退路という保険が私を忘れっぽくさせる

一人暮らしを初めて9ヵ月ほど。自分の住んでる家の住所を、未だにそらで言えない。住所を書く機会というのは毎日のようにあるのに、毎度毎度郵便番号を検索し、住所を入力したメモを開く。我ながらめんどくさいなと思う。

忘れっぽい、と言いつつ、長いこと脳内に残り続ける知識というのがある。私でいえば、大学受験で覚えた英単語や、卒論で用いた作品や参考文献、仕事を始めてからだと、いままで取材した内容、など。

「仕事がなかなか覚えられない」という人がいる。正直、私も前職のときの仕事内容は、かなり薄い。で、思うのだけど、こういう薄くて消えやすい知識というのは、「いずれ去ってもかまわない」という、自分の中の退路が作用してると思うのだ。

まあ、本腰入ってないだけ、と言えばそれまでなんだけど。自分の中に「退路」がある限り、脳は、かけすて保険としてしか処理してくれないのではないか、などと思うのだ。

「いずれ別の場所に移り住もう(場所は気に入ってるけど、色々と不便なのだ)」と思っているせいか、私の脳はいつまでも住所ひとつ覚えようとしてくれない。

記憶力を嘆くより、ずっとここに住みたいと思える場所を見つける方がいい気がするので、そのままで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?