286
ポエトリー・リーディング。
ボカロ曲にハマるまで、こんなにいろいろなジャンルの音楽を聴くということをしてこなかったので、はじめてポエトリー・リーディングを聴いたときは「こんな音楽があるの!?」とものすごく衝撃を受けた。
Haniwa さんといえば、個人的には
『私は騒音の中にいる。』(これで知る)
『貴方だけが、幸せでありますように。』(これでどハマりする)
あたりがすごく印象的なのだけど、「Haniwa さんの曲で現在一番好きな曲」というとこの『裂いて。』がまず頭に浮かぶ。
タイトルもめちゃくちゃかっこいいものばかりで、この曲はほかのものと比べるとシンプルだから、ほかのものほど伸びてないんだろうか。
この曲は、「ギャップ」がひとつ大きな要素になっているように感じる。
まず画像に、快晴のさわやかな青空をバックとして、枯れかけてうつむく暗いひまわりとのあいだに強いギャップがある。
さらに、ひまわりを出すことで「咲いて」とかけているのかなと想像させつつ、ひらがなでもなくあえて『裂いて』という言葉選びがなされたタイトルにもギャップがあって、曲調も含め「不穏」という言葉が妙に似合わしい。
――あの子の半分だけ開いた口からやってくるのはいつも
という言葉から歌がはじまることも、ぎゅっと胸をつかまれる。
「半分だけ開いた口」から出されるものが、笑顔や幸福な何かであるとは、どうも想像しにくい。
やはり不穏さが、この「半分だけ開いた口」のあたりに漂っているように感じられる。
また、最後の、
――ただ、哀しいみたいに。
と、「ただ」で息を呑むように音楽さえも一瞬とまり、「哀しいみたいに」と吐き出すようにささやいて、歌詞としては終わりつつ音楽としては盛りあがっていくのが、たまらない。
この最後を聴きたいがために、また最初から聴きはじめてしまう。
自分の想像力が足りないために、歌詞を読んでもどんな状況なのか断片でしか思い浮かべることができない。ので推測もうまくできない。
精一杯に作った手紙を、このあと「裂いて」しまったんだろうか。
ただ哀しさだけはこのうえもなく表現されていて、すべてを味わうことはできていないのかもしれないけれど、自分にとってはそれでも大好きな曲。