アントニオ・タブッキを2冊、須賀敦子さんと
須賀敦子さんの翻訳は、翻訳的なノイズが全く感じられず、驚くほど滑らかでした。
本を開いている間、小さな小石に躓くようなことがなく、すーっと小説の世界に引き込まれていきます。外国語から日本語に直された文章を読んでいるのだと読み手に気づかせません。
これまで須賀敦子さんのエッセイを好んで読んできましたが、翻訳されている作品を読むのははじめてでした。エッセイを読んでいるとその聡明さと静謐な文章力に憧憬の念を禁じ得ないのですが、翻訳もまた一等、格別でした。
須賀敦子さんのファンな