小川康弘の読書感想文。


ナナロク社が世に問う心優しき小説家・小川康弘さんの作品です。世界の名作を澄んだ瞳で見つめる、ぼくたちのための読書感想文です。


       「鶴の恩返し」を読んで






はっきり言って、化け物だと思った。

鶴が人間に姿を変えたり、たちまち鶴に戻ったりと化け物としか思えなかった。物語では、鶴が人間に姿を変えてるけど、もしかしたら、元々は人間だった人が鶴に姿を変えて、その時に罠にかかったのかもしれないし、いったい、鶴と人間のどっち発信なのかが気になった。

可能性としては、鶴以外のほかの動物にも変身できることも考えられるので、もう一度罠を仕掛けて捕まえた方がいいと思った。

今回読んだこの「鶴の恩返し」という話は、ある村の、貧しいけれど働きものの若者が、罠にかかって怪我をした鶴を助けるところから始まるが、その何日後かに、女の人が若者を訪ねてきた時、







「あ、多分こいつ鶴だな」と思った。



読み進めてみると、やっぱり鶴だった。タイトルが鶴の恩返しだし、先が読めてしまった。無茶なことを言うようかもしれないけれど、今からでもタイトルを変えたほうがいいと思った。

ストーリーに話を戻すと、そのあとこの若い娘は、若者に「絶対に中をのぞかないでください」と釘を刺し、部屋にこもりはたを織った。「これを街に持っていけば、きっと売れますよ」といわれ、若者が街に持って行くと、またたくまに売れた。再び、娘がはたを織ったところ、それもまたよく売れ、殿様が高く買ってくれもした。

よかったなあと思った。

しかしある日、若者が約束を破り、中をのぞくと、なんとはたを織っていたのは鶴だった。鶴は娘の姿に戻ると、自分は以前助けてもらった鶴であることと、恩返しのためにやって来たことを告げ、姿を見られてはもうここにはいられないと、再び鶴になって飛び去っていくという内容である。

お世話になった人や、恩人に恩返しをするというのは、とても大切なことだし、僕も共感するのだが、できあがったはたを、若者に街まで売りに行かせるのではなく、鶴本人が行ったほうがいいと思った。

本当に恩返しをする気があるのならそこまでするべきだと思う。







飛べるんだし。



それに、鶴の姿ではたを織るより、鶴の姿のときにある程度羽をむしっておいて、織るときは人間の姿で織ったほうが効率がいいと思った。

そっちのほうが、よりクオリティの高いものができると思う。

はたが高く売れ、経済的にゆとりができたのはなによりだったけど、助けてくれた人は若い男だし、鶴は若い女に姿を変えれるのだし、もうちょっと違ったやり方の恩返しがあるんじゃないかなあとも思った。


おわり


作品紹介
「鶴の恩返し」
罠にかかった鶴を助けた若者のもとに、ある日、若い娘が尋ねてくる。実は娘の正体は…。哀愁漂うラストが読み手の心をゆさぶる不朽の名作。

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