じいちゃんが、余命宣告を受けた

ママから、いつものようにLINEが来た。


「元気?そうそう、まだ産まれそうにないって。」(妹、もうすぐ出産予定)


そんな会話から始まって、突然じいちゃんの話になる。


「じいちゃん検査したんだけど、入院になるって。おそらくもう家には帰れないみたい」


数年前から、摘出手術もしている。

2年前の入院の時は、たまたま帰国していたから一緒に入院の手続きの付き添いもした。

その時は無事に手術を終え、お家で過ごしていた。



でも今、肝臓がほとんどガンになってしまったんだって。



ーーー呆然として言葉が出てこないわたしに、ママは言う。



だいぶ前から転移していたし、仕方ないんじゃないかって。

本人もこわがっているって。



そんな風に書いた後、さらに続ける。



あと1ヶ月かな、って。

じいちゃんには、言ってない。

覚悟はしてる。



ママはそう言った。


ママは、わたしが思っているより強くて、そして弱い。


ありがとうね。

ママは、わたしに伝えてくれた。

わたしは、現実を受け入れることを拒否したかった。



わたしは、あゆちゃんのライブが目的だとしても、帰国したその時は必ず実家に帰る。

そして、パパの両親にもママの両親にも必ず会いに行く。

ほんの一時間だけだとしても、必ず。


今年のお正月は、たった5日間の滞在だったけれど、いつもどおりみんなにバタバタと会いに行った。

もちろん、じいちゃんにも。



次に帰国するのはきっと、5月末だろう。

たとえ余命宣告を受けたって、それよりも長く生きているひとはたくさんいる。

じいちゃんには、頑張る気力があったら待っていてほしい。

でも、辛くて痛い思いをしてまで、この世界にいる必要はないよね。

そう思うわたしは冷たいかもしれないけど、痛くて怖い世界にずっといたいなんてきっと思わないだろうから。




「じいちゃんがもういいかなって思ったら、そっと目を閉じて、心地の良い天国へ行くことを選ぶよ」


そう隣で言ってくれたのは、3週間前におじいちゃんが亡くなったあなただった。

じいちゃんのことを説明しているうちに現実のものと実感し始めて涙がこぼれるわたしにそう言った。



そして、こうも言う。


「もうすぐ、妹の赤ちゃんも生まれるよね。こうやって世代は引き継がれてくからね。」

「ぼくんとこも、お兄ちゃんに赤ちゃんが生まれて、おじいちゃんが亡くなった。」

「おじいちゃん同士が天国で会って、お互いにドイツ語と日本語を教えあっているかもね。」


そうしてわたしは、少しずつ現実を見る。

世代は、変わるのか。


平成から引き継がれる新しい元号「令和」のように、じいちゃんたちの世代から次の世代へ引き継がれていくんだよね。


とっても自然なことなんだよね。


こんな時に、日本に住んでいたら良かったのかな、なんて思うことがあるんだろう。

そう思ったところで、それでも日本に住むことを選んでいない自分がここにはいる。


だからわたしは、決めている。

日本に帰ったときは、ほんの少しでもいいから、会いに行く。



じいちゃん、また帰ったときに、笑顔で会おうね。


with LOVE, nana

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