あたいとTCG その1

まえがき

 トレーディングカードゲーム(TCG)と呼ばれる遊びがある。ランダムだったりそうじゃなかったりするカードを集めて、規定のルールに則ってやりたい放題やり、先に勝利条件を満たした側が勝つという遊びである。ちょっと前に、Twitterで「TCGにおけるシステムの先駆者」という話が界隈でちょっとだけ話題になっていたので、色々なTCGに手を出して特に何をするでもなくデッキだけは沢山あるあたいが、物心ついてから今までに触れたTCGについていい機会なのでここに思い出としてゲーム自体について思った事とかあれとかこれとか適当に書いておこうかなぁ、と思ったので書く事にした。ただ、あたい自身TCGは色々触れている物の、リテラシーはそんなに高くないというクソ雑魚なので、細かい誤りについては生暖かい目で受け流してほしい。

決して今noteで書いているショートショートが全く収拾つかない事態になっているのでその現実逃避に、とかそういう事ではないので安心して欲しい。

遊戯王OCG

 記憶にある限り、あたいが一番最初に触れたのは遊戯王OCGである。これは、「遊☆戯☆王」を原作とし、その作中に登場するカードゲーム、「マジック・アンド・ウィザーズ」をモチーフに作られた物だ。あたいが触れた頃は小学生の頃としか記憶できていない程前で、それこそルールもかなり適当だった。どれぐらい適当だったかと言うと、相手が使った「ブラックホール」に伏せておいた「魔法除去」を発動してそれが通るような有様だった。遊戯王はその一時期だけやってしばらく離れる事になるが、高校の時に再度舞い戻ってくる事になる。分かる人向けに言うと、その頃はちょうど甲虫装機が環境を超破壊する前の頃合いで、あたいが使っていたのはTG代行である。もちろん今でもこのデッキは持っていて、一応今でも蟲惑魔を組みたいという悪だくみをしているが、あまりにも今更過ぎて永遠に保留している。
 遊戯王というゲームをシステムの面から見てみると、個人的にこのシステムの面白い所は、「カードの使用に際して殆どリソースを用いないが故に、他のTCGでのカードの価値観とは大きく異なる事態がちょいちょい起こる」という所と、「テキストの書き方が独特で釈然としない事態がちょいちょい起こる」所だと思う。
 TCGのゲームデザインを見ると、何らかの形で手番中にできる動きに制限が設けられている事が分かる。例えば、世界最古のTCGであるMagic: the Gathering(MtG)は、(主に)土地カードを横向きに(タップ)する事で「マナ」と呼ばれるリソースを産出し、カードに書かれたコスト分だけそのリソースを消費する事でそのカードを使用できる、というシステムになっている。これは大変によくできたシステムで、カードの強さの調整が比較的しやすい――つまり、控えめな効果のカードはマナコストが小さく、マナコストが大きいカードはその分ハチャメチャな効果をしているという事だ(無論、開発側がうっかりしてとんでもないカードが出来上がる事もある)。
 一方、この遊戯王にはカードそのものにコストの指定がされている事は殆どない(無論、「これ使う時に手札1枚捨ててね」とか書いてあるやつもある)。ではどうやって制限を掛けているかというと、「召喚権」という概念をもって制限を掛けている。遊戯王で主に戦場を彩るのは「モンスターカード」と呼ばれる、デュエリストを守ってくれたりくれなかったりするモンスター達であるが、遊戯王ではレベル4以下のモンスターは(条件やコストの指定がなければ)問答無用で手札から召喚を宣言し、何も無ければそのまま場に出す事ができる。但し、この方法で召喚ができるのは1ターン(手番)に1回まで(通常召喚)、というリミットによって行動を一応制限している。「一応」と書いたのはリミットが掛かっているのはこの通常召喚だけであって、カードの効果によって手札やデッキ(山札)や墓地(捨札)から召喚される事(特殊召喚)には特に制限が掛かっていないからである。そのため、通常召喚されたのはモンスター1体だけでも、そのモンスターの効果によって色々な所から色々な奴が出てきてあっち行ったりこっち行ったりして気がついたらこっちのフィールドがボロボロのボロにされていて総攻撃されて死にますなんて事がしょっちゅう発生する。何だったら、一部界隈ではカード1枚から如何にして相手の盤面を破壊して勝つかという所に全身全霊を賭けている人までいるというから恐ろしい。そんなゲームであるが故に、他のTCGである程度共有できるカードの効果の価値観が遊戯王では通じないという事態が時折発生する。Twitterでよく例に挙げられる有名な話を紹介するなら、「自分と相手の魔法・罠カードを全て破壊する」カード(大嵐)と「相手の魔法・罠カードを全て破壊する」カード(ハーピィの羽根箒)と2つあり、遊戯王で1枚だけ使えるのは(2020/01/01現在)後者である、という物がある(なぜそんな珍妙な事態が発生したかというと話が長くなってしまうのだが、大雑把に言うと自分の魔法・罠を破壊する事が大きなメリットになる場合が多発したから)。
 面白い所のもう一つである「テキストの書き方が独特で釈然としない事態がちょいちょい起こる」という物についてはあまりにも色々ありすぎるので、あたいが今でも釈然としていない物を1つだけ書いておく。「選択して」と「選んで」は意味合いが異なり、前者は対象を取り、後者は取らない、という違いがある。その他の「はぁ?」についてはこの辺によくまとまっているので興味があればどうぞ。

Magic: the Gathering

 本当は触れた順番に書こうと思ったのだが、触れた順番が曖昧になっていることに気づいた上に、これをまず取り扱わないと後の話が面倒なのでこれについて先に触れることにした。俗に「ギャザ」とか「M:tG」、単に「MTG」と書かれたりする、世界最古のTCGである。これを知らなくても「Black Lotus」という名前だけは何か聞いたことがあったりするという人はいるんじゃなかろうか。世界最古のTCGにして、今現在世に流通する多くのTCGの礎となるシステムを生み出していたゲームであり、MtGにおける「マナ」と「色」の概念は今でも多くのTCGに継承されている。マナについては先程説明した通り、カードを使用するためのコストの支払いに充てるリソースである。これも大事な概念だが、個人的に最も大きいのは「色」の概念であるように感じる。
 M:tGにはカードに「色」という概念があり、赤、青、緑、白、黒の5色が存在している(色を持たない無色のカードもあるがそれはとりあえずおいておく)。同様に、マナにも色の概念があり、「山」というカードからは赤マナが、「島」からは青マナが、というように、同じマナでも色によって別の物として扱われる。例えば、あるカードのコストが「青マナ1つ+適当なマナ2つ」である時、青マナ3つであればこのカードを使えるが、赤マナ3つではこのカードは使えない(青マナを1つ払えないため)。これらの「色」が何を示しているかというと、M:tGにおいては「色」によってできる事とできない事がはっきりと分かれている。例えば、赤は相手に直接ダメージを与えたり土地を爆殺したりという事が得意だが、青のように相手が使おうとしたカードを打ち消すという事は滅多にできない。逆に、青はカードを引いた(ドローした)り相手が使おうとしたカードを打ち消したりできるが、赤のように相手に直接ダメージを与えるという事は滅多にできない。こんな具合に、どの色を使うかによってできる事とできない事がはっきり分かれる事になり、ある1色のカードだけを使って組まれた(単色)デッキを使う時には、その色の強みを最大限に享受できる一方で、その色の弱みも如実に感じる事になる。もちろん、色の弱みを補うように複数色でデッキを組む事もできるが、その場合必要な色マナが用意できずにカードが使えない事態(色事故)が起きる事を覚悟する必要が出てくる。できる事を犠牲にして安定性を取るか、安定性を犠牲にしてできる事を増やすかのトレードオフを迫られる事になる。
 M:tGではこの色がもたらすトレードオフとはまた別に、土地がもたらすトレードオフという物もある。先程、M:tGにおいてカードを使うためにはマナが必要という事は書いた覚えがあるが、基本的にこのマナは「土地」と呼ばれるカードから生み出される事になっている。無論、マナは土地でないカードからも生み出されたりするのだが、基本的に土地以外のカードは使うのにマナが必要なため、(一部の恐ろしいデッキを除いて)最初は土地をある程度の枚数用意しなければマナを生み出す基盤が無くてカードが使えずそのまま死んでしまう(俗に"マナスクリュー"と呼ばれる土地事故)。かといって、土地をデッキにあまりに多く積みすぎると、土地ばっかり引いて使えるカードが何も引けずそのまま死んでしまう(俗に"マナフラッド"と呼ばれる土地事故)事態が発生する。あたいはこの「土地」という存在を蛇蝎のごとく嫌っているが、ゲームのデザイン的には一応デッキの構築にある程度の制限を設ける、という役目があるのかなぁ、なんていうふうに感じている。問題はそんな制限を設けた所で何になるんだろうかという所がよく分からない所だ。
 この「土地」というシステムはやはり賛否が分かれているようで、これを理由にM:tGをやりたがらない人は自分の周りではちょこちょこ見かける。実際、これ以降のTCGにおいてコストという概念を導入する場合でも、そのコストを支払うリソースを生み出す基盤をどのように用意するか、については様々な方法が取られている。一例を挙げると以下のような物がある(中には複数にあてはまる物もあるがそのあたりは大目に見てくだされ)。
・リソースを生み出す専用のカードは用意せず、原則手札の任意のカードを特定の領域に置く事でリソースが生み出せるようになる、とするもの(デュエル・マスターズ、Z/X、ファイアーエムブレム0、NOVAなど)
・リソースを生み出す専用のカードは用意せず、原則山札からランダムにカードが特定の領域に置かれ、それをコストの支払いに充てられるリソースとするもの(アンジュ・ヴィエルジュ、ジーククローネ、パズドラTCGなど)
リソースを生み出す専用のカードはあるが、通常の山札とは別の山札に用意するなどして土地事故(色事故はこの限りではない)が起きないようにされている物(Force of Will、白猫TCGなど(などって書いたけどこの2つ以外には知らない、他に知ってたら教えて頂けますと幸いです))
・カードに何らかの制限があり、(上記のようなリソースを支払う場合もあるが)特定の条件でそれらが解除されていく物(ヴァンガード、ヴァイス・シュヴァルツ、プリズムコネクト、レベル・ネオ、UNLIMITED VSなど)
手札を捨てる事でリソースを生み出す物(Lycèe overture、プレシャスメモリーズ、ヒーローズプレイスメントなど)
・リソースとして扱えるカードですらない何かがある物(バトルスピリッツ、レギオンズ!など(などって書いたけど(ry))
・コストの概念はある物の、ルールに則れば使用自体に制限はない物(モンスター・コレクションTCG、バディファイト、スカイガレオンTCGなど)
・コストやカードの在り方が複雑で一概にどうとか言えない面倒な物(WIXOSS、魔法少女 ザ・デュエル、コロッサス・オーダー、アクエリアン・エイジ、phantasmagoria、ドレッドノートなど)
 解決の方法は色々あるが、やはりマナのシステム自体は扱いやすいらしく、基本的には「どんなカードでも土地にできる」という扱いをしているゲームが多いように感じる。実際、それらのゲームはM:tGと比べてかなりとっつきやすいイメージはある。ただそれでもM:tGの人気は根強い物があって、土地というシステムがあるが故に何かあるのかなぁ、なんて思ったりもやっぱりする。あたいはどうしても何が良いのかイマイチよくわからないけども。
 そんなあたいだが、最近はお祭り用フォーマット(遊び方の種類のこと)である統率者の専門になってしまっている。理由は色々あるのだが、やはりどんなに高いカードでも買うのは1枚だけで済むという所が大きい(統率者は決められたカード以外1枚ずつしか入れられない)。最も、あたいが統率者で使っているデッキはプレインズウォーカー満載5色デッキという頭の悪さが極限突破している碌でもない代物なのだが。プレインズウォーカーに常在効果を持たせるのは良くない。覆いナーセットお前のことだよ。

長くなったのでまたそのうち

 システムについて考えてみたり余計なことを書いてみたりしたらとんでもない長さになってしまった上に、どの層に向けて書いてるんだかわからなくなってきたのでまた別のタイミングで続きを書くことにする。次回はもっと雑に深く考えずにあれこれ書きたいように「※個人の感想です」的なサムシングを書くことにできればいいなぁなんて思う。しかしまぁ、思い返してみるといろんなカードゲームがあったんだね。

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