良くないカード

あたいはそのうちカードゲームを自作して何かのイベントで出そうかなぁなんて考えている。
実際、ある程度カードを整形してイラストを自分で整えれば奇跡的に2つくらいは拾われるんじゃないかなってゲームは準備できていたりする。
まあ実際の所は、印刷所に頼むコストとかを眺めて無限に頭を悩ませているうちに時間だけが無情にも過ぎていくのだが。
こういった時間の事を人々は俗に「無駄」と呼んでいる。

ゲームを作るに際してカードという物を用意すると、大抵の場合カードに書く効果を考える事になる。
このカードの効果を考える作業、カードデザインというのはなかなかにしんどい物があって、もちろん色々な他のゲームからの経験則から「この効果は明らかにヤバイ級のヤバイだ」と気付いて修正をする事もできるのだが、当然気づかないままGOサインを出してテストプレイを行った時に大惨事を引き起こしてやっと己の浅ましさに気付かされる事もある。
これこそ、良くないカードが見つかった瞬間である。

良くないカードはできれば無い方がよい。
できれば、というのは難しい所があって、良くないとは分かっているが何らかの事情で意図的に良くないカードをそのままにする場合が存在するからだ。

ただ、「良くないカード」にも色々ある。
一番分かりやすいのはいわゆる「壊れカード」の事だと思う。
アナログゲームをあまりやらない人向けに一応書いておくと、壊れカード、あるいは単に「壊れ」というのは、カードに書いてある効果があまりにも強くて、他のカードがゴミに見えてきてしまうような碌でもない奴の事を言う。
UNOにおいて1枚だけ「自分以外の全員に12ドロー」とかいうカードがあったら我先にとそのカードをビリビリに破くはずだ。
最古のTCGとして名高いMagic: the Gathering(MtG)で言えば《頭蓋骨絞め》、ここ最近なら三冠王を獲得したどこぞの王冠泥棒あたりがその辺になるんではなかろうか。

一方で、負の壊れ方をしてしまったカードもやはり良くないカードだろう。
つまりは、弱すぎて使う価値が見出だせないカードの事である。
MtGで言えば《蒼ざめた月》あたりがそれだろう。
こいつはその能力の弱さ故「何もしないカード」とまで評され、挙句の果てにはこのカードをパックから引き当ててしまったプレイヤーの顔面が青ざめるとまで言われた散々な奴である。
いくら意図的に弱いカードを仕込む場合があるとは言え、大真面目に何もできないカードを仕込んでしまったのでは笑い話にならない。

さて、良くないカードとして2つの「壊れ」を挙げてみたが、「じゃあ極端に強いカードと極端に弱いカード以外は良いカードか」と問われればそうではない。
世の中には、極端に強いわけでも極端に弱いわけでもないが良くないカードという物は存在する。
一番わかり易い物を一般化して挙げるなら、「他人の足を引っ張るだけのカード」がその辺に当たる。
要は、「自分の得点に繋がるとかそういう事ではないが、ゲームは長引く」みたいなつまらないカードだ。

自分がゲームを考える時、できるだけこの「つまらないカード」が生まれていないかどうかは優先的に考えるようにしている。
ただ、それでも一人でカードとにらめっこしているだけでは気づけない事も結構多く、テストプレイの時にその「つまらないカード」がぽこじゃか出てきて、テストプレイ後にもぐらたたきの如く修正をあれこれ入れる羽目になる。まあそのもぐらたたきの作業も存外楽しい物であったりもするのだが。

そういうつまらないカードをなんとかマシなカードにできたら、やっと壊れを直して具体的にバランスを詰めていく段階になっていく。
バランスをどこまで詰めていくかっていうのはなかなかに難しい所で、完璧にしすぎると難しいゲームになってしまって取っ付き辛くなってしまうし、かといっていい加減にやり過ぎると「このカード使う戦法以外は戦法ではない」みたいな事が起きかねない。その辺の調整の作業も楽しいと言えば楽しい。

最も、あたいが作って(大学のサークルの名前で)初めて世に出した作品は、そんなバチバチにバランスを詰めたわけでもないのに酷く難しいゲームになってしまったのだが。
一体どこで何を間違ってしまったんだろうなぁ。

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