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今、nanaからアーティストを輩出する「co-creation project」を始める理由

どうも、nana music代表の"うにー社長"こと文原です。2022年もあっという間に3月となってしまいましたが、録音機能の大幅なリニューアルも控えていて、こちらは1日でも早く皆さんにお披露目できるよう頑張っているところです。

さて、先日、nanaからアーティストを輩出するという初の試み「co-creation project」を発表しました。nana公認クリエイターとなった歌い手ユーザーを中心に、本格的に音楽活動を行いたいユーザーをアーティストとして輩出する初の取り組みです。

ここ半年のnanaの動きを振り返ってみると、毎週のピックアップに加え、ランキングの復活やnana公認クリエイター制度の誕生など、新たな企画や仕組みの登場が続きました。ユーザーさんの中には、少し競争とか差を感じる人もいたかもしれませんし、実際「nanaは変わってしまったのではないか」という声も時々耳にします。

確かに、これまでnanaというコミュニティでは、できるだけ競争を避けようとしてきたのは事実だと思います。
結論から言えばnanaは変わっていないのですが...、でも変わろうとしている部分もあるし、今だからこそco-creation projectをやる意味がある。
そこで今回は、このプロジェクトを始める理由、そしてこれからのnanaが目指すものについて少しお話しようかなと。

ユーザーの「出口を作る」こと

以前、僕は「健全な格差」について話したことがあります。

いきなり"格差"という言葉が出てくると、ビックリしてしまう人もいるかもしれませんね。

nanaを立ち上げた頃、nanaのサービスを説明する時によく「代々木公園」を引き合いに出していました。最初から上昇志向の人たちのための場所じゃなくて、カジュアルに楽器を持ち寄って遊んでいて、向こうを見たら同じような集団がいて、酔っ払って乗り込んだらその人たちとも友達になって…そうやって音楽の輪が広がっていく。そんなフラットでカジュアルな場所にしたいと思っていましたし、これは今も変わっていません。

ただ、人にはどうしても才能というものは存在するし、得手不得手もある。中にはもちろん上昇志向のある人たちもいる。フラットな場を目指しても、「もっと聴いてもらいたい」「もっと有名になりたい」という感情は人として当たり前に出てくるもので、そこに才能と努力、得手不得手が加われば、どうしたって自然と差は生まれてくるのだと思います。

では、この差は無くさなければいけないものなのか?是正してフラットにすべきなのか?

人と人が競い合って、技を磨いていくこと。才ある人、努力してきた人が結果的に人気者になることは、素晴らしいことだと僕は思います。”スマホ一つで誰でも音楽活動を始められる場”という機会は誰しもに平等に開かれているべきだけれど、音楽活動を続けていく中でより大きな社会的評価を受けていくという「結果」は人によって変わってくるし、その結果による評価が対価として得られるならなお良い。

今まで「フラットである」ということにこだわりすぎて、できるだけ競争が起きないようなコミュニティにしようとしていたのは事実です。むしろ、平等を気にするあまり、結果が出ようとしていた人を押さえつけていたかもしれません。

実はnanaを始めて2〜3年ほどで卒業してYouTubeやTiktokなどに活動の場を移していく、という現象が起きてたりします。その理由を知りたくて、数多くのユーザー、元ユーザーと対話をさせてもらいました。
話を聞いていく中で分かったことは、音楽活動を続ける中で「インターネットで影響力を持ちたい」という思いが出てきても、nanaでは「結果」を出すことができない。だから多くの人がnanaから出ていく。これが現実なのだと。

コミュニティでは結果的に格差は出るものであるし、健全な格差が生まれることは自然の摂理である。上に行きたいという人を認めない場は逆に不自然だし、そういう人たちに対して何のサポートもできていないから、多くの人がnanaから卒業していく。
長年「競争は悪なのかな?」と疑問を抱き続けてきたけれど、”健全な格差”があるコミュニティは悪ではなく、あって当たり前の、むしろ必要なものなのだと、ようやくそう確信することができました。そして、これまであまりにも「平等性」にこだわりすぎて不自然さすら生まれていたこのコミュニティバランスを再考しました。

まずnanaは、自分が持っているスマホだけで簡単に音楽が発信でき、それが1人でも2人でもいい、他の誰かに「あなたの歌声がいいね」「あなたのサウンドは素敵だね」と言って認めてもらえる場であること。「好き」の波長が合う人同士が繋がれる場所であること。これは今後も変わりません。

その上で才能がある人、有名になりたい人、上昇志向がある人がちゃんと挑戦できる世界を作りたい。競争に興味がない人にももちろん居場所があるし、何かに疲れた人がふらっと戻ってくる場所でもありたい。プラットフォームとしての「代々木公園」は変わらず、結果を出せる人がきちんと結果を出せ、それが認められる場所でありたい。どちらかだけ、ではなく、共存できる場所でありたい。

だから今、ユーザーがちゃんと結果を出せる仕組み作りを始めます。本来であればもっと世の中に出ていける人たちに対して、僕たちはこれまでサポートができていなかった。そこを補完し、nanaの中で努力したり才能を発揮し、かつ"何者かになりたい" 、"もっと自分を表現し発信していきたい"という想いがあるユーザーに手を差し伸べ、支援し、その出口を作りたい。まずは歌い手さんからとはなりますが、ゆくゆくは演奏者も含めてそのチャンスを広げていきたい。
ユーザーの出口を作る、それが今回co-creation projectを始めた理由です。

これからのnana

冒頭でもお話した通り、まずは録音機能の大幅なリニューアルを予定しています。手軽さは失わずに、よりこだわった作品が作れるように。自分が納得いく音が作れて、それがちゃんと評価される、そんな体験をみなさんにしてもらいたい。(ここは開発チーム一丸となって頑張っているところなのでもうちょっとだけお待ちください。)
「手軽さ」と「質」はトレードオフするもので、今までは「手軽さ」に振り切っていたけれど、「質」にもちゃんとこだわれるようにする。スマホ1つでここまで作れるの!?という体験とともに「質」が高いものを「簡単に」作れるようになれば、作品作りの敷居を下げることもできるし、音楽表現を楽しむ人も増えてきます。

人々の想像力とそれを具現化することにはとても大きな壁があるけれど、それをテクノロジーの力で極力無くしたい。これがnanaを作ってから今も変わらず思い描いていることです。

それと並行し、今後もユーザーの音楽活動を支援できるようなトピックを予定しています。きちんとユーザーの出口を作り、より大きな世界にどんどん発信できるチャンスを提供しサポートしていきたいと思っています。

創作と表現は楽しいものです。人は誰しもが独創性を持ったクリエイターであり、共に影響を及ぼし合う共創者であると信じていますし、その作品をそれぞれがきちんと発信できる場を作りたい。

nanaのBelief(信念)でもある「Everyone is a Co-Creator」を胸に、これからもnanaのあるべき姿を目指し、進んでいきます。


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