ザ・ナイトフライヤー「THINGS」


筆者「ゆく川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらずんば平家にあらず……」
隊長「おい」
筆者「何か?」
隊長「どこにそんな言葉が出てくるんだ」
筆者「やだなあ、『方丈記』の冒頭に」
隊長「ないだろ」
筆者「すいませんでした」
隊長「素直でよろしい」
敵兵「なに漫才やってんだ」
筆者「いえ今日はですね、小池祐子さんがボーカルを務める「ザ・ナイトフライヤー」の新作MVが公開されましたので」
敵兵「ああ「THINGS」だろ」
筆者「そうです。優しさと力強さとが伝わってくる小池さんのボーカルが印象的で、これまでライブで聴くたびに「いいなぁ……」と思ったものです」
隊長「それはわかったが、なんで『方丈記』が出てきたんだ」
筆者「まあ、これは完全なる私見であることをお断りしたうえで申し上げるのですが……今回このMVで聴いたとき、なぜか無常観が去来しました」
敵兵「無常観?」
筆者「何と言いますか、一つとして永遠なものはないと改めて感じさせられまして、一人ひとりは微小なつまらぬ存在にすぎないのだろうか……とも」
隊長「む、ペシミズムも混じっているな」
敵兵「言いたいことはわかる。が、どんな者でもいること自体に意味はあるし、どんなに栄華を極めた人間でもいなくなったら同じことだろ」
筆者「そうかもしれませんね……」
敵兵「だから同人活動が実質ストップしているとかフランス語の学習ペースが遅いとか昔書いた卒業論文の出来が悪くて恩師に申し訳ないとか、そういうことに心乱されたまま生きるのはどうかと思うが」
筆者「えぇ……」
隊長「結局そこかい」