部屋にたまる澱みと空気清浄機
なんだか、腰の重い日々が続いていた。寒いし疲れやすいから、あまり外に出たくない。朝からインスタントのラーメンとかお菓子で腹を満たし、トイレに行くことすら面倒くさくて、膀胱がずきずきといたんだあたりでやっとソファから起き上がる。
外出したらしたで、帰り道に寄った喫茶店でぼけーっと5時間くらい居座ってしまって、気がついたら閉店間際、誰もいない店内からいそいそと出る、なんてもんで、ほんとうにダメなヤツ!って感じだった。
ああ、このまま冬眠してしまいたい、なんて思いながらある朝起きたら風邪をひいていた。花粉症もあいまって、喉も顔も頭も痛くて、くしゃみは止まらなくて、いっそのこと永遠に寝たい、なんて鼻水流しながらベッドの中でネットサーフィンをしていた。
この、よどんだ空気をどうにかしたくて、単細胞な人間らしく空気清浄機を買ってみた。思ってたよりも体格の大きな空気清浄機(兼加湿器)。発送遅延で1日遅れでやってきた空気清浄機。嬉しすぎて一回抱きしめてみたら、なかなか心地がよかった。
こんな部屋に置いちゃ、空気清浄機さまに申し訳ないと、大掃除が始まってしまった。意味もないのに、冷蔵庫の中とかトイレまで磨いた。空気清浄機が活躍する前に塵ひとつない状態にしてしまったことに気づいて、なんだかおかしくなった。身体が軽い。
夕方にペペロンチーノを作って部屋に入ったら、静かだった空気清浄機がぶおおおんとファンを回し始めた。なんだか、生き物みたいだ。綺麗な部屋と綺麗な空気の中で食べるペペロンチーノは、いつもよりちょっと美味しい(気がする)。どんどん身体が部屋に馴染んでいく。
思うに、何かをたくさんサボっていたから、空気が澱んだのだ。空気が澱んでいたから、腰が重たかったのだ。にんにくの臭いを消すのに必死な、働き者の空気清浄機にそう言われた気がした。
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