エクストリーム7年生(20)
第四章・暗夜 (5)
「じゃあ……風紀……委員会……は……」
「私が組織した」
暮石は言葉を返すと、三土の後ろに回り込んだ。倒れたままでは面倒だと言わんばかりに襟を掴んで状態を起こすと、右腕で首を絞め始めた。
「君や二階浪君や草石もそうだが、留年生は秀央大学のイメージを損ねるゴミに過ぎない。だから私はそういう学生を排除するために風紀委員会を作ったのだよ」
三土は両手を使って抵抗を試みるが、右腕はびくともしない。暮石が手加減をしているらしく気絶には至っていないが、呼吸がしづらいのは相変わらずだった。
「君がエクストリーム7年生などと名乗って邪魔をしなければ、本学はもう少しクリーンになったというのに。残念だな」
「ぐ……く……」
腕を外そうとするが、焦ったところで事態は一向に良くならなかった。この痩せた中年男性のどこにこんな力があるのかと三土は戦慄したが、暮石が次に発した言葉がその感情をも吹き飛ばした。
「しかし、これで最期だ」
暮石の腕に、力が入った。
(続く)