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辻堂駅の喫茶紬

日曜日。ただ家に帰るだけの道に、ふと、こんな良い天気の冬に外に出ないのはもったいない気がして、いつもと反対側の改札から出てみた。

毎日使う駅も、逆側の西口改札に向かって歩くと、新しい発見がある。線路沿いにある昔ながらのおでん屋や焼き鳥屋。湘南、という立地でどんどん洒落たハンバーガーやカフェができる中、時が止まったかのような店を見ると安心感というか、愛おしさを感じる。

改札を出ると、あーやっぱ良い天気だなぁ、と伸び伸び。雲ひとつない冬空に少し気分が上向きになる。

この冒険は、いつも出る逆側の改札から、いつもの改札までのホンの数百メートル。駅の長さ分、町を歩くだけだが、地元でも全く知らないことはたくさんある。マフィン屋さんできたんだ、あーここなくなっちゃったんだ、それだけでも楽しいんだ。

チリン。冬に似合わない風鈴とはためく「氷」の暖簾に気がついた。

シャッターの締まった建物と駐輪場の細い路地に、違う季節が誘ってくる。ちょっとみてみるか、と細い路地を覗いたら、玄関があり、おそるおそる覗いてみた。目の前にケーキのディスプレイ。お店を、見つけた。

「あ、どうぞー!おひとりさまですかー!」とお姉さんが降りてきた。ぁぁ、ひとりです…と流されるまま上にいくと、待ち構えていたかのような一人席に通された。「喫茶 紬」。今にも壊れそうな古家のカフェだ。無造作に置かれた雑誌の山、大正を彷彿させるテーブルライト。ストーブの上に置かれたヤカン。電車が通るとガタガタと揺れる。

ちょうど良いお昼の時間だし、ランチを頼む。

cafeより喫茶が似合う。トースト、クリームソーダ。主観だが、cafeで食べるトーストより喫茶で食べるトーストの方が美味しい。ただここは店員さんの意見も聞こうと、お姉さんに聴くと「プリンとチーズケーキがうちのおすすめなんです」とのこと。そのまま、じゃぁプリンを、と頼んだ。ついでに目についた自家製蜂蜜レモンソーダと、ランチをしなきゃという変な申し訳なさでカレーも注文した。小食の自分も驚きだ。

カレーは、バターチキンカレーとグリーンカレー。2味、いやミックスも合わせて3味。うまい。本番のカレーとは違い、サラサラとした薄味で、しつこくない。量も多すぎず少なすぎず、デザート分をしっかり開けて満足できた。

ひとりだと、音がとても気になる。隣の人の会話や、皿を洗う音、たまに聞こえる電車の音。それすらも全部心地よい。この角っこに配置されたひとり席も居心地が良い。ボーッとしてると主役のプリンが目の前に現れた。

見てください、このフォルム。the喫茶のプリン。固めのクリームに埋まったチェリーが味をだしてる。味はほろ苦。甘すぎなくて、大人な味。プリンの苦さで、レモンソーダの甘さが際立って感じる。

(倒れないように食べるのが好きだったりする)

これだけで、この休日は100点だ。いつもインドアで人見知りな私が、散歩で偶然見つけた喫茶に入り、小食で偏食気味の私が、カレーとプリンとレモンソーダを飲む。ちょっとした成長に口元が緩む。

この日記もつけたし、ゆっくり帰って昼寝でもしよう。

食べログみつけた

https://www.google.co.jp/amp/s/s.tabelog.com/kanagawa/A1404/A140404/14075684/top_amp/

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