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人間 くさい人

「あの人、案外人間くさいところあるよね」
人間くさい。妙なことばです。わたしもあなたも人間です。よく例えで「機械みたいな人」と聞きますが、今までそんな人に会ったことがありません。それぞれ譲れないものがあって、悩みがあって、毎日必死。人間っていいなー!と、しみじみしてしまいます。

わたしの考える人間くささとは、その人のちょっとダメなところ。
今朝寝坊しちゃってさ…とか、実は三股してて…とかそんなものから、ちょっと、引くようなことまで。オレ昔はすごかったんだぜ系の武勇伝は笑顔で聞き流しますが、昔こんなことあったんだよね…みたいな告白を恥ずかしそうにされちゃうと、もうダメです。普段の姿からは想像もできない一面を知った瞬間、急にその人の奥行きが増していきます。
思えば、毎日たくさんの人と接していながら、それぞれのごくごく一部にしか触れられません。いろんな人に会って話を聞いてみたいのに、パーソナルな部分はごくたまにしか目撃することができない。もったいないことしてるよなぁと思います。

鬼海 弘雄さんの世間のひとという作品を読みました。写真家である鬼海さんが浅草で出会った人々の姿が、写真やエッセイで描かれています。驕ることなく自分自身をまるっと生きる人々の姿に、温かいものを感じました。写真を通して人と触れ合えるという技術が、少し羨ましいです。もっといろんな人の人生を知りたい。

思えば、コピーライターという仕事を選んだのも、人が好きだからというのが一番の理由です。会ったこともない遠い誰かの友人でありたい。おもしろいことは一緒に楽しみたいし、困ったことは相談にのるし、好きそうなものは教えたいし、新しいものはすぐに知らせたい。コピーライターを目指した頃は、そんなことを毎日考えていました。いいことばかりじゃないけれど、生きててよかった~と思える夜があるのは、この仕事のおかげかもしれません。

また明日。

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