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手にもつ卵を腐らす前に

マイナビウーマンで、連載企画【田中里奈と学ぶ投資家への道】が始まった。私はライターとして取材・執筆を担当している。FP風呂内先生のもと、田中里奈ちゃんが投資について1から学び、実際に投資家デビューをする道のりを追う。前職(税理士事務所のブックライター)を辞めてフリーになり半年、初めてのマネー系のお仕事だ。

前いた税理士事務所も、どちらかというと資産運用について学ぶ機会が多く、そういう環境にいたせいでわりと興味はあった方だ。自分用の証券口座も持っているし(一度も使わずに埃をかぶっているけど)、投資についても自分なりに色々と調べていた。

投資のときの話で有名なのは、「卵とカゴ」のエピソード。ひとつのカゴにすべての卵を入れてしまうと、そのカゴが倒れたときすべての卵が割れてしまう。それと同様に、ひとつ株に全財産をかけてしまうと、その株が下落したときに大ダメージを食らってしまう。だから、リスクを軽減するためにも、複数のカゴ(投資先)に卵(財産)をふりわけていくという考え方だ。

この考え方は、わりと自分の思考にもしみついているようで、それは投資以外の場面でもよく現れる。もともとかなり保守的な人間なので、常にリスクは分散したいタイプなのだ。しかし、最近、カゴに卵をふりわけることだけで安心している自分に気づいた。

当然の話だけど、卵をカゴにふりわけてそのままにしていれば、時間とともに卵は腐っていく。

たとえば、恋人を10人得ることができれば、"フられて一人になる"というリスクは軽減する。しかし、その恋人とどうなりたいか考えずに関係を続けていれば、いずれその関係はどこかで破綻したものになるだろう。

たとえば、複数の取引先から仕事をもらえたなら、"契約が打ち切られて仕事が0になる"というリスクは軽減する。しかし、その仕事を自分なりに昇華していけなければ、何の血肉もならずに、おそらく10年後には0になっているだろう。

ご飯にかけて食べたいなら新鮮なうちに、焼いて食べたいなら少し時間をおいてもオッケー、ヒナを孵したいのならカゴなんかにいれずもっとやるべきことがある。目的意識ももたずに卵をカゴにいれたところで、割れるリスクしか軽減できず、結局腐っていく一路をたどるのみなのだ。

卵を得たのなら、その卵をどうしたいのか考えなければいけない。「卵いっぱい!やったー!」と言って、たくさんのカゴにいそいそとふりわけていたのは昨日まで。腐る前に献立を考えないと。

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