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ドラマ「風起隴西-SPY of Three Kingdoms-」を見ました。

ドラマも和洋問わずあまり見ないのですが、「折りたたみ北京」の感想でも書いた馬伯庸(マー・ヨンボー)さん原作のドラマで、やっと自分が登録しているところで(課金しましたが)見られるようになったので。


馬伯庸さん原作のドラマ、通称「三国機密」こと「三国志-Secret of Three Kingdoms-」が献帝(後漢最後の皇帝)と司馬懿さんを中心にした後漢及び魏サイドの話しに対して、この「風起隴西」は劉備さんの息子劉禅さんが皇帝となった蜀サイド(劇中では蜀漢と称されています)から描かれています。

ドラマは、諸葛孔明さんが「街亭の戦い」で魏に負け、「泣いて馬謖を斬る」となった辺りから始まります。
負けた責任を取って馬謖(ばしょく)さんは処刑されてしまうのですが、このドラマでは、実際の敗因は魏に送り込んだ間諜(コードネーム白帝)の送ってきた情報が違っていたからとなります。
そこで、原因を探るべく諸葛孔明さんの命を受けた蜀漢の諜報機関「司聞曹」が調査に乗り出します。
白帝は偽の情報を掴まされたのか、それとも送ってきた情報がどこかですり替えられたのか、はたまた白帝が裏切ったのかとさまざまな説が浮上します。
ただ、白帝の潜入は司聞曹の中でも極秘案件であるため捜査が進まないうえに、燭龍(しょくりゅう)という曹魏の間諜が司聞曹に潜入していることが判明。さらにそこに、北伐を進める諸葛孔明さんとそれに反対する政敵との争いも絡んで、誰が敵で味方なのかわからない状況になっていきます。

ドラマの主人公は、司聞曹の中の靖安司(せいあんし)という部署にいる荀詡(じゅんく)字(あざな)は孝和(こうわ)と、白帝(ばいてい)というコードネームを持ち魏に極秘潜入している陳恭(ちんきょう)字は思之(しし)の二人。全然タイプの違う二人ですが仲が良く義兄弟でもあり、荀詡が妹のように大切にしている従妹は陳恭の妻でもあります。
荀詡は白于(バイ・ユー)さん、陳恭は陳坤(チェン・クン)さんという役者さんがそれぞれ演じています。

「街亭での戦い」の敗戦原因となった誤情報の件で、蜀を裏切ったのではと疑いを掛けられた陳恭こと白帝の潔白を証明するには、曹魏の間諜の燭龍(しょくりゅう)を突き止めなければなりません。潜入先の曹魏からも怪しまれ、身内である蜀漢からも疑われた陳恭を助けるために、荀詡も自らを危険にさらしながら真相を解いていきます。
臨機応変でひょうひょうとした陳恭に比べ、愚直とも言えるほどまっすぐな性格の荀詡は、自分が納得するまで謎を解決しようとします。それが、陳恭や多くの人を助ける一方で、同時に危険な目にもあわせることにも。それでも荀詡は己の信念を曲げずにひたすら真相を追い続けます。
そして、その荀詡の行動が、意外な結末に繋がって行くのです。

ところで、ドラマの中で「漢の復興のため」という言葉が繰り返され、そのために犠牲になったりする人も出て来ます。
三国志を知らない自分は、蜀が出来たんだから蜀でいいじゃんと思ってしまうのですが、無論そんな簡単なことではないようです。
ただ、何がなんでも漢の正統な後継者であるという地位を手に入れようとする姿に、正直やや引きました。というか、どんだけ皆、漢が好きなの?という感じに。(そうじゃないのかもしれませんが…)

ややネタバレになりますが、16話(全24話×約45分)くらいで燭龍を捕まえ白帝こと陳恭の潔白も無事証明され、普通だったらもうこれで最終回だよね?という感じになりました。逆にこの後、何の話があるの?と少し不安になるくらい、最初の問題は見た目綺麗に片付きます。
けれども、そこから今までのことは本当にただの入り口だったのだなと思えるような話が続いていき、最後まで気が抜けない展開で面白かったです。
三国機密も長安も未来を感じさせる終わり方で好きだったのですが、この作品もそんな感じでした。続編狙いとか尻切れトンボではないのですが、ああここからそれぞれの人生がまた続いていくのだなという雰囲気を感じます。もちろん続きがあったらまた見たいと思いますが。

これで後は「風起洛陽」を見られればと思っていたのですが、先日、馬さん原作の新たなドラマ「天地に問う~Under the Microscope~」が来年二月に上陸するというのがSNSで流れていました。しかも今度は脚本も馬さんが担当とのこと。楽しみです。ただいつになったら見られるかはわかりませんが。(登録すればいいのですが、滅多に配信見ないので…。)