郷土愛という壁

「くらべる東西」という本を読みました。関東と関西の文化差を美しい写真と簡単な文章でまとめたもので、文章はほんとに感想文みたいで、もっと調べろよ!と突っ込みいれまくりでしたが、写真を見ているだけでも驚きがたくさん。それに、案外関西の文化はわたしの生活にも入り込んでいるんですね。当たり前のように食べていた桜餅やおでんが、関西からきた文化だったとは。この本を手に取ったのは、会社でのあるやりとりがきっかけでした。

弊社には絵に描いたような大阪人がたくさんいらっしゃるのですが、ことあるごとに「東京のひとにはわからんと思うけど」とおっしゃるのです。関東出身者がわたしだけだからかもしれませんが、なにかにつけて枕詞みたいに出てくる。最初はなんとも思わなかったのですが、何度も言われているうちに大阪に対して壁を感じるようになりました。いちいち東西のちがいを引き合いに出すのはなぜでしょうか。そもそもわたしは神奈川のひとでですし、こちらからしたらその他46都道府県のうちのひとつです。あちらだって同じでしょう。

思うに関西の方は、郷土愛がめちゃくちゃ強いのです。その割に、大阪で観光ってどこに行ったらいいんですか?と聞いても、「特にないなぁ」と返ってくる。太陽の塔とか通天閣とか見てみたい!と言っても「見てどうすんの?」以上。ツンデレか!「富紗屋」というお好み焼き屋さんに連れて行っていただいたのですが、それはそれは美味しいもので、わたしが今まで食べていたのはキャベツ入りのホットケーキだったんや…と愕然としました。きっともっと「ならでは」がたくさんあるのに、聞いても「特にないなぁ」なんだもん。いちいち東京を引き合いに出さずに、もっと大阪の良さ教えてほしい。簡単には教えてもらえなくて、本当に難易度高い。関西弁の独特なニュアンスにも、慣れるまでは勝手に悩んだり傷ついたりしました。面倒見が良くてあったかいひとが多いのはわかっているのですが、コツを掴むまでは結構大変だった。あらゆる人種が暮らすアメリカの暮らしを想像すると、少し気が遠くなります。差別や人種問題が延々と続いていることも、仕方ないのかもなぁと思ってしまう。東西だけでこんなに壁を感じるんだもの。

郷土愛ってすてきだなと思うけど、ふるさとを愛するあまり気持ちが閉じてるなと感じる場面もある。難しいですね。神奈川のひとってあんま怒らないしよく笑うよねって言われますが、そんなことないよ。わたし毎日怒ってます。

また明日。

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