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秋月七海
2017年8月10日 15:38
担々麺には秘密があった。彼女には恋人がいたが、彼には妻がいたのだ。彼、つまり冷やし中華は、担々麺が熱くなればなるほど彼女に冷たかった。それが担々麺の悩みだった。冷やし中華はこの不況時代に土地を転がし大儲けした。彼には生まれ持ったビジネスの才があった。見た目も華やかでカラフルな彼はなかなかモテた。錦糸卵、千切りきゅうり、ハム、もやしといった愛人たちを彼は囲っていた。その中のひとりが
2017年8月3日 12:46
きなこちゃんとマカロンくんは愛し合っていた。二人はいつも一緒にいたが、たまに離れなければならない場面もあった。二人はなんとかしてひとつになりたかった。そこできなこちゃんとマカロンくんは話し合った。話し合いは何日も続けられた。主に議題は、「どちらがどちらの中に入るのか」だった。話し合いは議論となり、口論となった。しかしそれにも決着がつく日が来た。きなこちゃんより、マカロンくんのほ
2017年8月1日 15:44
クルマを運転して自宅に帰る途中、曲がり角で歩行者の兄ちゃんと目が合った。その兄ちゃんは栗色でふさふさした髪で、長身でがっしりした体型だった。メガネの奥の目は、こころなしかこちらに笑いかけているようだった。「どこかで会ったことがあるぞ」そんな気がした。ふと思い出した。今朝洗濯物を干しているとき、雨上りの洗濯竿の上にちょこんと座っていた蛙を。兄ちゃんの眼はまるで蛙だった。「気のせい