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ミニマルなおいしさ

よっぽどの理由がない限り、基本的にわたしたちは毎日3食、食事をします。3食×生きてきた日数となると、大変な数のメニューになるはず。それでもなんとなく小さい頃からずっと選び続けているメニューがあります。それは、オムライス。

小さい頃は、外食があまり好きじゃなかった記憶があります。理由は大変立派なもので、お母さんの作ったご飯が一番美味しいから。うそみたいだけど、ほんとうなんです。それでも大人の都合でファミリーレストランやよくわからないレストランに連れていかれることがありますよね。そんなときに必ず頼んでいたのが、オムライスでした。オムライスは、どのお店でもだいたい平均的な味のものを出します。これこそ大きくハズレのない鉄板メニューだと気付いてからというもの、どこに行ってもオムライス。好きだから選んでいたわけじゃなかったのに、いまでもメニューにオムライスの文字があると、ついつい頼んでしまうようになったんです。

それでも、たった一度だけハズレオムライスを食べたことがありました。メニューのオムライスの項目に「※ なかのごはんは、バターライス・白いごはんから選べます」って…その選択肢用意したのどいつだよ?やり切れなさで震えました。恐らく10年くらい前になりますが、いまでも覚えてる。渋谷のあの店…。

チープであればあるほど良いメニューっていくつかあると思うのですが、オムライスもその一つ。半熟トロトロにされていたり、何日もかけて煮込んだデミグラスソースがかかってなくていいんです。べっちょりしたケチャップライスが入っていてほしい。ケチャップライスの中のタンパク質は、チキンじゃなくて、ソーセージでもいい。バターでベトベトの玉ねぎと、ごりごりしたベジタブルミックスが入っていてほしい。で、飾り気のない真っ白なプレートに、ぽってりとケチャップをのせたオムライス様が鎮座してさえいればいいのです。工夫はいらない。オムライスでおしゃれしようとしたって無理なんだから。スタンダードこそ美。ミニマルオムライス最高です。

どこのお店も創意工夫をこらすことで他店と勝負しているせいか、平凡な味をふつう食べられる平凡なお店が、どんどん減っている印象です。田舎の食堂に行きたいなぁ。

また明日。

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