見出し画像

マンガその4・ハガレン


ハバネロ・年金・デュクシ。初出がどこかはわからないが、秀逸なものを作る人って実はそこらへんにいるんだよなと思う。

この件とは別だが、作者不詳としてネットの海で利用されるのがあるべき姿だと思うから名乗らない、というような矜持はわりと好きなほうだ。


いざ我が事となったら、自分が考えたんだぞ!と言いたくて悔しくなるタイプの人間だという自覚はあるが。





「鋼の錬金術師」は、主人公のエドが、弟のアルと一緒に旅をしながら…しながら、なんだっけか。最初に目的はあったか?

エドは国家錬金術師(そういう資格で、勲章的なやつも持っている)で、錬金術が使える。アルも使える。国家錬金術師は他にもいて、「鋼の」「焔の」といった具合に、特徴によって呼び名が付けられている。


この世界における「錬金術」は非科学的なものではなく、科学的に説明可能とされていて、魔法とかと一緒にすると怒られる。

具体的には、物体を原子単位にバラバラにし、再構築しているだけであるから、無から有を生みだすこともできないし、材料となるものの組成と異なるものは作れない

つまり、錬金術と銘打ってはいるものの、土から金を作ってぼろ儲けみたいなことはできない。あくまで、あり得んレベルまで分解して再構築するのを、意志(と錬成陣またはそれに代わるもの)によってかなり自由にできるという技術である。



錬成陣というのはあれだ。たぶんかっこよくてノートに書いた黒歴史がありがちなやつ。六芒星とか二重の円とか読めるような読めないような文字とかで構成されているやつ。魔法陣の、数学的な問題じゃないほう。




国家錬金術師は国家資格で、毎年研究計画や成果などを報告することで研究費が下りるようなかたち。で、国に雇ってもらって研究をする代わりに、有事には錬金術を使って戦うので、よく思わない人たちには「軍の狗」と呼ばれる。


錬成には錬成陣が必要だけど、戦うときにいちいちあの煩雑な図を書いてはいられないので、「焔の錬金術師」ロイ・マスタングは手袋の甲に錬成陣が書いてある。


主人公のエドは、錬成陣を省略できる技を持っていて、それがかの有名な、パン!と手を打ってドン!と床を叩く、「手合わせ錬成」だ。

これは実に便利である。錬成陣は特定の錬成にしか使えないので、あらかじめ書いたものを使う場合は、その場で臨機応変に対応、ということがしづらい。手合わせ錬成では、錬成陣を書くこと自体を代替できるので、いろんな技を使うことが可能だ。


じゃあ全員手合わせ錬成すべきでは?と思ってしまうが、手合わせ錬成ができる人は限られている。主人公補正というわけではない。手合わせ錬成は、禁忌である「人体錬成」を行い、簡単に言うと死の淵から帰ってきた人のみが使える。

「人体錬成」とは読んで字のごとく、錬金術で人間を作ろうとすることである。よく「彼女作ろ・・・水35リットル炭素20㎏アンモニア4リットル…」と続くやつの元ネタだ。

組成はわかっているんだから、原子レベルに分解して再構築する技術さえあれば作れてもおかしくないはず、ではあるが、やはりそこにはなにか大きな隔たりがある。


ヒヨコをすりつぶして試験管に入れたら、組成はまったく元のヒヨコと同じであるはずなのに、そこに命が宿ることはない。命とはなんなのか?という思考実験を思い出す。念のため繰り返すが、思考実験である。実際にやった人が提唱している話ではない。

ちなみにシュレーディンガーの猫も思考実験である。実験装置を考えればわかることだが(量子のゆらぎによってONOFFを変えられるスイッチが必要)、猫を装置に入れて、生きてるかもしれないし死んでいるかもしれない、開けてみたら死んでました、みたいなことシュレーディンガーがやったわけではない。

猫を電子レンジに入れないでくださいの話も、実話だとかそうでないとか何度もそっちが誤解そっちが誤報と上塗りされているが、たぶん比喩だと思う。比喩というか、皮肉というか。



人体錬成は禁忌である。技術的には可能であるはずだが、「人体らしきもの」はできるが、成功した人はいない。「らしきもの」が錬成陣の真ん中から出てくる様は完全にホラーである。アニメで見てはいけない。

ちなみにアニメは原作を侮辱しているといわれるレベルのひどい改変がされているバージョンもあるようなので、注意されたし。原作を読むことをおすすめする。




人体錬成は成功しないだけではない。代償も払うことになる。


「持っていかれる」のだ。




エドとアルは、母親を錬成しようとして「持っていかれ」た。エドは右手と右足を。アルは体を。

正確には、最初はエドは右手だけ、アルはまるごと持っていかれたが、アルを取り返すためにエドが右足を差し出したため、アルの魂のみがこちらの世界に戻ってくることができた。アルは便宜的に魂を鎧にとりつかせるような形で存在しているため、2人は見かけ上、義腕義足と鎧の組み合わせである。アルをもとの姿に戻したい、というのが当初の目的だったような気もする。そのあとの複雑な話が複雑すぎて最初のところを明確に覚えていない。


ちなみに、義腕義足のメンテナンスをするのは幼馴染の女の子、ウィンディである。根っからのオートメイルオタクで腕も確かだ。




持っていかれる先は、「真理の扉」の向こう側である。よくわからなくても、明らかに「開いたらやばい」感があふれ出ている扉だ。この「真理の扉」を見たものだけが、「手合わせ錬成」を習得できる。



世界観の話だけで2000字が終わってしまったのだが、ストーリーとしては、過去の民族間の抗争に関係する事件が起こったり、軍内部がめちゃくちゃになったり、敵か味方かわからなくなったり(ホムンクルス=人造人間が「敵側」であることがわかってくるが、見た目で判断がつかない)、そうこうしているうちに、「最終的な目的」が見えてきて、「最後の日」を迎えることになる。

いなくなった父親が関係していたり、抗争に派遣された軍人との軋轢があったり、真実に気づいたものが殺されたり、いろいろと大変なのである。




背中を預ける上司部下の関係性だとか、得意分野が異なるものが協力し合うところとか、非現実なアクション映画を見た後のような、全能感と使命感が自分にも与えられた感覚になるところが好き。

説明に一度も出てこなかったけど、ロイ・マスタングの部下の冷静で強くて美しい女性がいて、マジでマジでその人、あ、リザ・ホークアイっていうんですけど、マジで理想の女性すぎるので見てほしい。



強い女性が好きなんですよね…珊瑚とかリザとか。




6月4日、2時間、2400字


ご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートの使い道はまだ決めておりませんが、大事に使わせていただきます。おやつになるかもしれないしPhotoshopになるかもしれません…