『コルシア書店の仲間たち』 人を見つめる誠実な目
初めて手に取った須賀敦子さんの著書が『コルシア書店の仲間たち』でした。まだ日本に住んでいて、外国への憧れを抱いていた頃のこと。渡航費を貯めるために週に3つ4つのアルバイトを掛け持ちする中、一番のお気に入りが街の小さな古本屋さんでお店番をしながら本を読む時間でした。読書も好きなのですが、何より紙の本に囲まれているだけで心地良くなります。学生の頃からお客さんとして通っていた古本屋さんで、本が無造作にうず高く積み上げられているのですが、密集した本の背表紙にも木製の棚にも窓から差し込