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小説『これは幸福な話』- 感想

紹介

最近ムーンライトノベルズで『これは幸福な話』という小説を読みました。


初めに驚いたのは、主人公が何回も結婚することです。バツ何回目かなというくらい結婚します。こういう話私は読んだことがなくて新鮮でした。


それもどの結婚も主人公がたぶらかしたとかではない。数奇な運命によって結婚することになってしまう感じとでもいいましょうか...。遊び人な女の話ではないです。それがまたギャップで新しいですね。


二回目の結婚までは本当にうつで、何もいいことが主人公に起こらなくてどうしようと思いました。話もどこかダイジェスト感があって二年後に一気にすっ飛んだり、「〇〇と仲良くなった」の一文のみでどうやって仲良くなったんじゃい!とツッコミを入れたくなったりしました。


でもここが言いたいところではなかったんでしょうね。二回目の結婚までは下地で、物語の起の部分でした。


そうして悪党の元妻という忌み嫌われる身分になってしまった女性がどうやって自らの幸せを掴んでいくかという話を作者さんは書きたかったのではないかなと思いました。


他の人にはこんな人と結婚して幸せなの??うそだろと思うような相手と結婚をしたりします。それでも幸せそうにしています。


その後も不幸に見舞われて離婚することになってしまうんですが、

3回目の結婚からはどんな相手だとしても幸せそうに笑うんです

これを作者の方は表現したかったのかなと。


「お金がないから幸せになれない」「仕事をしなくちゃいけないから幸せじゃない」そんな不満は見せずに懸命に生きる姿に胸を打たれます。


私はオススメしたいと感じました。

リンク下に貼っておきます。

https://novel18.syosetu.com/n3654gr/

R18なので大人のみおすすみください。直接的表現は少ないはずなのに主人公の受ける暴力が比較的性的なものに寄っているため読む人を選ぶかもしれません。予め自己防衛をお願いします。



以下読んだ前提で話進めます。






ローガンについて思うこと


私はローガンがイチオシでした。
祖国を滅ぼされた人。母親の境遇。それだけでここまで心がささくれてしまっていることは納得がいきました。

基本的に悪人はいないと私はおもいます。これまでの苦労や苦しみや悲しみに耐えられずに、変な形に心が潰れてしまった人が銃乱射やらテロやら通り魔やらをやっているんだと思っています。

それでそれまでの行為が全て許されるとは思っていませんが、その人だけの責任ではないともおもっています。

「普通の生活をしていたのに〜」とかはナンセンス。その人によって苦しいと思うことは違ってくると思うのです。それと同じように幸せだと思うことも人によって変わってくる。

エメルダが初めて本当に幸せだと思えた一瞬をくれたのってやはりローガンとの結婚の時期だったんじゃないかなと思ったりしました。



エメルダの幸せ

娼婦として働かなくてはいけない。たぶん醸し出す雰囲気からエメルダはいつローガンに売り飛ばされてもおかしくはないこともなんとなく感じてはいたのではないでしょうか。稼いだお金は全て取られる。

それでも『自分の居場所』『すべてを受け入れてくれる』それで幸せを感じていたのかなと思いました。

私も途中からローガンを選ぶかもしれないと思うようになりました。(多分『バナナフィッシュ』で世間一般では悪党と呼ばれている人側の話を読んだからかなとは思うのですが)

自分を受け入れてくれる人。それも1番辛くて1番底辺にいる時に優しくしてくれた人。それって本当に心に響くんですよね。ほんの少しの優しさだったとしても一生忘れないぐらい嬉しいことですよね。きっとこの時のエメルダはそうだったでしょう。もうここでダーダー泣きました。

最後までローガンがいたのよかったですね。娘ちゃん幸せになってね。

子供世代でやっと幸せの形のピースが完全に一致するの最高に萌えます。

『NARUTO』とか最高ですよね。私ボルトのブルーレイ買っちゃいました。映画館で号泣して。もう至高でした。あと番外のサラダちゃんの漫画も最高でした。色々思い出して泣いた。『彼氏彼女の事情』で浅葉くんに起こる最後の衝撃とか、『xxxHOLiC』で四月一日に付き添い続ける子達があの二人の子かぁーーー!ってなるのとか。最高です。



レディアスについて思うこと

最初から出てくる2人目の主人公…

不憫。悪くないのにいささか(エメルダを幸せから遠ざける役まわり)悪役として出てきていますね。

騎士で親にも身分があってお金も沢山あってエメルダを愛している。そして結婚してくれと言ってくる。

それでもエメルダに頷かせない作者さんに拍手を贈りたい!!

その時のエメルダにとって幸せの方向が違うというか…もう、その感じがものすごくツボでした。心の深くを見てる感じというか。なにか深淵を覗いている感じがしてとても読んでいて泣きました。




不幸が立て続けに起こる作品

こういった作品って最初の方どんどん際限なく不幸にさせることが出来るので筆が進むんですよね…

でもその後が大変です。

不幸にした分幸せにしてあげないといけない。でも、不幸にすればするほど幸せにしてあげる時やらせ感やご都合主義が出てしまうんですよね。

これに関してはヒーローがお金持ちだったおかげとヒロインの心の強さで乗り切ったさじ加減がやらせみがあまりなくて良かったです。

でもやっぱり私はローガン推しでしたけどね!お金が無くても幸せだと思わせてくれるところがいいやと。あの後優しくなっていくところもよかった…。でも起承転結的にやっぱりレディアスと最後結婚するだろうことは分かっていました泣。最後までローガン出てよかったです。彼も彼の幸せの形を手にできていると信じています。


まとめ


総じて、とても読んでいて面白い作品でした。号泣しましたし、綺麗にまとまっていて読み終わりが素敵な気持ちになりました。竹丸先生の他の作品もちょっとチェックしておこうと思います。...φ(・ω・ )メモメモ

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