心臓の手術に挑んだ父と素晴らしきスーパードクター


3月31日といえば日系企業の殆どが年度末の日であるだろう。私自身も、年間を通じて仕事が最も忙しくバタつく時期だ。
そんなザワザワする昨日、3月31日(水)に、父が心臓の手術を受けた。
入院、手術の話を聞いたのは、父が入院する3日前。実家は近くだが、父とは離れて暮らしているので、最近は何もなければ電話で連絡を取り合うこともあまりなかった。
コろナ禍で、実家に帰るのを避けていたので1年以上、父に会っていない。年齢の割に元気で、食欲もあり、入院などしたことがない健康的な父なので、心臓の手術をすると聞いた時にはかなりショックを受けた。
何で?あんなに元気だったのに?
しかもこんな直前に言うなんて。心臓なんて只事ではない。

父が入院している病院は、コろナのクラスターを発生させないために、面会人を一切受け入れていない。
しかし、病院から電話があり先生の説明を聞くために呼ばれ、先週の土曜日に病院に行った。だが本人には会わせてもらえない。
担当の先生は、素人にもわかりやすいように、専門用語を使わず、人体図を書きながら今回の手術について詳しく説明してくださった。
私自身も、ネットで調べてから行ったが、やはり先生の説明が1番わかりやすかった。
なぜ手術が必要なのか、どのような手術なのか、そして1番心配な失敗率、後遺症、全てを理解し、たくさんの同意書にサインをした。
「我々チームは、全力でこの治療にあたります。」先生の言葉も大変頼もしかった。

父は、普段から携帯を持たない。
何かに縛られるのが嫌いだし、昔の人なので情報は、新聞やテレビで、こと足りる。映画は専らNHK BS。連絡は固定電話。
病院は、公衆電話も使用禁止になっていた。
「他の患者さんは携帯を使ってらっしゃるんですか?」と先生に聞くと「もちろんですよ。お父さま以外は。」やはりそうだろうなと思った。
私が父の声を聞きたいのだろうと、先生が機転を利かせてくれ、「後で私の携帯から電話しますので、この電話で話されたらどうですか?」と仰ってくれた。
何て優しい先生なんだ。この先生なら何も心配ない、私は確信した。

差し入れはOKと聞いていたので、競馬好きの父のために買ったスポーツ新聞や赤ペン、スナック菓子やペットボトル、手紙などを先生に預け、病院をあとにしたところで先生から電話がきた。「今、お父さまに代わりますね。」「ありがとうございます。本当にすいません。」
父は、人に迷惑をかけることを1番嫌がる。
私のように嬉しがるどころか開口一番、「おい、あんまりわがまま言うんじゃないよ。先生は忙しいんだから。」そう言うと思っていたよ(笑)
しかし私は構わず、何か困っていないか、入院生活はどうか、足りないものはないかを聞いた。
「ないよ。この病院には本当によくしてもらってる。じゃあ切るよ。」とても迷惑そうに話す父。それでもまだ話したがる私を無視して先生に電話を返した。

コろナのせいで、手術だろうが、病院には家族も立ち会えない。
あとは、31日の手術後に先生からの電話を待つだけになった。そして、17時頃に病院から電話がかかってきた。
「お父さまの手術は無事成功しました。ご安心ください。」あー、良かった良かった。先生、本当にありがとうございました!
この1週間、私の心臓の方が持たないかも、と過ごしていたので、心から胸を撫でおろした。
怖いものなんか何もないこの私が、食欲もなくなり、吐きそうなほど落ち着きがなかった。仕事中は忙しかったおかげで考えなくてすんだが、それでもかなりびびっていた。正直、何かあったらと思うとめちゃくちゃ怖かった。
もうこんな思いはしたくない。

それにしてもすごい。心臓の手術なのに、胸を切らずにカテーテルでの最新の手術に挑み、成功。
スーパードクターたちが父を治してくださった。
本当に感謝しかない。私は神を信じていないが、病院の先生たちこそが神なんだと思った。
1人の命がかかっている手術に挑むことが、どんなに大変なことなのか、成功することが奇跡にも思える私には想像もつかない。

その3時間後に先生からまた電話があり、父が麻酔から目覚め、今は落ち着いており、この分だと早めにICUから出て一般病棟に戻れそうだと仰られた。再び安堵。
あっという間の手術からのあっという間の回復。
医学は日進月歩と言われるが、医師の皆さんは本当にすごいなあ。すごすぎる。
あとは1週間ほどのリハビリで退院できるだろう。

人間は、いつどんな病気に罹るかわからない。
それでも、治せる専門家がいてくれるからこそ私たちは安心して過ごせる。これからもそのことに日々感謝して生きていこうと思う。
今現在、たくさんの病院で、コろナの患者さんやあらゆる病気の方を診ている先生がたくさんいらっしゃる。大変なご苦労がおありだろう。
このような状況下で働く専門家の先生たち、医療従事者の皆さん、本当に本当にありがとうございます。


#手術 #スーパードクター

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?