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マンガその2・犬夜叉とすこし夜叉姫


お題「#私を構成する5つのマンガ」を、数回に分けてお送りしております。


その1はこちら。



犬夜叉も、その1に出てきた友達から借りた。

ぴちぴちピッチの次に読んだのはおそらく「きらりん☆レボリューション」だったと思うが、これは完結まで追わなかったので選考から外した。


せっかくなので、きらレボにも触れておくと、2人組のアイドルのふわふわ系のほうに一目惚れしたふつうの女の子(これは少女漫画の主人公が1話目で述べる「ふつう」であり、事務所に乗り込んだ挙句本番中のステージに落下しても「新しいアイドルです☆」で乗り切れ、そのままデビューできるかわいさとドジっ子キャラと図太さと運の良さをお持ちである)が、だんだんぶっきらぼう俺様系の黒髪のほうを好きになっていくというお話である。いや、本筋としては、日本一のアイドルになる!とかそういうことだったと思うが、印象に残っているのはそっちである。


ねこのなーさん、かめのカメさんがかわいくて好きだった。


あと、きらレボで、キメゴマじゃないところのかなり簡略化されたちびキャラ(体がミミッキュみたいになるやつ)表現を知って、あれがめちゃくちゃ好きだった。


簡単に見えて、雑に書かれたかのように見える絵のほうが難しい現象、あれなんなんだろう。ラフのほうがよかった現象は、重なった線のいい感じのところを脳が選んで補完しているからだと聞いたことがあるが、ゆえに1本線で書くのが難しいということなのか、あるいはデッサンの基本みたいな、描き込んだキャラだからこそ簡略板が書けるのであって、最初から簡略板を真似しようとするのは無謀、ということなのか、あるいは簡単そうに見えるのに、という期待のせいでより一層現実との落差が大きく見えてしまう相対的な話なのか。


それにしたってきらレボは特に簡略化したコマが多かったし、簡略化の程度も大きかったように記憶している。

主人公の特徴、アホ毛でいいんですか。




犬夜叉の話に戻す。

犬夜叉は少年漫画(サンデーで連載)でありながら、女性人気も高いマンガの一つである。

妖怪の父と人間の母を両親に持つ半妖の犬夜叉と、ふつうの中学生であるはずのかごめ、呪われた家系の不良法師弥勒、妖怪退治屋の村の唯一の生き残りである珊瑚、どう見てもかわいいが一行の中で唯一純粋な妖怪である狐の七宝が、戦国時代において(※)、さまざまな妖怪を倒したり喧嘩したり強くなったりしながら、そもそもの因縁の始まりである四魂の玉と、それを悪用しようとする奈落を追う話である。

※かごめと犬夜叉だけは現代と行き来ができる。


犬夜叉の腹違いの兄(純粋な妖怪)である殺生丸(成人式のもふもふでおなじみ)、犬夜叉と奈落に深い関係のある50年前に死んだ巫女桔梗、珊瑚の弟で村が滅びた時に操られて仲間を手にかけた過去があるが玉の力によって生かされている琥珀など、複雑な人間(?)関係が次々と明らかになり、すべてがつながっていく。

また、奈落は自らの分身を犬夜叉たちと戦わせるために送り出すが、その中にも裏切りをもくろむ者が出たり、「あれは我ら四天王の中でも最弱…」的な展開があったりする。


メインストーリーはもちろん敵とのバトルであり、ラスボス奈落を倒すまでの道のり、といったところなのだが、犬夜叉は恋愛面のストーリーが特徴的だと思う。

主人公犬夜叉とヒロインかごめは当然相思相愛かと思いきや、犬夜叉には封印される50年前の過去がある。そしてデリカシーがないので本気で「両方本当のことだ」とか言う。すでに死んでいるが死魂の力で動いている初めて愛した女か、その生まれ変わりと言われる顔立ちの一緒に戦いをくぐり抜けてきた女か。いやそんな簡単な話でもないのだが、詳しくはネタバレになってしまうので読んでほしい。

かごめ、14歳ぞ?中学2年生(最初は。物語の中でわりと時間が進む)だぞ?それでこんな修羅場?そして心が広すぎるしメンタルが強すぎる。考え方が大人。


私はかごめの気持ちになって泣き、犬夜叉が好きだったのでかごめにも嫉妬して泣き、毎晩大変だった。




次に公認のカップルとして弥勒と珊瑚がいるが、こちらもややこしい。まず弥勒が法師のくせに手癖も悪けりゃ女癖も悪く、口癖は「私の子を産んで下さらぬか」。出会った女性全員に言っているらしく、トラブルが尽きない。珊瑚の心労も尽きない。シリアスな場面でセクハラをするし、その辺にいる若い女性を押し倒す。アプリで読み返して、こんなにひどかったか?とちょっと引いた。珊瑚かわいそう。こちらも心の広さが宇宙並み。

珊瑚には欠点といえる欠点はないと言っていい。強くて美しくて完全に理想の女性だ。不良法師にきゅんとしてしまうダメンズ好きであるところを除けば。あとは弟の琥珀のことになるとメンタルが崩れ、早まった行動をしがちなところはあるが、それは責められないだろう。


一応、弥勒と珊瑚の名誉のために弁解しておくと、いざという時には文字通り命を投げ出して救おうとするし、愛は感じる。そういう場面での決めゼリフはかっこいいのだが、でも普段があれだからなぁというオチになってしまうのだ。

弥勒は先祖が奈落に負け、代々呪いが右手に残っている。武器としても使えるが、リミットがあり、使いすぎると死に直結する。が、奈落を倒せば呪い自体が消えるため、駆け引きとなる。そして、呪われた身であるがゆえに、呪いが解けるまでは珊瑚を好きになってはいけないと思っている、というようなセリフもある。誠実なんだか不誠実なんだかよくわからない人だ。決して憎めないけど。



七宝はお子ちゃまなので特定の相手はいない。1話使って、七宝の初恋がテーマの読みきりに近い話もあったが、特にその後はない。



あとは殺生丸だろうか。

最近、「半妖の夜叉姫」という、アニメオリジナルの犬夜叉続編が出るという話があり、界隈でなくともひと騒ぎがあったものだが、ご存知ないかたのためにいったん説明させていただく。


公式サイトはこちら。



「半妖の夜叉姫」について、公開されているのは、犬夜叉とかごめの子どもと、殺生丸の子ども(双子)がメインとなるストーリーであること。そして、キャラクターデザインには高橋留美子先生が関わっているが、ストーリーに関しては「私も楽しみにしています」とのコメント。

あとは、子ども世代3人の名前や設定など。ひとりは現代にいるらしい。半妖らしい耳が生えている子といない子といる。それぞれ、犬夜叉本編の登場人物とちょっとずつ関わりのある人生を送ってきたようだ。


野暮なツッコミかもしれないが、犬夜叉(半妖)とかごめ(人間)の子どもだとクウォーターになってしまうんじゃないだろうか。




そして「殺生丸には、娘がいる」のキャッチコピーからして、またあらすじの書き方からしても、殺生丸の娘2人がメインで、そこに犬夜叉の娘も加わっていく、という形のようだ。


しかし、気になるのは、殺生丸の娘の母親が明言されていないところである。殺生丸に娘がいることのみならず、相手が誰かわからないということも、大論争を巻き起こした。

殺生丸の夢女の皆様の動揺はいかほどかと思うが、そうでなくとも、りんなのか?何歳になったんだ?神楽がよみがえることがあるか?それだと半妖にならないな?単為生殖か?それも半妖にはならないな?だいたい妖怪はどうやって繁殖するんだ?と疑問は尽きない。



一旦犬夜叉本編に話を戻すと、殺生丸は冷酷無比を具現化したような強い妖怪で、無表情かつ冷静どころか冷徹さを常に崩さず、人間の血を引く犬夜叉を蔑み、父親の形見である刀を奪おうとし、人間を仲間にして見捨てることのできない犬夜叉を嘲笑い、刀に用がなくなれば毒の爪で皆殺しにしようとするような性格である。いや、だった。


その殺生丸”様”が、5歳くらいの人間の女の子を連れるようになった。このあたりの心境の変化は本当にマンガを読んでほしいんだが、とにかく、このりんという人間の女の子を大切に思うようになった。幾度となく命を救い、人質にされては全力で取り返しに行く。「貴様は人間とつるんでいるのがまことよく似合う」「たかが人間の女のことで…」と犬夜叉をバカにしていたのがすべて特大ブーメランとなって返ってくる(※)。しかし殺生丸はそんなことで動じないし、馬鹿にするやつは殺すのみ。つよい。殺生丸様になりたい。

※「殺生丸 ブーメラン」で検索するとわかりやすく対比されたファンアートが出てくるのでご参考までに。



冷静に考えて、娘が半妖である以上りん説が濃厚だと思うが、かごめの子と同年代である以上、かごめよりひとまわり近く年下だったりんはどうなってしまったんだ…?という考えは拭い去ることができない。

いや、半妖がほとんど年を取らないのであれば、犬夜叉の娘と殺生丸の娘が10以上離れていても見た目からはわからないというのもありか。


加えて、気になるのは犬夜叉とかごめの娘である”もろは”が、小さい時から一人で暮らしているので両親のことはあまりよく知らないと書かれていることだ。そんなことがあるだろうか。

半妖の子は4歳で家をでなければならないとかいうルールでもなければ、あの犬夜叉とかごめが娘を手放すなんてことはないだろうと思うが。犬夜叉は母親の顔を覚えていたから、全員が全員そうというルールは無理筋だろう。同じ半妖の地念児も、すでに老婆となった母親と2人で暮らしていたし。


まだよくわからないことだらけの上に、高橋留美子先生のストーリーでもないということで、公式として受け入れられるかどうかは一旦保留ぐらいの心持ちである。でも気になる。



「犬夜叉は勧善懲悪のストーリーで、罪のない人を殺したくないと言えば周りにどれだけ甘いと言われようともその信念を貫き通してなんとか解決する」というところが、読み返したくなる戻って来たくなる安心感だと、最近のマンガにはあまり見られないかもしれないが本来の理想の世界みたいなところを表していると、どなたかがおっしゃっていた。


本当にその通りだと思う。近いうちに紹介する予定だが、進撃の巨人は本当に深く作り込まれていて正義やら善と悪やらがめまぐるしく入れ替わる、どこまでも絶望を塗り重ねていくタイプの、でもそれが現実、それが人間、それがこの世界の本質、という圧倒的な説得力がベースになっている。

それが進撃の巨人の魅力であることは確かだが、その一方で、仲間を信じる、きれいごとかもしれないが誰一人見捨てずに敵を倒す!という明るい希望が見える作品も、それはそれで魅力的なのである。そして、安心して見ていられる。人を信じられなくならない。弥勒の浮気は治らないが。


さらに、「もやっとするところも、他のメンバーからそれでいいのか?と突っ込まれたりして、ストーリーの追い方、考え方も提示されている」安心感もあると。そう、七宝はかわいいだけじゃない。空気が読めたり読めなかったり、そのおかげで、かごめ本当は怒っとるんじゃないのか?というようなセリフが入る。すべてとは言わないが、ある程度解説されている飲み込みやすさも十分に人気のある理由になると思う。


最後はひとのふんどしを借りてしまったが、引用させていただいた以上出典を示さないわけにいかない。が、あまりバズっているとはいいがたいツイートなので、リンクを張ることでご迷惑になるかもしれないとも思っている。

なぜかきれいに埋め込みできないのが逆に幸いしたかもしれない。

https://twitter.com/hinoichi_meteor/status/1263500905892048905?s=20



自分の人生とのかかわりにあまり触れていないような気もするが、これだけ語ったということは重要であったということくらいは伝わるだろう。

5000字に近くなってしまったので終わりにする。

ご覧いただきありがとうございました。


5月28日、3時間、4800字


ご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートの使い道はまだ決めておりませんが、大事に使わせていただきます。おやつになるかもしれないしPhotoshopになるかもしれません…