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道を踏み外したい欲

周囲で登山ブームが起きています。今までは高い機材やアルコール費に大枚叩いていた連中が、みんなひっそりと入山していく。長年インドアを貫いてきたわたしにも急に走りたいという欲望が湧き上がり、わざわざ渡米してまで走るランニングジャンキーなりました。

いつも誰かとチームになって何かを作り上げてきたひとが、誰にも知らせることなくひとり山に通う。疲労の蓄積した身体にムチ打って、走りに出かける。30にもなって、あるべき姿に落ち着くものかと本来の動きに逆らった何かをしはじめる、この反発の欲望みたいなものに名前をつけたい。

本来用意された道から外れたい欲望みたいなものは、いくつになってもあるものだと思います。思春期特有の反骨精神から派生した大人病みたいなもので、このままいったらこうなるな、という期待を自分で裏切りたいんじゃないでしょうか。人生は予期できないものであるほどおもしろい。おもしろいから1日1日を真面目に生きられる。だからこそ、いまある選択肢からは想像もできない新しい一手を無理にでも作ろうとしているんじゃないかと思うのです。高校の頃一番の優等生だった地味めな子が大学生でデキ婚する、みたいな。おばさんになって急にアイドルにハマる、とか。ちょっとちがうかな。

いくつになってもいつまでも、何者かになりたいと思い続けて生きていくのかもしれません。自分の人生の主導権だけは、いつまでも自分で握っていたいですよね。そんな中で同じように道を踏み外せる誰かと出会えたらなら、きっとそれが幸せなのです。

また明日。

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